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第四話 「ダンジョン出たら、ちょっと世界変わってた」

第四話です!

実際にダンジョンがあったらどんな感じなんでしょうかね〜。気になります。

「.....はぁっ.....疲れた.....」


 壁にもたれかかったまま、大きく息を吐いた。

 さっきの戦闘の余韻がまだ体に残っている。

 心臓は少しずつ落ち着いてきたが、手の震えは完全に止まっていない。


「いやマジで死ぬかと思った.....」

 

 正直、何回か終わったと思った。

 でも――


「.....生きてるな」


 ぽつりと呟いて、少しだけ笑う。


 スマホを見る。

 配信はまだ続いている。

 同時視聴者数は――94人。


「いや、ほんとに増えすぎだろ.....」


 ついさっきまで3人だったのが噓みたいだ。

 コメント欄も止まらない。

「おつ」

「今来たけど何があった」

「さっきの戦闘どこから見れる?」

「普通にうまかったぞ」


 「いや、”普通にうまい”は盛りすぎだろ!」


 思わず笑いながらツッコむ。

 でもちょっとだけ嬉しい。


「とりあえず.....一回帰るわ」


 ナイフを軽く振って血を落としながら出口のほうへと向かう。


「さすがに初心者が調子乗ると死ぬって学んだ」


「それはそう」

「賢くなってて草」

「でも続けてほしかった」


「いや、お前ら俺の命なんだと思ってるんだよ!?」


 ツッコミを入れつつ、ゆっくりと歩く。

 さっきまでは怖かったダンジョンの通路が、少しだけ違って見える。


「.....なんかさ」


 ぽつりと呟く。


「さっきよりちょっとだけ余裕あるわ」


「成長してて草」

「調子乗るな」

「でも分かる」


「どっちなんだよほんとに」


 笑いながらも、足取りは軽かった。


 しばらく進み、光が見えてくる。

 ダンジョンの出口だ。


「お、帰ってきた」


 外に出た瞬間、空気が変わる。

 重かった空気が一気に抜けるような感覚。


「.....はぁぁぁ」


 思わず大きく息を吐く。


「やっぱ外いいな」


 スマホの画面に目を落とす。

 同時視聴者数――112人。


「え、増えてるじゃん」


 ダンジョンの中より増えている。

「外でも見るわ」

「むしろ今来た」

「切り抜き回ってるぞ」


「また切り抜き!?」


 思わず声が上がる。


「どれだけ仕事早えんだよ.....」


 コメントの流れがさっきよりもさらに速い。

 初見っぽいコメントも増えてきている。

「初見です」

「この人誰?」

「運いいだけ?」


「この人誰はこっちが聞きたいよ!」


 ツッコミながらも、少しだけ背が伸びる。

 ”初見が来てる”。

 それがなんとなく分かった。


「えー、初見さんどうも。朝倉ユウです」


 スマホに向かって軽く手を振る。


「今日が初ダンジョンで、さっき死にかけました~」


「草」

「軽すぎる」

「それで生きてるのやばい」


「いや、ほんとそれな!?」


 笑いながら近くのベンチに腰を下ろす。

 その時。一つのコメントが目に入った。

「さっき指示してたやつだけど」


「え?」


 思わず画面を凝視する。

「右回避とか言ってたやつ」


「あ、あの人!?」

 

 思わず身を乗り出す。


「マジで助かりました!あれなかったら普通に死んでました!」


「いやたまたまや」

「でもちゃんと動けてたぞ」


「いやいやいや、だいぶ助けられてるから!」


 深々と頭を下げる。

 その横で別のコメントが流れる。

「あの動きできるなら普通にいける」

 「反応は悪くない」


「本当か?」


 思わず聞き返す。


「ちょっとだけ調子乗っちゃうよ?」


「調子乗るな」

「そこがいい」

「でも見てておもろい」


「いや最後褒めてるじゃん」


 笑いが漏れる。

 さらにコメントが流れる。

「最初から見てたけど普通に応援してる」

「また配信して欲しい」


「.....え」


 一瞬言葉が詰まる。


「.....ありがと」


 ぽつりと小さく呟く。

 正直、軽い気持ちで始めた。

 バズればいいな、くらいのノリだった。

 でも今は――


「またやるわ」


 スマホに向かって言う。


「次はもうちょいちゃんと準備してくる」


 ナイフを見ながら、少しだけ真面目な顔になる。


「で、もっとちゃんとバズる」


「欲出てて草」

「いいね」

「次も見るわ」


「任せとけ」


 ニヤッと笑う。

 ふと同時視聴者数に目を向ける。

 

 137人。


「え、ちょっと待って」

 

 思わず声が漏れる。


 これ普通にすごくね?」


 さっきまで3人だった。

 それが今は100人を超えている。


「.....これ、マジで人生変わるかもな」


 小さく呟いて、空を見上げる。

 そして、もう一度スマホに視線を戻した。


「次も――見に来いよ」


 コメントが一斉に流れた。

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