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第弍章ー力ー
「さて、俺はそろそろ帰るよ。休みとは言えいつまでもいるわけにはいかないしな」
「あぁ、改めてお礼をさせてもらうよ」
「気にすんなって。じゃあな」
照れ臭そうにそう言って、織人は帰っていった。
「散々だったみたいだね」
「父さん!」
まさに織人と入れ替わるように、日向の父が病室にノックもなしに入ってきた。
「大体の事情は昨夜織人くんから聞いたけど」
「あ、うん。その後の処理は?」
「僕がやっておいたよ。
それで、“どっちを”降ろしたんだい?」
瞬間、空気が凍る。
日向の父は日向とよく似ており、優男風だ。そんな容姿から想像もつかないような声音で日向に問いかける。
「ユキを呼んだ。ハルじゃ対処出来ないと思って」
「ん、まぁ概ね間違えてないね。
土蜘蛛だったろう?毒は受けてないかい?」
「ユキに“代わる前”は攻撃を受けてないよ」
「彼女、伊吹加那くんも目立った外傷はなかったし、多分大丈夫だろう」
加那の無事を直接聞き、日向はほっと胸を撫で下ろす。
「詳しくは帰ってからかな。今日は一応泊まって行くように言われているから、一晩ゆっくりしていきなさい」
そう言うと日向の父は呼び止める暇もなく病室を出ていった。




