第2話 共有-シェア-
知らない天井、知らない顔、知らない言語・・・どうやら僕は異世界転生をしたようだ
「oyusedogatuhanikneg」
女性が何かを言っている。顔が近づいたかと思うと、浮遊感がした
(抱きかかえられているのかな)
「enusediiawak」
いろいろな人が僕の顔をのぞく。色々なことを語っているが、どれ一つ聞き取れない。しばらくすると浮遊感がなくなった
「usediiawakomokonannno」
女性は隣にいた赤ちゃんを抱き上げた。そしてどこかに持っていった。しばらくすると女性は赤ちゃんを隣に置いた
「・・・enawianakan」
そういえば泣かなくてもいいのかな。となりにいる赤ちゃんも泣いていないし、そんなものなのだろう
転生して5年がたった。不思議なもので、転生してから今までの記憶がかなりあやふやだ。正直、この5年で何をしていたかほとんど覚えていない
「おにいちゃん、あそぼ」
生まれた時、隣にいた赤ちゃんは妹だったようだ。正確には双子の・・・姉か妹かはよく分からないが、双子らしい
「なにをするんだ?」
「まほう!」
妹は魔法が好きらしい。毎日、僕を誘っては一緒に魔法の練習をしようとする
「ほんとまほうがすきだな」
「うん!」
僕が生まれた家はそこそこ上流階級の貴族のようで、広い庭がありメイドや執事も多く働いている。大人に声をかければ魔法の練習をしてもいいらしい
「きょうもまほうつかっていい?」
「今日も練習をするのですか」
「うん」
「分かりました」
メイドだと思われる女性は、仕事を切り上げて僕たちについて来てくれる
「『ふぁいあぼーる』!」
妹が詠唱すると小さな火の球が飛んで行く
「かなり上達されましたね、ニュー様」
初めて使ったときは蛇行しながら飛んでいた火の球が、今ではまっすぐ飛んでいる。やはり子供の成長というのは早いものだな
「おにいちゃんもつかって」
「わかったわかった。・・・『うぃんどかったー』」
妹の魔法と違って見えにくいが上手くいったのではないだろうか。的としておかれている木に小さな傷ができている
「ネオ様もお上手です」
意外かもしれないが転生者である僕より妹の方が魔法の扱いはうまい。あそこまで魔法を愛していたら当然と言えば当然かもしれないが。それからへとへとになるまで魔法を撃ち、部屋に戻った。大きな家なのですでにもう一部屋用意されているが、まだ小さいので同じ部屋を使っている
「おにいちゃん、きょうもつきあってくれてありがとう」
「ぜんぜんいいよ」
妹は5才とは思えないくらいきちんとしている。部屋に戻った後は毎回、僕に感謝の言葉をかけるし、魔法以外に何かをねだっているところを見たこともがない
「ところでニュー、なんでぼくのこと、おにいちゃんってよぶんだ?もしかしたらニューのほうがあねかもしれないのに」
「わたしむかしから、おにいちゃんがほしかったの」
ん?
「だからおにいちゃんのことを、おにいちゃんってよぶの。・・・だめ?」
上目遣いの純真な目で僕を見る。ぐぅ、かわいい。妹がそれでいいというんだから別にいいか
「いいよ。ニューがそれでいいなら」
「やったー!」
魔法を初めて使った時よりも喜んでいる。そんなに兄がほしかったのだろうか
「そんなにあにがほしかったのか」
「うん、ずっとむかしから。ねがいがかなってうれしい!」
すごい笑顔で答える。そんなにほしかったのだろうか
「へぇー、むかしからっていつから?」
「えっ、あっ、んーうまれてくるずっとまえ?」
あれ、冗談のつもりで言ったのに、妹の目が泳いでいる
「もしかしてうまれてくるまえのきおくとかあるの?」
「うん、まあ・・・ある」
凄く小さな声だが、あるって言ったな。・・・あるのかー
「ちなみにどんなきおく?」
「えーっと、うん!もうねよう」
あ、露骨に話をずらしたな
「ニュー、まだゆうごはんもたべていないぞ」
窓を見ると日が沈みかけて夕焼けがきれいな時間だ。それでも寝るにはまだ早い
「うぐっ」
「おしえてくれるか」
「おにいちゃんがこわいかおをしている・・・」
そんなにこわい顔をしているだろうか
「・・・わかった。はなすよ」
妹が折れた
妹は予想通り転生していたようだ。話を聞く限り、僕と同じ地球の日本から転生してきたように思える
「ニュー、もしかしてだけど転生前に住んでいた国って日本か?」
「うん、そうだけど・・・ってどうして知っているの!?」
「実を言うと、僕も転生しているんだ」
「・・・うそだ」
「本当だ。じゃないと日本とか知っているのはおかしいだろ」
「確かに。ということは、お兄ちゃんも転生者?」
「そうだ」
「なーんだ、じゃあ隠さなくてもよかったじゃん」
「いや隠すべきではあるだろ・・・」
「お兄ちゃんの前世はどんなのだったの?」
「僕の前世?つまらないぞ」
「いいよ、聞かせて」
「そうだな・・・」
特に変わり映えのない人生を送ってきたこと。なんか怪しい売人に騙されて死んだこと。前世のほぼすべてを妹に教えた。死ぬ間際に見た変な光景についても話しておいた
「なんかつまんない人生だねー」
僕もそう思うけど、言わないでほしい
[ちょっとだけ補足]文中の良く分からないアルファベットは反対からローマ字読みすると日本語になります
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