第弍章ー力ー
「霊的要因による外傷ないしは干渉。
今まで確認されている後天的に霊能力を得る方法は、この二つしかない」
「霊的要因……?」
聴き慣れない言葉に加那は首を傾げる。
「例えば、妖や我々祓師による攻撃若しくは干渉。つまりは妖か、僕らが“君が見えるようになるように”仕向けた」
「っ!?」
言葉にならない驚き。自然にこうなった訳ではなく、誰かが必然的にこうさせた。
超常的な現象でもなく、偶然でもなく、意図的に誰かが干渉したのだ。
「断定は出来ないが、君の場合は何者かが霊的要因を持ってして何らかの形で干渉したのだろう。
結果、君は妖や異形のモノを見る事が出来る様になってしまった」
「……何者か、っていうのは?」
「人か、妖か。妖も高位の存在になると高い知能を持つやつもいる。
君に明確な意思を持ってやったのかも知れないし、或いは気紛れでやったのかも知れない。
やつらは随分適当に物事をこなす。妖がやったのならば、それを判明させることは難しいだろう」
「……」
妖じゃない場合は?
加那にはこの一言が絞り出せない。妖じゃないならば、それは明確な意思を持ってして干渉した事になる。それが悪意なのか、善意なのかはわからないが。
「妖ではない場合の事は、君にも意味がわかると思う。
……何か、心当たりは?」
真っ直ぐに加那を見据えて炎陽は言う。その目に迷いはなく、ただただ純粋にその道のプロフェッショナルとして自身の義務を果たそうとしていた。
「……」
その目を見て、思い詰めていた加那のこころが少しではあるが不意に軽くなる。
この人ならば、何とかしてくれるのではないだろうか。解決してくれるのではないだろうか。
炎陽のその目には、そう思わせる程の説得力があった。
そして、少しではあるが考える余裕の出来た頭で炎陽の言葉を反芻し、考えてみる。
妖ではなく、人が意志を持って干渉してきたとするならば。それをする、もしくはさせた人物に心当たりがないのか。
少なくとも、加那の考えうる限りでは該当する人物は思い当たらない。自分で言うのもなんだが、恨みを買うような生き方はしていないし、品行方正に、慎ましく生きてきたつもりだ。人間関係も、思いつく限りにおいては良好だったように思う。
加那の周りに、そんなことをする人間はいないと、加那は自信を持って言える。私の友達は人に危害を加えるような子はいない、と。
加那は静かに首を横にふる。




