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第十話 「あの人、思ったよりすごかった」

「....ただいま」


 誰もいない部屋に声が落ちる。

 靴を脱いでそのままベッドに倒れ込む。


「.....疲れた.....」


 ダンジョンの緊張が一気に抜ける。

 天井を見上げながらぼーっとする。


「.....いや」


「でも、今日――」


 思い出す。

 三体に囲まれた瞬間。

 そして――


「白井ミオ.....」


 あの動き。無駄のない一撃。そして、余裕のある立ち回り。


「.....普通にすごかったな」


 からだを起こし、スマホを手に取る。


「ちょっと調べてみるか」


 検索欄に名前を打ち込む。


 『白井ミオ』


 すぐに動画が出てくる。


「.....え、めっちゃあるじゃん」


 適当に一つ再生する。

 画面の中のミオ。ダンジョンの中で軽やかに動く。

 モンスターの攻撃を避けて、一瞬で距離を詰めて、迷いなく仕留める。


「.....はや」


 思わず声が出る。

 コメント欄も流れている。

「安定してるな」

「この人ほんとミスらん」

「立ち回り綺麗すぎる」


「.....いや、レベル違うだろ」


 動画を止め、チャンネルページを見る。

 登録者数。


「.....3万?」

 

 思わず固まってしまう。


「いやいや、無理無理無理無理」


 自分のチャンネルを開く。


「.....430」


 もう一度ミオの数字を見る。


「3万はすごいって.....」


 笑ってしまう。


「そりゃ強いわけだ」


 ベッドに座り、スマホを見つめる。


「.....でも」


 少しだけ考える。


「そんな人が普通に話してくれたよな、一緒にやる?って」


 あの言葉が頭に残る。


「.....チャンス、だよな」


 深呼吸をする。


「.....よし」


 DM画面を開き、


「えーっと.....」


 少し悩んでから打ち込む。


「今日はありがとうございました。朝倉ユウです。もしよかったら、また一緒にダンジョン行けたらうれしいです」

「.....こんなもんか?」


 一度見直す。


「.....まあいいや」


 送信。


「.....送っちゃった」


 一気に緊張が走る。


「やば、なんかめっちゃ緊張する」


 スマホをベッドに投げる。


「.....いやでも、無視されたら普通にへこむな」


 少しだけ不安になる。

 

 数分後。

 スマホが震える。


「.....え?」


 急いで画面を見る。

 通知。

『白井ミオ』


「はや!?」


 開くと、


「いいよー!じゃあ次一緒に行こっか」


「え」


 一瞬時が止まる。


「.....軽っ」


 でも。


「いや、いい人すぎるだろ.....」


 思わず笑ってしまう。


「.....マジで一緒に行くんだな」


 胸が少し高鳴る。


「どこ行きます?」


 すぐに返事が来た。


「Dランクどう?」


 「.....D?」

 

 少しだけ黙る。

 Eランクより一つ上。


「.....いや」


 口元が少し上がる。


「いけるだろ」


 画面を見ながら打ち込む。


「お願いします」


 送信。

 静かな部屋。でも、さっきまでとは違う。


「.....なんか、面白くなってきたな」


 小さく呟く。

 次は――

 

 一人じゃない。

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