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無職の職業勇者〜追放された俺は国のために働いたら負けかなと思っている〜  作者: 舞白茎


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6/11

6話 初めてのパーティメンバー……




「……」


 カナリデは静かに俺を見ていた。


「手を取ってステータスを確認して見てはいかがですかな」


 沈黙していた俺にモールモータさんは提案してきた。


「ステータスを確認……? ってなんだ?」

「知らないのですか? 職業勇者は手にした物の詳細情報を数値化も加えて見れるらしいですよ」

「え?」


 俺はカナリデの手を握ろうとする。女性の手に触れるのはいつぶりだろう……。ワクワクなんてしてはない。しちゃダメだろ。


「触れていい?」

「大丈夫です」


 俺はカナリデの手に触れる……触れるだけでは何も起こらずステータスを見ることを意識した。

 するとウィンドウが表示される。


 ステータス

 名前 カナリデ・ホンナーア

 種族 天使

 レベル 8

 HP 6720

 MP 514

 物理攻撃力 682

 物理防御力 401

 魔法攻撃力 314

 魔法防御力 369

 体力 447

 俊敏性 510

 痛打率 263


「おお……! 種族、天使と書いてある。種族欄なんてあるのか、ほんとに天使なんだな……」


 カナリデも、ぉぉっとウィンドウが出たことに小声で驚いている。


 ステータスが出た……が、この数値が凄いのか基準が分からないのでどうしようもなかった。


 自分のステータスは確認できないのか? 


 俺は視界の画面を探すとステータス欄を見つけた。


 ステータス

 名前 从ニニニ

 種族 職業勇者

 レベル 1

 HP 512

 MP 113

 物理攻撃力 21

 物理防御力 219

 魔法攻撃力 47

 魔法防御力 201

 体力 32

 俊敏性 40

 痛打率 56


 軒並み数値低くないか……!? 物理防御力と魔法防御力の防御力だけは他より高いが……これはこの服の効果か……? 見た目以上に性能はいいんだなこのジャージ鎧。


 改めてカナリデの数値と見比べてみる。


 こうやって見るとカナリデは凄い強いな。いや、俺が弱いのか?


「どうでしょうかお客様?」


 モールモータさんは俺に期待するように聞いてきた。


「強いと思います。まだこの世界のことを詳しくは知りませんが……とても」

「カナリデは天使になり全てのステータスが跳ね上がっていますからね」

「そういうことですか、なら……尚更俺ではなく別の人がいいと思います。丁度俺以外にも職業勇者が3人います。その内の誰かの方がいいと思います」


 俺は思うことを口にした。この人は強い。だから自分には相応しくない……と。


「はっきり申しますとそれは無理ですね」 

「え……何故?」

「奴隷は犯罪に手を染めた者がなるから毛嫌う対象で、それを従える者も同じなのです。よって国に仕える仕事のもの、職業勇者も奴隷を持ってはいけないルールがあります」

「そう、なのか」

「はい……ダメですかね? そ、それに相手を麻痺状態にさせる魔法も使えますよ」

「さっき変わった事情があるって言ってましたけど何があったんですか?」


 モールモータさんは言いづらそうに顔を下げ口を開いた。


「ちょっと人を……」

「あっ……言いいたくなければ言わなくていい。俺は聞いてもどうせ死ぬし意味ないから」 


 と話すとカナリデが声を荒げる。


「死ぬなんてそんなことを言わないでください」

「え……?」


 胸に少しだけ温かいものを感じる。

 そんなことを言われたのは初めてだったかもしれない。この瞬間俺は目の前の子を可愛いと思った。


「すいません余計なことを」

「いや……いい……買うよ」


 モールモータさんは表情をぱあっと明るくする。


「でも金ないよ俺」

「支払いなら持ち金全部でいいですよ……金貨を子供に上げたとか」 


 ぇ……とカナリデが小さく驚く。


 俺は躊躇なく袋ごと金を渡した。


「ありがとうございます!」


 モールモータさんがお礼を言う。


「大して入ってないんじゃ?」

「気にせずどうぞ〜」

「ん……?」


 俺が金勘定できないだけで意外とあるのか?


 考えているとカナリデが興味ありげに俺に話し掛けてきた。


「なんてお呼びすれば良いですか?」 

「从ニでいい」


 買ってしまった……どうせ直ぐ死ぬのに……気の迷いだ、また間違えちゃったな……カナリデ、この人のためにも記憶に俺が残らないように名前は呼ばないようにしよう。


「あの、俺がもし死んだらこの人はどうなります?」

「ここに戻ってくるだけですよ」

「そうですか……ならいいです」

「さて、奴隷契約を済ましてしまいますね」

「契約なんてものあるんですか?」

「はい」


 手早く服越しに背中へ触れる。紫色に光った。


「はい終了です」

「え、速いですね」

 

 思っていた以上の速さに俺は取り乱す。この人が慣れているから速いのかそういうものなのか……。


「それではお客様、パーティ登録をしてはどうでしょう?」

「えっと……パーティ登録ってなんですか?」

「ステータス確認の時もそうでしたが、もしかしてお客様は職業勇者の能力などをご存知ないのですかね?」

「はい……話されず城を出たので」

「それなら不肖わたくしめが説明しましょう」


 そうしてモールモータさんに説明してもらったことを纏めると。


・勇者のみが使える武器を勇者武具と言い、勇者のみが着れる服を勇者防具と言う。それらを纏めて勇者具と言う。


・勇者具の効果と勇者スキルはMPを消費しない。


・言葉や文字が翻訳される。(文字が書けるわけじゃない)


・箸、ホーク、スプーン、ナイフ、器、紙製品、布製品には勇者具でなくとも適正がある。(布で巻いても一定の距離に近づくと適正がない物は弾く)


・勇者具は壊れない。


・時間が常に表示される。


・自身の名前、レベル、HP、MP、状態異常が表示される。


・追加で三人までパーティ登録ができ経験値を分けられる。


・パーティ登録は全ての他の契約より優先される。


・パーティ登録していると職業勇者と一緒にエラー災やイベント、クエストへ転移する。


・パーティメンバーの名前、HP、MP、状態異常が表示される。


・持っている合計金額は纏めて表示できる。


 他にも色々聞いたが多いいので実践も混ぜて今度振り返ろう。


「それにしても奴隷商が何で職業勇者についてそんなに詳しいんだ?」 

「全てを知ってる訳ではございませんが昔お国絡みのことがありまして……ね」

「ふーんまあなんでもいいけど」

「剣と服装はサービスしておきますね!」


 カナリデは着替えそして俺と共に店を出ようとする。首輪は付いたままだった。


「足手まといにならないように気をつけて」 


 冗談っぽくモールモータさんは笑って俺に言ってきた。


「それは無理だな、はは」


 ぷくーとカナリデは何故か頬を膨らませモールモータさんを睨む。


 ゲームを思い出す。周りとやると馬鹿にされるからリアルで通信しないといけないゲームは買わなくなった。パーティメンバーもできて一人でやるゲームみたいで少しワクワクするな!


 俺は店を出て歩みを進めた。


「さーどうなるのか、これからはあなた次第ですよ……言ってらしゃいませ無職の職業勇者様……」



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― 新着の感想 ―
舞白茎さん、連日のご投稿お疲れ様です。気が付いたら6話まで一気読みしてました。从ニの境遇が過去の自分と自然と重なるところがあり、痛みと哀切さ、やるせなさと無力感を思い出しつつストーリーを追っています。…
てっきり元騎士のくっころお姉さんとか、獣人の可愛い女の子とか想像してましたが、天使様とは斜め上の発想でした。これから先どんな展開になるのか全く読めません。続きの話が出るのを楽しみにしてます。俺も自分が…
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