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鱗の恋――ある蛇の話  作者: Kentarou Tou / Kentarou Theater


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第六話「夏になった」


夏になった。


体が軽くなった。


よく動けるようになった。



その蛇も、よく動いた。


よく這った。


よく飛び出した。



ある日、その蛇が速く這った。


草の間を、速く行った。


追いかけた。



速かった。


その蛇は、速かった。


体が細いから、速かった。


草の間をするりと抜けた。



追いついた。


川の近くで、追いついた。



その蛇は、川の岸で止まっていた。


水を見ていた。



隣に来た。


並んで、水を見た。



川が流れていた。


速かった。


夏の川は、速かった。



その蛇が、水に近づいた。


舌を出した。


川の匂いを読んだ。



自分も、舌を出した。


川の匂いを読んだ。



冷たかった。


川の匂いは、冷たかった。



その蛇が、水の中に入った。


するりと、入った。



驚いた。



しかし、その蛇は気持ちよさそうだった。


水の中で、体をくねらせた。


泳いだ。



自分も、入った。


冷たかった。


しかし、気持ちよかった。



二匹で、夏の川を泳いだ。



(第六話 了)


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