第弍章ー力ー
「おかえり。そろそろ帰ってくると思っていたよ」
家についた日向と水景を日向達の父、西牙炎陽が出迎える。
「聞きたいことが山ほどあるだろう?
だけど少し待ってくれ。もう一人がもうすぐ来るだろうから」
炎陽が言い終わるが早いか、チャイムが鳴るのが早いか。
どうやらもう一人が到着したようだ。
「あぁ、丁度きたね。水景、客間までお通しして」
「はい」
水景は頷くとすぐに玄関へと来訪者を出迎えに行く。
「さて、日向は先に足の方をどうにかしようか」
「足?」
「気付いていないのかい?毒自体は貰ってないようだけど、糸か何か。間接的にか直接的にかはわからないけど攻撃を貰ったんだろう。放っておいたら腐るだろうね」
ズボンの裾を巻くってみると、薄らとではあるが赤く腫れていた。
全身の筋肉痛であまり意識はしていなかったが、言われてみればじゅくじゅくとした痛みを感じる。
「と言っても聖水で清めて破魔の力を込めた塩を塗り込むくらいだよ。すぐに終わる」
と言って炎陽は用意していた竹の筒に入った聖水と、木の箱に入った塩を取り出す。
「ちょっと痛いけど、男の子だし我慢出来るよね」
ニッと笑う炎陽に、寒気を覚える日向。
あぁ、父がこの顔をするということは相当痛いのか。覚悟を決め、歯を食いしばる。
男として、もう客間に通された頃であろう加那に叫び声を聞かれるのは忍びない。
炎陽はうんと一つ頷くと容赦なく竹筒に入った聖水を日向の足にぶっかける。
予想の三倍は痛い。が、悲鳴をぐっと堪える日向。あぁ、痛い。焼けるように痛い。だが耐え切った。後は塩だ。これも耐え切って見せる!
炎陽はこれでもかと言うほどの塩を握り、これまた容赦なく足へと塗り込む。
よし!聖水より痛くない!これならなんとかたえっ!?
悲痛な叫び声は、加那の耳にまで届いた。




