第弍章ー力ー
「うん。
ではまず前提として、僕達や君のように異形のモノが見える人は決して少なくない」
「そう、なんですか……?」
意外、とでも言いたげな表情で呟く加那。当たり前だろう。そんな超能力じみた力を持つ者がそれなりの数がいるとは、寝耳に水だ。
「あくまでも“見えるだけ”の人の話だよ。
そうだね、一万人に一人。そのくらいは、まぁ見え方の大小はあるだろうけれど、いるんじゃないかな」
「見え方の違い?」
「こういった力ってやつはね、大小があるものなんだ。
異形のモノを見ることの出来る力。例えば日向はあまり見ることは得意ではない。だけど水景は僕よりも見る力に秀でている。僕が見えているモノ、日向に見えているモノ、水景に見えているモノ。もちろん、君に見えているモノ。各人が持つ力の大小によって見えているモノが変わるんだ。
ほんの視界の端にだけ、チラリと見える人もいれば、君のようにしっかりと形として見える人もいる」
「そうなんですか……」
内心、加那はホッとした。それなりの人数がいるのなら、もしかしたら私はそこまでおかしくないのかも知れない。少し珍しいけど、普通の人と変わりはないのかも知れない。
が、次に炎陽が言う言葉によりその安堵は粉々に砕け散ることになる。
「でもそれは先天的な話だ」
ドクンと、加那の心臓が強く跳ねる。
「そういう力を持っているなら、生まれついて持っているものなんだ。
僕も、日向も水景も生まれついて持っていた力なんだ」
「……」
言葉が出ない。やはり私はあの夜何かがおかしくなったのだ。
今まで生きてきた中で心霊現象と言うものとは無縁であった。産まれてこの方そう言った類のモノとは出会ったことがない。
あぁ、そうか。やはり私は狂ってしまったのか。
「しかし、例外がないこともない」
加那は俯いていた顔を跳ね上げる。
その言葉に一縷の望みをかける程には、加那は悲観していた。




