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第五話 「視聴者、仲間になりました。」

第五話です!

趣味で始めたものの筆が乗ってしまって一気に5話まで進めました。

満足満足。

「……いや、増えすぎだろ」


部屋に戻った瞬間、思わず声を漏らした。

スマホの通知欄が、えぐいことになっている。

SNSの通知、フォロワー増加、メッセージ、タグ付け――

とにかく止まらない。


「ちょっと待って、何これ……」


ベッドに腰を下ろしながら、恐る恐る画面をスクロールする。

フォロワー数は、配信前の数十人から――

一気に1000人を超えていた。


「……は?」


思考が一瞬止まる。


「いやいやいや、そんなわけある?」


目をこすって、もう一度見る。

やっぱり、1000人を超えている。


「……バズってる?」


小さく呟いたその言葉が、やけに現実味を持って響いた。


タイムラインには、自分の配信の切り抜きが流れていた。


『同接3人から奇跡の生還した配信者』

『コメントで命拾いした新人ダンジョン配信者』


そんなタイトルと一緒に、さっきの戦闘シーンが拡散されている。


「いや盛られすぎだろ……」


苦笑しながらも、再生数を見て言葉を失う。

数万再生。

いいねも、コメントも、どんどん増えている。


「……これ、マジで来てるのか?」


胸の奥が、じわっと熱くなる。

 

その時、スマホがまた震えた。

配信アプリの通知。


「……あ、そうだ」


ユウは少しだけ迷ってから、配信ボタンを押した。


「はいどうも、朝倉ユウです」


軽く手を振る。

数秒のラグのあと――

一気にコメントが流れた。

「来た」

「待ってた」

「さっきの人だ」

「生きてて草」


「いや“生きてて草”はおかしいだろ」

思わず笑う。

同時視聴者数は、すでに80人を超えていた。

さっきのダンジョン内と、ほとんど変わらない。


「さっきの配信、見てくれた人ありがとう」


少しだけ真面目な声で言う。


「正直、あれコメントなかったら普通に死んでた」


「それはそう」

「運もあるけど動きよかった」

「ちゃんと拾ってたの偉い」


「いや、全部コメントのおかげだろ」


素直にそう言う。


「ていうかさ」


スマホを少し近づける。


「さっき指示くれてた人、誰?」


コメント欄が一瞬ざわつく。

そして――

「俺」

「多分俺」

「いや俺だろ」


「いや絶対違うやつ混ざってるだろ!?」


思わずツッコむ。

笑いがこみ上げる。

その中で、一つのコメントが目に入った。


-「さっき右回避言ってたやつ」


---


「あ、いた」


画面を指差す。


「この人、この人。マジで助かった」


「たまたま見えただけ」

「でも反応は悪くなかった」

「いや普通に上からで草」


笑いながらも、どこか納得する。


「じゃあさ」


ユウは少し考えてから言った。


「名前、なんて呼べばいい?」


一瞬の間。

そして、コメントが流れる。


「適当でいい」

「好きに呼べ」

「攻略厨でいい」


「攻略厨……」


少し考える。


「いや長くね?」


「じゃあ攻略ニキで」

「それでいい」


「攻略ニキ?」


口に出してみる。


「……いいな、それ」

「じゃあ、今日から攻略ニキな」

 

コメントが少し盛り上がる。

「命名きた」

「草」

「定着したな」


「いや勝手に決めただけだけどな?」


苦笑しながらも、なんとなくしっくりきていた。

その時、別のコメントが流れる。

「最初から見てたけど応援してる」


「あ」


目に留まる。


「この人も見覚えあるな……」


「初期からいたやつ」

「優しいやつ」


「確かにずっと応援してくれてる気がする」


少し考えてから、笑う。


「じゃあ、ゆう推しでいい?」


「それでいい」

「かわいい」

「本人了承してるぞ」


「よし決まり」


さらにコメントが流れる。


「俺は?」

「草」

「草生やしてるだけだろ」


「いやお前ら何もしてないだろ!」


思わず笑う。


「……じゃあお前、草生えるマンな」


「雑www」

「適当すぎる」

「でもそれっぽい」


「いやもうそれでいいだろ!」


気づけば、コメント欄はさっきよりずっと賑やかになっていた。


「……なんかさ」


少しだけ、声のトーンが落ちる。


「一人でやってる感じ、しなくなってきた」


コメントがゆっくり流れる。

「そりゃな」

「見てるぞ」

「一緒にやってる感じある」


「……だよな」


小さく笑う。


「じゃあさ、次の配信なんだけど」


少し前のめりになる。


「どの案件行くか、コメントで決めない?」


一瞬の静寂。

そして―― 爆発するコメント欄。

「きた」

「参加型だ」

「初心者ダンジョンいけ」

「いや中級いけ」

「死ぬぞ」


「いやだから意見バラバラすぎるって!」


笑いながらも、どこか楽しそうに画面を見る。


「でもまあ、そういうのも含めて――」

「一緒にやるか」


コメントが、一斉に流れた。

「いいね」

「それでこそ」

「任せろ」

ユウは、静かに頷いた。


「じゃあ次も頼む」


スマホの向こうに向かって、笑う。


「俺、一人じゃ弱いからさ」

 

少しだけ間を置いて――


「みんなで強くなろうぜ」

 

同時視聴者数は、120人を超えていた。

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