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鱗の恋――ある蛇の話  作者: Kentarou Tou / Kentarou Theater


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第七話「脱けた」


ある朝、その蛇が変だった。


動きが鈍かった。


目が曇っていた。



心配した。


傍に寄った。


舌を出して、匂いを読んだ。


その蛇の匂いだった。


変わっていなかった。



その蛇は、石の傍へ行った。


体を石に擦りつけた。


ゆっくりと、擦りつけた。



分かった。


脱皮だった。



時間がかかった。


その蛇は、ゆっくりと、古い皮を脱いでいった。


石の角に引っ掛けて、少しずつ、脱いでいった。



見ていた。


傍で、見ていた。



長い時間がかかった。



脱けた。


古い皮が、石の傍に残った。



その蛇が、振り返った。


目が、澄んでいた。


さっきまで曇っていた目が、澄んでいた。


体の色が、明るかった。


模様が、鮮やかだった。



きれいだった。



舌を出した。


その蛇の新しい匂いを読んだ。


同じだった。


匂いは、同じだった。


新しい皮になっても、匂いは同じだった。



その蛇が、こちらへ来た。


体をすり寄せてきた。



新しい鱗の感触が、違った。


滑らかだった。



(第七話 了)

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