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傍観人如月哲也  作者: 双鶴


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7/11

第7話 開始90分、沈黙と爆発

模擬裁判、開始から1時間30分。

俺の議事録ファイル名は「沈黙と爆発」に更新された。

議論は一度、静かになった。

まるで嵐の前の静けさ。


---


傍聴人Aが、黙っている。

あの“議論クラッシャー”が、沈黙している。

俺は議事録に書いた。

《傍観人、沈黙。記録係、逆に不安になる》


陪審員たちも、静かだった。

誰もが、タカシの“正しさ”を語り尽くしたあと、言葉を失っていた。


---


そして、爆発したのは意外な人物だった。

陪審員の一人、主婦の田中さん(50代)が、声を震わせながら言った。


「私…タカシくんみたいな子、近所にいました。

 でも、見て見ぬふりしてた。

 “社会がなんとかする”って思ってた。

 でも、社会って…私だったんですよね」


俺は議事録に書いた。

《陪審員、自責の爆発。記録係、心が揺れる》


---


傍聴人Aが、静かに口を開いた。


「沈黙って、誰かに責任を押しつけるための道具になるんですよね。

 “自分じゃない誰かがやるだろう”って。

 でも、誰もやらなかったら、誰がタカシくんを救うんですか?」


裁判長が、深くうなずいた。


「…模擬裁判とはいえ、これは重い問いです。

 “傍観”は、無責任と紙一重かもしれませんね」


俺は議事録に書いた。

《傍観、責任の不在。記録係、傍観者でいることに疑問を持ち始める》


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