表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傍観人如月哲也  作者: 双鶴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/11

第10話 終了5分前、傍観人が

模擬裁判、終了5分前。

俺の議事録ファイル名は「傍観人、記録完了」に更新された。

でも、まだ書き終わっていない。

最後の一文が、どうしても浮かばない。


---


裁判長が、閉廷の言葉を告げる。


「これにて、模擬裁判を終了します。

 本日は皆さん、ありがとうございました」


拍手が起こる。

でも、俺の中ではまだ終わっていなかった。


---


傍聴人Aが、立ち上がった。

そして、俺の方を見て言った。


「如月さん、あなたの議事録って…誰かの“目線”で残るものですよね。

 その目線が、誰かの“記憶”になる。

 それって、すごく大事なことだと思います」


俺は思わず聞いた。


「あなた…誰なんですか?」


傍聴人Aは、少し笑って言った。


「僕? ただの“元・記録係”ですよ。

 昔、模擬裁判で議事録書いてました。

 でも、ある日気づいたんです。

 “記録するだけじゃ、何も変わらない”って」


俺は議事録に書いた。

《傍聴人A、元・記録係。記録の先にあるものを見ていた》


---


そして、俺は最後の一文を書いた。


「裁くことより、語ること。

傍観することより、見つめること。

記録することより、記憶に残すこと。

それが、俺の模擬裁判だった。」


---


模擬裁判は終わった。

でも、俺の中では始まったばかりだった。

記録係という傍観人だった俺が、初めて“記録を超えた”日。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ