第十二話 「連携って、こういうことでした」
ダンジョンの奥へ進む。
「.....ちょっと雰囲気変わりましたね」
「うん、ここから先は”当たり”が出やすいエリア」
「当たりって.....」
「少し強いの」
「それをさらっと言うの怖いんですよ」
「フラグ」
「絶対ボス来るやつ」
「ボス来るぞ」
「やめろって.....」
その時、空気が変わる。
重い。
「.....これ」
「来るね」
ミオの声が少し低くなる。
地面が揺れる。
ドン.....ドン.....
ゆっくりと影が現れた。
「.....でっか」
そこにいたのは―― ストーンボア。
だが、さっきの個体とは明らかに違う。
一回り以上大きい体。より分厚い岩のような皮膚。
そして、角が鋭く伸びている。
「でかくね?」
「上位個体」
「ボスだろこれ」
「.....いや、聞いてないって」
「ユウ、これ一人じゃ無理だからね」
「それは分かります!」
ミオが一歩前に出る。
「一緒にやろ」
「.....はい!」
自然と並ぶ。
「基本突進しかしてこない」
「はい」
「止まった後が隙」
「了解です」
「あと、硬いから正面はダメ」
「それはもうわかりました.....」
少し笑う。
「じゃあ.....いくよ!」
ストーンボアが吠えた。
次の瞬間。
「来る!」
一直線の突進。
「っ!」
左右に分かれる。
ドンっ!!!
地面が揺れた。
「今っ!」
ミオが動く。
横からの一閃。でも――
「.....硬っ」
弾かれる。
「マジかよ.....あれで無理なんて.....」
「やばいなこれ」
「まったく削れない」
「ユウ!」
「はい!」
「足止めして!」
「え!?」
「一瞬でいい!」
「.....っ!」
覚悟を決め、正面に出る。
「おい!こっちだ!」
ストーンボアがこちらを見た刹那、突進。
「来い!」
ギリギリまで引きつける。
「.....今だ!」
横に飛び、ギリギリで回避した。
その瞬間。
「そこ!」
ミオが背後に回り込む。
一点に鋭い一撃。
「.....っ!」
ヒビが入る。
「通った!」
「ナイス囮」
「今のデカい」
「もう一回!」
「はい!」
再び構える。
ストーンボアが怒り暴れる。
「次来るよ!」
「了解!」
突進。
「ユウ、もう一回!」
「任せてください!」
同じように引きつける。
「今!」
回避。
ミオが入る。
さっきのヒビに、もう一撃。
「――!」
大きく亀裂が走る。
「いける!」
「押すよ!」
二人同時に踏み込み、そして。
「うおぉぉ!」
ユウの一撃。
ミオの一撃。
同時に叩き込む。
ストーンボアが崩れる。
「.....はぁっ.....!」
静寂。
「勝った」
「えぐ、やったじゃん」
「神回」
「今の連携やばい」
「.....やば」
その場に座り込みそうになる。
「今の、ちゃんと撮れてる?」
「.....あっ!」
慌ててスマホを見る。
「.....撮れてる!」
「ナイス」
ミオが少し笑う。
「ちゃんと配信者してるじゃん」
「いや、必死でしたけど.....」
息を整えたその時。
「同接エグい」
「一気に増えた」
「バズってるぞこれ」
「え?」
画面を見る。
同時視聴者数。
「.....1200?.....は?」
さっきの倍以上。
「なにこれ.....」
「まあ、今のは伸びるよね~」
「いや、冷静すぎません?」
「よくあるよ」
「マジかよ.....」
さらに――登録者数。
「.....え?」
「.....980、990.....」
じわじわ増えている。
「ちょ、待ってこれ.....」
「.....1000」
一瞬止まる。
「いった」
「1000人おめ」
「記念きた」
「マジかよ.....」
思わず笑う。
「お、1000いったじゃん」
「いいね。おめでと」
ミオが少しだけ満足そうに言う。
「ちゃんと結果出てよかったじゃん」
「.....はい」
少しだけ拳を握る。
報われた気がした。
「なんか.....楽しいですね、これ」
ミオが少し驚いた顔をして――
「でしょ?」
笑う。
二人で奥を見据える。
まだ先がある。
同時視聴者数は――1500人。




