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第九話「秋が来た」
秋が来た。
光が変わった。
空の色が変わった。
体が、重くなってきた。
動きが、鈍くなってきた。
その蛇も、鈍くなってきた。
よく、石の上で日を浴びていた。
春の最初の日のように、石の上で日を浴びていた。
傍に行った。
並んで、日を浴びた。
その蛇が、こちらに体を寄せてきた。
二匹で、体を寄せ合って、日を浴びた。
草が、色を変えていた。
緑が、黄になっていた。
橙になっていた。
その蛇が、草を見ていた。
自分も、草を見た。
夏に泳いだ川が、遠くに見えた。
その蛇が、こちらを向いた。
黒い目が、こちらを見た。
最初に目が合った日と、同じ目だった。
変わっていなかった。
春も、夏も、秋も、その目は変わっていなかった。
舌を出した。
その蛇の匂いを読んだ。
最初に知った匂いと、同じだった。
同じだった。
何も変わっていなかった。
(第九話 了)




