第5話 探索-サーチ-
「お兄ちゃん、いきなり街に行こうってどうしたの?」
「ずっと行きたかった場所があるんだ」
僕たちは7歳になり、自由に外に出ることが許可された
「メイドさんたちと一緒に行けない場所?今までもよく街に来ていたよね」
「まあ、行けるわけない場所だ」
「ここってもしかして貧民街?兄ちゃん、やめておいた方がいいと思うよ」
「治安のことか?」
「それもあるけど・・・私の経験上、貧民街に行っていいことないよ」
「日本だったらな。でも中世の貧民街はちょっとだけ事情が違う」
「ん?どういうこと?」
「目当てのモノがあったら分かると思うぞ」
「目当ての物?」
貧民街をうろついて10分、ついに怖そうなおっさんたちに囲まれた
「お前、いいとこのガキだな。だったら金くらい持ってるだろ。有り金全て置いていけば命だけは許してやるぜ」
「ほら兄ちゃん言わんこっちゃない」
「これは外れだ」
「あぁん?外れって何だ」
鬱陶しいので、適当にボコす。この1年間で、チャーティー先生とニューのおかげで剣技がかなり上達した
「お兄ちゃん、かなり上手くなったね」
「1年間も練習すれば多少はうまくなるだろう」
しかしこの1年間、いまだに一度もニューに剣が当たったことがない
「で、こいつらは目当ての存在じゃないの?」
「そいつらは置いておこう」
「捕まえないの?」
「捕まえられても憲兵が困るだけだからな」
貧民の犯罪者を捕まえても、その処理に困るらしい。放置しておくのが暗黙の了解らしい
「兄ちゃん、いい薬あるよ!買って行かないか」
「んーいらないかな」
「銅貨1枚・・・でもいいので・・・くれませんか・・・」
こいつかな
「お兄ちゃん、どこにでもいる乞食だよ?無視したほうがよくない?」
ニューが小声で僕にささやく。ニューはどうやら貧民街の知識もあるようで危なそうな奴などを定期的に教えてくれている
「大丈夫だ。・・・ここに銅貨3枚あるんだけど、お姉さんに聞きたいことがあるんだ」
「私に・・・答えられることなら・・・」
「孤児院、元孤児院でもいい。貧民街の孤児院の場所を教えてくれないか」
「孤児院は確か・・・あちらです」
女性は指をさして教える
「ありがとう。本当に孤児院があったら銀貨1枚あげるからここで待っていてね」
「あっ、えっ・・・ごめんなさい。本当はあっちなんです」
さっき指さした方向と違う方向に指をさす
「ふーん、ありがとう。じゃあコレ前金ね」
銅貨3枚を渡して去る
「お兄ちゃん、上手いね。私も嘘をついているのは分かったけど、どうやって指摘しようかなって思ってたのに」
「まあ戻ってきたときにもういないと思うがな」
「?どうして?」
「貧民街で声量を下げることなく銀貨を渡すって言ったんだ。金に困っている奴は山ほどいるこの場所で呑気に待つ奴はすぐに死ぬだろうな」
「なるほど・・・あれ?じゃあ何で本当のことを話したの?」
「時間稼ぎだろうな。あの人は逃げるが、おこぼれをもらうために誰かが変装して居座るかもしれない。あとは、この話を聞いていた奴が本当の場所を教えると金がもらえなくなるからだろうな」
「なるほどね、銀貨1枚出るって分かったら案内すればいいもんね。それだったら嘘もつけないし」
「まあ、それは困るんだがな」
「え?孤児院に寄付しに行くとかじゃないの」
「ニュー、僕がそんな善人に見えるか?」
「見えない。けどわざわざ孤児院を探す理由が他になくない?」
「例え、孤児院がなくても子供はその周りに集まる。つぶれてからしばらくたっても名残でなぜか集まるんだよ。類は友を呼ぶってやつだ」
「へぇ、そんなこと意識したことなかったな」
しばらく歩くとボロボロになった孤児院が見つかった
「まだつぶれていないんじゃないかな?」
「まあ、せっかくだから寄付でもくれてやるか」
「すごい上から目線じゃん」
孤児院のボロボロのドアをノックする
「はーい、あら、新しい子?でも」
40代くらいの修道女が出てくる。修道女の話をさえぎり話し始める
「いや、孤児ではないです。近くを寄る用事があったから、寄付でもしようかと思いまして」
「ああ、道理で。ありがとうございます」
それから悩みなどを聞いて、そのまま孤児院を出た
「結局、寄付しているじゃん」
「まあ軽い投資みたいなものだ」
「投資?何のこと?」
「例えば、この貧民街でよく見かける人がいなくなったとしても僕たちを怪しむ人はいない、とかな」
「まさかお兄ちゃん」
「恐らく予想はついていると思うが、僕は"人を買いに来た"」
[ちょっとだけ補足]この国では貧民街区域を設定しており、貧民が貧民街以外で犯罪をすると原則死刑となるが貧民街での犯罪は黙認とするととで犯罪被害を減らしている。そのため貧民街に行くことは原則自己責任である
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