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第弍章ー力ー

2章です。

毎日(不定期)投稿頑張ります。

「ん……」



 日向が目を覚ますと、真っ白な見慣れない天井が目に飛び込んできた。

 ぼんやりと働かない頭で何があったのかと記憶を探す。

 確か肝試しに行って、妖怪に出くわして……。

 あぁ、そうだ。“降ろした”んだった。



「お、大丈夫か?」


「おりと……?」



 日向が目を覚ましたことに気付いたらしい織人が声をかける。

 日向はまだ覚醒していないらしく、声だけで疑問符を並べる。



「あの後大変だったんだぜ?

 お前は気絶してるし、伊吹はお前を引きずってトンネルから出てくるし、その後伊吹はわけわかんねえこと言って泣き始めるし……」



 そうか、よかった。彼女は無事なのか。




 ……ん?



「ち、ちょっと待って……!いっつ!」



 ベッドから上体を引き起こそうとすると、全身に激痛が走る。

 この感覚は……!



「あ、おい動くなよ。命に別状はないらしいけど脚を怪我してるんだ。安静にしとけってよ」


「……あぁ……。手足もちゃんとある」


「?当たり前だろ」



 確か土蜘蛛と戦った筈だ。彼女がただ逃げるだけというのは想像出来ない。

 そしてこの全身の痛みと倦怠感。妖術を使ったに違いない。



「ここは?」


「病院だよ。お前が倒れて、とりあえず救急車呼んでさ」


「父さんは?」


「ん?あぁ、そうそう。これもびっくりする話でさ。

 お前が倒れて救急車を呼んだら、お前の親父さんが突然きてさ。お前の顔見て大丈夫だろ、とか言ってトンネルの中に入って行ったんだよ」



 織人は昨夜あったことを思い出しながら日向に説明する。織人としても話したいことがたくさんあるみたいで、要点を掴み損ねていた。



「弟か、妹が来てた?」


「あぁ、来てたきてた。妹さんが来てたよ。水景(みかげ)ちゃんだっけか?

 優しい子だな。泣いてる伊吹にすぐ寄り添って何か励ましてたよ」


「あぁ……」


「んで救急車が来たんだけど、親父さんはトンネルに入っていくし、水景ちゃんは慰めてて手が離せないしで同乗者がいなくてよ、俺が付き添い人としてここで一夜を明かしたってわけだ」


「そっか。迷惑かけたね」


「なに、気にすんな。俺とお前の仲だろ?」



 へへっと織人ははにかんで笑い、照れ隠しに軽く日向の腕を叩く。



「ぼくはどのくらい寝てた?」


「んー、今朝の9時だから半日くらいか?」


「……父さんは?」


「いや、まだ見てないな。

 あ、どこの病院かわかんないのかな?一応お前が運ばれて来た時に病院にお前の家の電話番号伝えといたけど」


「……ま、そのうちくるかな」



 日向は父に電話をかけるために携帯電話を取り出そうとし、ポケットに入って無いことに気付き電話をすることを諦める。

 とてもじゃないが、この体で携帯を探すためだけに鞭を打ちたくはない。

 仕方がないので大人しくしていることを選択したのであった。

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