第7話 開始90分、沈黙と爆発
模擬裁判、開始から1時間30分。
俺の議事録ファイル名は「沈黙と爆発」に更新された。
議論は一度、静かになった。
まるで嵐の前の静けさ。
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傍聴人Aが、黙っている。
あの“議論クラッシャー”が、沈黙している。
俺は議事録に書いた。
《傍観人、沈黙。記録係、逆に不安になる》
陪審員たちも、静かだった。
誰もが、タカシの“正しさ”を語り尽くしたあと、言葉を失っていた。
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そして、爆発したのは意外な人物だった。
陪審員の一人、主婦の田中さん(50代)が、声を震わせながら言った。
「私…タカシくんみたいな子、近所にいました。
でも、見て見ぬふりしてた。
“社会がなんとかする”って思ってた。
でも、社会って…私だったんですよね」
俺は議事録に書いた。
《陪審員、自責の爆発。記録係、心が揺れる》
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傍聴人Aが、静かに口を開いた。
「沈黙って、誰かに責任を押しつけるための道具になるんですよね。
“自分じゃない誰かがやるだろう”って。
でも、誰もやらなかったら、誰がタカシくんを救うんですか?」
裁判長が、深くうなずいた。
「…模擬裁判とはいえ、これは重い問いです。
“傍観”は、無責任と紙一重かもしれませんね」
俺は議事録に書いた。
《傍観、責任の不在。記録係、傍観者でいることに疑問を持ち始める》




