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スタートダッシュ

お茶の水学園の三年である澤田は学校の人気者であるというとても満足なスクールライフを送っていた。しかし、最近とあることで悩みを抱えていた。

美しい夜空、しかしそんなものかき消してしまうほど東京の夜景は綺麗だ。特に今の首都高は……。一般車がまるで止まっているように見える。何気ないコーナーが途轍(とてつ)もなく大きく迫ってくる。ほどなくして長い直線が現れ、俺の相棒は真の力を発揮する。250、260。メーターが揺れ始め、エンジンが(うな)りもっともっとと回転数を上げる。270……280……290。スピードが、体を、車体を、そして世界おも置いて行く。300………310………320。意識のみがともに進んでゆく……。330…………340…………。


「オイオイ、澤田(さわだ)。また寝てるぞ!」


ぐっすりと寝てしまっていたようだ。先生に叩き起こされ、眠気眼をこすりながら俺、澤田 陽介はさっきの夢のことを思い出した。まずもってお茶の水学園などという名門中の名門で熟睡するなどもってのほかなのだが……。そんなことは置いておいて、最近毎日のように見るこの夢に、陽介も少々いぶかしんでいた。最近友達の車に乗っているせい。その考えはすぐに頭から追い出した。…否。夢ではド素人のはずの自分が運転しているのだ。それに友達が乗ってる黄色のGT-Rではないからだ。夢で見た車の姿を思い出す。ボディは藍色。特徴的なヘッドライトとホイールをしていて、自分が感じたことのないスピードで走っている。そんな車を澄ました顔で操る自分……。こんなところに留まる自分をまるで導くように。想像しているうちにまた眠ってしまった陽介を、STチャイムという名の騒音アラームが再び叩き起こし、それを見ていた隣の男子は珍しくため息をついていた。

 放課後、陽介はいつも通り女子たちの群れから逃れると(内心めちゃくちゃ迷惑)逃げるように下校路を歩いていった。歩き慣れたそこには、陽介お気に入りの場所があった。そう、この時代ではおなじみの廃車置き場だ。陽介はここでいい車がないかとかれこれ2年、毎日と通っている。いつも通り軽快なステップでその中に入り新しい車両のある手前のほうからゆっくりと見ていく。するととある車に目が留まった。それは周りの車からしたら、真新しい感じの見た目をしていた。しかし陽介が立ち止まった理由はそれではなかった。


「なんだ。そいつが気に入ったのか?」


ボーと見ていると置き場のおっちゃんに話しかけられた。


「それはな、〝スープラ〟だ。四代目のA80型で昔は結構人気だったんだぜ。

俺も憧れの車だったよ。」


スープラというらしいその車に陽介が見入ったのはルックスではなく二つの理由からだ。まず一つは特徴的なヘッドライト。もう一つは、車の色だった。青と言うと少し暗く、言うなら、()()。そう、あの夢で見たものと全く同じ。まさかとは思った。あれは夢の中での話だと。しかし、今目の前に佇んでいるその車体はあまりにも似すぎていた。まだ決まったわけじゃないと興奮している心に言い聞かせながら、陽介はあることを思い出した。


「ねえおっちゃん、こいつに付いてたホイールってまだある?。」

「ホイール?…ああ、あれか。ちょっと待ってろ。」


それかどうかを確認する最後の方法。それは、ヘッドライトに続き特徴的なホイールだ。謎めいた十字の四本スポーク。あんなホイールは滅多に見ないので、流石にないだろうが少しの予感を頼りに最後の最後まで追求してみることに決めた。


「ほれ。こいつだよ。ほんとに変な趣味してるよ前のオーナーさん。」


そんなことを言いながらも大事に持ってきた(やっぱり車愛は高め)ホイールを見て驚愕した。十字の四本スポーク……。間違いなくこれだ。そう思いながら陽介は固唾を飲んだ。こんなことを思っているのは自分以外誰もいないだろう。特徴的なヘッドライトとホイール。そして藍色のボディ。スープラ、またのなお、()()()()()


「今回は今まで見に来てくれてたサービスで直してやるぜ。」


そんなことを考えているとおっちゃんが自信気に言ってきた。それが純粋な良心だとわかった陽介は、意を決してしっかりと張りのある声で。


「それではお言葉に甘えて。お願いします。こいつを直してください!。」


自分の運命を変える言葉は、以外にも簡単に出てきた。

 修理には一週間ほどかかった。車検証の更新も終わり、このスープラはついに自分のものとなった。今日、陽介は初めてハイウェイレーサーとなったのだ。早速放課後、こいつに乗って出かけることにした。行く場所はもちろんC1。ハイウェイレースの定番だ。だが走っているうちに陽介は少し味気なくなってきた。思っていたよりパワーが出ていないのだ。ギアチェンジも激しく、乗りやすさはあまり良くない。本当にこれがあの夢で見た。ものなのだろうか……。

・????


 「ようやくテストドライブまでこぎつけた。一体どんなチュ-ンしたら

こんなことになるんだろう。」


一頻り愚痴を言い終えたときには、すでにC1に上っていた。好みじゃないR33のチューニング依頼を受けたのは一週間前のことだ。どこからか僕の居場所を嗅ぎつけたようで、今のエンジンに合う足回りを組んでほしいと言ってきたのだ。最初は気が進まなかったのだが、多額の報酬となればやるの一択となってしまう。相変わらず金には弱いな。そんなことを考えていると目の前に奴は現れた。

・陽介


 「ん?何か来てる。」


やる気を失いかけていた俺は、後ろから来ている何かに気が付くのに遅れた。R32ではない。あの大柄ボディは、R33。気づいた時には、R33はパッシングしてきていた。

・????

目の前に現れたのは、どう見てもスープラ。みんながGT-Rを選ぶ中、スープラを選ぶとはいい趣味をしている。そんなことを考えてしまったがすぐに撤回する。チューニングがメチャクチャ過ぎる。普通より高めの車高に、明らかなパワー不足。どう考えてもノーマルよりひどい状態だ。あきれると同時に、このドライバーに興味が湧いてきたため、いつもなら気の向かないことだが


「お手並み拝見と行きますか。」


そう口に出してやる気を入れると、前のスープラに挑戦状のパッシングを行った。

・陽介


「コッチとらまだ初心者なんだよ!」


そう叫びながらもとてもうれしかった。消えかけていた心の火が再び燃え盛る。初めてのバトル。俺はそれを待ちわびていたのだ。興奮の中陽介は、了承のハザードランプを送った。

・????


「まあまあだな。」


ワンコーナー抜けるたびにそう思っていた。直線スピードはこちらの方が速いはずだが速さでねじ込むのは趣味じゃないし、バトルを始めたのもこいつの走りを見たいからなので、速度は全開にはせずとにかくコーナーで詰める。てっきり腕の立つドライバーかと思ったがそうでもないらしい。しかしこれが()()()ならば、成長すればいいドライバーとなるだろう……。もういいか、そろそろタイヤが限界だ。依頼車だから酷使はできない。次の連続コーナーで潰そう。そう僕が考えたとき。

・陽介


「クソ。全然離れない。」


完全にパワー負けしているのは確かなはずなのに直線よりもコーナーで差を詰められている気がする。

要するに舐められている。


「抜けなければいいんだ抜けなければ」


そう言って陽介は怒りを和らげる。こうなったら次のコーナーで絶対離してやる。そう考えたのもつかの間その瞬間はあっけなく訪れた。

・????

ここだな。今まできっちりとしていたラインが乱れた瞬間、アンダーに出たスープラを軽く抜いていく。ここからは遊んでやる必要はない。僕はそう考えると、立ち上がると同時に全開にして後ろにいるスープラをあっけなく離していった。

・陽介

何なんだ今のは!疲れでラインが乱れ、アンダーに出たところを内側から抜いていくと同時に、一瞬で離していく。陽介はただそれを呆然と見ているしかなかった。色々なことを考えている間にもR33は着々と速度を上げて、陽介とスープラを離していった。

挿絵(By みてみん)

ハイウェイマスター第二話(厳密には1話)を読んでいただきありがとうございます。このように少しずつの配信となります。なのでとんでもない話の数になるでしょうがそこのところよろしくお願いします。これからの澤田君はちゃんとしたハイウェイレーサーとなり、様々なレーサーやチューナーと交流しドラテクと並行して人間的にも成長していきますので楽しみにしていただければと思います。それでは、また次回お会いしましょう

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