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第三話「匂いを知った」
蛇は、舌で匂いを知る。
舌を出して、空気を読む。
空気の中にある匂いを、舌が読む。
その蛇の匂いを、知った。
草の匂いに似ていた。
しかし、草ではなかった。
土の匂いに似ていた。
しかし、土ではなかった。
その蛇だけの匂いだった。
その蛇も、舌を出した。
こちらの匂いを、読んでいた。
二匹で、互いの匂いを読んだ。
舌が、何度も出た。
その蛇が、体をすり寄せてきた。
石の上で、体が触れた。
冷たくなかった。
温かかった。
日に温められた体が、温かかった。
自分も、体をすり寄せた。
長い体が、絡んだ。
ゆっくりと、絡んだ。
その蛇の体の感触が、鱗を通して伝わってきた。
細かい模様の鱗が、自分の鱗に触れていた。
しばらく、そのままでいた。
絡んだまま、石の上にいた。
日が当たっていた。
温かかった。
(第三話 了)




