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第80話

腕を肩まで火傷を負った俺は、そのまま真っ逆さまに落ちていく。

移動要塞が動きを止めたのが見えるが、軍勢に対してあまり被害が出せていないようだ。


「派手にかましたね」

「お、リーリャン!」


空中でリーリャンが話しかけてくる。俺の体を掴み、炎の翼をはためかせ地上に降りてくれる。


「お前様!」

「サクラ、完璧なコントロールだったな」

「いや腕!」


サクラとフランは俺のボロボロの腕を見て駆け寄ってくる。俺は表面の焦げ目を叩き落とし、ブンブンと動かしてみせる。


「悪いなフラン、譲ってもらった服ダメにしちまった」

「いえ・・・大丈夫なのですか?」

「生きるために戦うんだ、こんな所で死なせられないからな」

「えっと・・・はい」


フランは少し躊躇ったように頷く。


「片手だけだ、しかも利き腕じゃない左だ。そこまで影響はないさ」

「そういう話じゃないと思うぞお前様」

「え? そうなの?」

「あんな火球を跳ね返せるなんて・・・一体どれほど強くなられたのですか?」

「うーん、あんまり実感は無いな。サクラのおかげかもな」

「無駄話してないで、とっとと行くぞお前様!」


サクラが兵士達に預けていた戦車(チャリオット)を引きずって持ってくる。戦車(チャリオット)の中ではホバが寝転がりながら、俺達に手を振っている。


「って訳だ。俺は軍略だとか戦略に詳しくないからな、俺達の事は必要な時に自由に使ってくれ」

「いいのですか?」

「そういう話ならリリーナやフランの方が詳しいだろ?」

「でしたら・・・自由にやってください」

「了解、俺達は突撃する。くれぐれも死ぬなよ!」


俺は戦車(チャリオット)に飛び乗る。サクラが狼の姿になり、手綱を取り付ける。


『それで作戦は?』

「突撃! 真っ向から突っ込んで最短であの要塞まで行くぞ!」

『ははは! 最高だな!』

「主様〜! 旦那様〜!」


どこに行っていたのか、ナナが走り寄ってくる。


「どうしたナナ?」

「ナナは一度ここで外れるであります!」

「え?」

「ナナは現場指揮官として軍の一部を指揮して、前線を構築するであります!」

『そうか、しっかりやれよ!』

「そういう事なら僕も残ろう、女王様の護衛がさっきの火炎弾でやられたらしいからな」

「リーリャンまで!?」

『ははは! その代わり二人とも、要塞に乗り込む時にはちゃんと来いよ!』

「「分かった!」であります!」


サクラは地面を強く掴み、一瞬で駆け出した。戦車(チャリオット)は大地を踏み砕きながら、どんどんと移動要塞に向かっていく。


「俺達二人で大丈夫か?」

『ホバもいるだろ!』

「いえ、僕はもう毒の後遺症で戦えません。我が王の為に体を温存するだけです」

『・・・ごめん、連れて来て』

「いえ、あなたの自分勝手さには慣れていますから」


サクラの引く戦車(チャリオット)は風よりも早く、一瞬で移動要塞が近付いてくる。

そしてそれと同時に、前線を構築するゾンビとギフターも。


「あのゾンビってギフトかな?」

『いいや、ゾンビは魔物の一種だ。だが、あんなに統率は取れないはずだ』

「ならそれを操るギフトがあるはずだ!」

『ゾンビを何人か轢き殺すぞ!』

「お手柔らかに!」


サクラが速度を更にあげた瞬間、サクラの足元が爆発した。

サクラが吹き飛ばされ、戦車(チャリオット)が横転する。ホバと俺は投げ出され、地面に転がった。


「いって・・・」

「お前様!」


サクラが駆け寄ってくる。サクラに怪我は無い。

爆炎の中、誰かが歩いてくる。


「くくく、まさか正面突破とはね? 考えもしなかったっス」

「お前は・・・?」


爆炎を抜けて出てきたのは、ナイフを全身にぶら下げた青年だった。


「俺様は《《七騎士》》の一人、E(イー)。突っ込んでくる馬鹿な君達を殺す役割を与えられた男っス」

「変な喋り方だな、キャラ付けか?」

「別に・・・いいじゃないスか、そんな事」


イーは自分の体にぶら下げているナイフを一本取る。そして、サクラ目掛けて投擲する。


「はぁ?」


サクラはただ冷静に、そのナイフを手で弾こうとした。

そのサクラの手にナイフが触れた瞬間、大爆発が起こった。


「くくく、本当に馬鹿っスね」

「ゲホッゲホッ、なんだ!?」

「俺様のギフトは【爆弾化】触れる物全て爆弾に出来るっス」

「あぁそうかよ!」


サクラが一瞬でイーの後ろに回り込む。だが、そんなサクラに、大量のゾンビが襲いかかる。


「邪魔ッ!」


ゾンビを跳ね除けるサクラ、だが手が触れた瞬間にゾンビが次々と爆発する。


「いってぇ! クソが!」

「丈夫っスねぇ。でもこっちはどうでしょうか」


イーはナイフを一本取り、俺に向かって投げ付ける。俺は咄嗟に腕を前に出した。


「【反転】!」


手に触れた瞬間反転を発動させる。だが、爆破の衝撃は全て俺に向かって飛んでくる。熱と衝撃、顔の一部が裂け、出血する。


「くくく! やっぱ普通の人間っスね!」

「いってぇ!」

「お前、我の伴侶に何してやがんだ」


ゆらりと、幽鬼の様な表情を浮かべる。サクラの拳が振り上げられると同時に、その場にピリついた空気が蔓延した。


「やばっ!」


イーは地面にナイフを投げ付ける。爆破の衝撃で飛び退くが、その地面にサクラの拳が振り下ろされる。

その瞬間、地面が崩壊した。


「うわっ!」


だだっ広い平原の一部は捲り上がり、空間に亀裂が入る。亀裂のヒビはイーの足にまで届き、イーの足がヒビ割れに繋がり折れ曲がった。

そしてそのヒビ割れの一つが、俺に向かって伸びてきていた。


「サクラ!」

「おっと」


サクラが拳を引くと同時に、ヒビは全て消え去った。周囲の地面はでこぼこに掘り返された様に荒れ果て、ヒビに侵食されたゾンビ達が崩れ落ちる。


「なんだ、今の?」

「なんか本気で殴ったら出た!」

「えぇ・・・」


サクラも訳もわかっていないようだが、あのヒビは敵味方区別無く襲うように見えた。みんながいなくて助かった。


「こ、こんな事が。Lめ、情報が足りていないっス!」

「よぉイー、今そっち行ってぶっ殺すから覚悟しとけよ」


サクラが腕をぐるぐる回しながら、地面に這いつくばっているイーに近付いていく。

俺は、イーのナイフが減っている事に気が付いた。


「サクラ、足元だ!」


俺が叫ぶと同時にサクラの足元が爆発する。


「ま、まだまだぁ!」


イーはナイフを二本取り出し、片方のナイフでもう片方のナイフの後部をぶっ叩いた。その瞬間ナイフが爆発し、サクラ目掛けてナイフが飛んでいく。


「よっ」


サクラはそのナイフを避けるが、避けた瞬間にナイフが角度を変えて回り込むようにサクラに飛んでいく。


「ワイヤーか!」

「死ね!」


物凄い勢いでナイフがサクラ目掛けて迫っていく。

次の瞬間爆発が起き、四肢がバラバラになって空に散った。

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