2話 召喚前の職業
……職業勇者……?
RPGゲームとかヨーロッパの方にあるお城の中と言った場所。室内からは白い柱などあらゆる物で気品と威厳も感じる。
虹色に光る窓ガラスがより一層その気配を増していた。
高価な物を付けた白ひげの男は話す。
「私はこの国ボアスの国王をやらせてもらっているユーテラハ・マキナブシックレスランです」
国王……? 名前長いな……。
「周りにいるのが皆様を召喚するのに集めた召喚魔道士です」
やっぱり魔道士なのか。
あの……と白衣の男が口を開いた。
「国王様、よろしければ私はいったい……どうしてここにいるんでしょう? 患者を見ていたはずなんですが……後ここの三人は……?」
「順を追って話しましょう。古文語訳聖書によれば……」
何だそれ? 古い本ってことか?
国王様は話した。曰く、この世界はモンスターが現れ人々を襲う世界。内容もモンスターも出現タイミングもランダムで発生するエラー災と言うものを職業勇者である俺たちに退けてもらいたいと。
その後の情報も纏めると。
・職業勇者ならエラー災の発生タイミングが事前に通知される。どれぐらい事前かはその時々。場所も見れば分かる。
・エラー災が始まると職業勇者は強制転移させられることがある。一般人は予報魔導士からの報告で知るがそれも職業勇者なら通知が来れば見たら分かる。
とのことだ。
「皆さんに分かりやすく言うとこの世界はゲームの世界と言う所らしいです」
ゲームの世界? そうかそれでなんか時間とか名前とか表示されてるのか。確かにこの画面はゲームっぽいな。
それにしてもどうでもいい所だが……。
「エラー災って、エラーの祭り? ってことか?」
俺はボソリと呟いた。
「災いの方です」
「あーすいません」
「全然良いですよ」
国王様は優しく笑顔で返してくれる。
「我々はエラー災と言うのを知らなすぎたのです。1ヶ月前に来たエラー災は人々が思い浮かべたモンスターが大量に出てくると言うものでした。膨大な被害と沢山の死者を出してしまった……そこで古文語訳聖書に書いてあるエラー災の時、職業勇者がエラー災を退けると言う内容を信じ従うことにしました」
「あの質問いいですか?」
白衣の男が声を上げた。
「ん? なんですか?」
「その……職業勇者? をもっと呼ぶことはできないんですか? 見た所私たちで4人だけですよね少なくないですか? もっと沢山呼んだ方がいいのでは?」
「なるほど流石は職業勇者様、とても良い着眼点です。ですが残念ながら一度で召喚できるのは最大4人までと決まっていて、次召喚できるのはいつになるか分からないのです。頼りにしている古文語訳聖書も相当古いもので、今まで召喚できなかったことを考えると恐らく300年、600年できないであろうと考えられます」
「なるほどそうですか……」
「それと皆様、職業勇者を召喚したことはまだ外には話してないませんが一部噂として漏れている可能性があります。このことに関しては誠に申し訳ないです」
手を叩き国王は話を続ける。
「それでは気を取り直し、ここにいる4方は召喚前の職業が能力に出る職業勇者として召喚させていただきました。どういう能力かを知るため、つきましては……皆様の名前と召喚前のご職業をお聞かせ願いますか?」
…………。
誰も話さず無言の空気が流れた。
俺死ねなかったのか……死ぬ寸前で召喚されちゃったってことかよ……てかえ、ちょっとまて、召喚前の職業が能力に出るって……。
誰も話さずにいたからか白衣の男が前へ出た。
「取り敢えずは質問に答え、説明もしてくださったことにお礼をしておきます。ありがとうございました。自己紹介をしないと話が進まなそうなのでしておきますが、私は瀕舞心六、召喚前は医師をやってました」
「医師の職業勇者……!」
おお、と周りがざわつき自然と拍手が起こる。国王もうんうんと頷いている。
え、医師? 確かにそんな服装に見えるが……でも俺は……。
工事現場で見る服装の男が話す。
「俺は隅銘京覇っす。職業は見ての通り大工っす」
「大工の職業勇者……!」
またもおお! と笑顔が増え感嘆が湧くと共に拍手が舞い上がる。
やっぱ見た目の服装に職業が出るんだ……じゃああのドレスの女性は何の職業だ? ってそんなことより俺だ俺、無職ってニートってどうなるんだ?
白髪でドレスの女性が可憐に口を開いた。綺麗な耳奥に届く声が会場に響く。
「あの……言わなければいけませんか?」
「申し訳ありませんがお願いします」
「そうですか……私の名前はアミィー・フルーアフラーレと言います。職業には……就いていると言うか、就いていないんです……」
名前外人? 異世界人……? てか嘘、同じ無職!?
周りがひそひそとざわめく。
「え?」
「それって……」
「まさか」
「不味いぞ」
え、やっぱりなんか不味いの……?
国王が訝しみながら聞く。
「でもそのお姿、何かしら高貴なお方だったのでは?」
「その……私は……王妃の娘で王女でした……」
「なっ!!」
その瞬間一斉に周りが驚愕する。そして、国王がポツリと呟いた。
「プリンセスの職業勇者……」
声量を高め、大切にするかのような言い方で優しく話した。
「それは素晴らしいですよ! 安心してください恥じることなどありません! 寧ろ誇るべきです!!」
周りも拍手しながら頷き笑顔で話す。
「パーティの準備でもしますかね」
「歓迎します!」
「逆に凄いですよ!」
おいおい随分褒めるなー。
話した国王は布で汗を拭く。そして俺の方を向いた。
「いやいや凄いですね皆様のご職業は」
俺に話し掛けてきた?
「はは、そうですね」
「そうなんですよ……では是非あなたのことを今度はお聞かせください」
「………………」
俺は何も言えず長い沈黙が流れる。
周りや国王は不思議そうにしていた。
最悪だ。別世界に来てもこれか……。
「あの……言いづらいかもしれませんがどんな些細な職業でもそれは立派な職業で――」
国王が話していたのを俺はそれ以上聞きたくなくて遮って言ってやった。
「俺は从ニニニ、召喚前は何の職業にも就いてない無職だ!」
……。
「冗談ですよね?」
「本当ですよ」
「……」
周りがざわめく。
「なんてこった」
「クソッ」
「いけない」
「これは……」
国王が眉を顰め顔を怖くし、大口を開く。
「ちっゴミが……!!」




