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第十話「石の下へ」
冬が来た。
体が、動かなくなってきた。
石の下を探した。
暖かい場所を探した。
その蛇も、来た。
一緒に探した。
見つけた。
大きな石の下に、深い隙間があった。
暖かかった。
入った。
その蛇も、入った。
暗かった。
しかし、その蛇がいた。
体が触れていた。
眠くなった。
体が、眠ろうとしていた。
その蛇も、眠ろうとしていた。
呼吸が、ゆっくりになっていた。
舌を出した。
最後に、その蛇の匂いを読んだ。
同じだった。
春に初めて知った匂いと、同じだった。
その蛇の体が、温かかった。
眠りにつく前の、最後の温かさだった。
眠った。
その蛇の体に触れたまま、眠った。
春になれば、また出る。
また、石の上に出る。
また、日を浴びる。
その蛇も、出る。
並んで、出る。
そういう気がした。
眠りにつきながら、そういう気がした。
暗かった。
しかし、温かかった。
その蛇の体が、温かかった。
それだけで、十分だった。
(第十話 了)
鱗の恋――ある蛇の話 完




