第十一話 「初コラボ配信、想像以上に忙しい」
ミオに連絡を取ってから三日後。
「.....よし」
指定されたダンジョンの入口前。
ユウは深く息を吐いた。
「Dランクか.....」
Eランクとは違う。
一つ上がるだけで空気が重い気がする。
「ついにD」
「緊張してる」
「さすがに早すぎて草」
「ミオいるし大丈夫やろ」
「いや、普通に緊張するって.....」
スマホを構え直す。
「今日はコラボ配信です!」
「相手は――白井ミオさんです!」
コメント欄が一気に流れる。
「キターーー」
「神回」
「マジで実現してて草」
その時。
「おまたせー」
「.....あ、おはようございます」
「おはよう」
白井ミオが軽く手を上げる。
「もう配信付けてる?」
「つけてます」
「オッケー、じゃあ私もつけよ」
ミオもスマホを取り出す。
「同時配信いいね」
「両視点助かる」
「じゃあ行こっか」
「はい!」
二人でダンジョンに入る。
中は少しひんやりしている。
「やっぱ雰囲気違いますね」
「Dランクはね、油断すると普通にやられるよ」
さらっと恐ろしいことを言われる。
「怖いこと言いますね.....」
「事実だからね」
少し笑う。
その時。
「.....来た」
ミオの声色が変わる。
視界の先。黒っぽい影がゆっくりと姿を現す。
引き締まった体。しなやかな足。
そして――
黄色く光る眼がこちらを睨んでいる。
「ダスクウルフだ」
「出た速いやつ」
「Dの狼系」
「.....狼?」
低く唸りながら地面を蹴る。
「速っ.....!」
一瞬で距離を詰めてくる。
「っ!」
ギリギリで回避。
「はや.....!」
「目で追うな」
「動き読め」
「分かってる.....!」
構え直す。
「ユウ、どうする?」
「.....やります!」
「オッケー、任せる」
「もうですか!?」
「見てるから」
「試されてる」
「育成枠やな」
「マジか.....」
ダスクウルフが再び動く。
視界から一瞬消える。
「は!?」
横。
「っ!」
なんとか避ける。
「今だ!」
踏み込む。
一撃が当たるも浅い。
「ちょ、当たってるのに.....!」
ミオの声が聞こえる。
「焦って前出すぎ」
「ちゃんと見て」
「.....っ」
呼吸を整え、動きを見る。
「.....今!」
攻撃の終わりに合わせて踏み込む。
一撃、今度はしっかりと入る。
ダスクウルフは崩れた。
「.....よし!」
「ナイス」
「ちゃんと見れてる」
その時。
「証拠!」
「.....あっ!」
慌ててスマホを向け、撮影する。
「危な.....」
「そこもセットね」
「ほんとそれっすね.....」
少し笑う。
その時、奥から重い音。
ドン、ドン、と地面をたたくような足音。
「.....なんだこれ」
姿を現すそれは、皮膚がまるで岩みたいにゴツゴツしている。
「ストーンボア」
「硬いやつ」
「突進来るぞ」
「いや絶対硬いやつじゃんこれ.....」
次の瞬間。
「来る!」
一直線に突っ込んでくる。
「はや――いや重っ!」
横に飛ぶ。
ドンッ!!
地面に激突し、土が跳ねる。
「当たったら終わり」
「正面立つな」
「無理無理.....!」
「ユウ、一体行ける?」
「.....やります!」
「オッケー、じゃあ一体持つね」
二手に分かれる。
「.....よし」
一体に集中する。
突進を回避し、
「今!」
攻撃をする。
「かたっ!」
刃が弾かれる。
「それ硬い」
「弱点狙え」
「弱点どこだよ!」
「横、関節」
ミオの声。
「.....っ!」
回り込みもう一度、斬る。
今度は入る。
「よし!」
追撃をし、ストーンボアは崩れる。
「.....はぁっ、はぁっ.....」
振り向きミオを見ると、ミオは――
すでに終わらせていた。
「.....はや」
「そっちもナイス」
「いや早すぎません!?」
「慣れ」
さらっと言う。
「....すご」
思わず呟いた。その時。
「いいコンビ」
「普通におもろい」
「登録増えてるぞ」
「え?」
画面の端、登録者数。
「.....480?」
「増えてる.....」
「いいね、伸びてるじゃん」
「これ普通に嬉しいです」
少し笑う。
「じゃあもう少し奥行こっか」
「はい!」
二人で奥に進みだす。
同時視聴者数は――600人。




