マレディク-ダンジョンと オタク女子
やっとダンジョンに挑戦出来るサクラだったが、
思っていたのと、ちが〜う、らしい、
休憩中に色々と注文を受けていたサクラは、
超ハイスピードで注文を済ませて、
次の日はやっとダンジョンに向かう事が出来た。
エイストと約束していた、
クラテルの町の近くのダンジョンから攻略する為、
早朝クラテルの町の城門前に立つサクラ、
「すみませ〜ん、領主のオッサンいますかぁ〜?」
城門の上の兵士がサクラに気が付き、
「あっ、マスターさん今門を開けます」
門から中に入ると、
忍者太郎達が出迎えてくれて、
「マスター、朝早い」
「うん、グズグズしてると、
何を頼まれるか分からないから、
みんなが寝ている内に出て来ちゃった」
太郎は頷いて、
「朝食はまだ食べて無い?
オッサンが起きて来るまで、
そこのベンチで朝食を食べて」
サクラは忍者太郎達に疑いの目を向けて、
「何故そうなる?」
「太郎全員でマスターを育てる事になっている、
食事は近くにいる者がお世話をすると決まっている、
やっと私達の番が回って来て嬉しい」
「それって太郎君達が話し合っているって事?」
「私達はみんな繋がっているから、
話し合うって感じでは無く…
上手く説明つかない、
思いはひとつと言う感じ」
「ふ〜ん、何と無く分かるような…分からん」
「マスターアイテムボックス開けて」
サクラがアイテムボックスを開けると、
忍者太郎達はせっせとテーブルを出し、
朝食の用意を始める、
おにぎりセットと飲み物をテーブルに並べると、
「さ〜召し上がれ」
サクラは用意された物を眺めながら、
「いつの間にかアイテムボックスに、
色々用意されているみたいだね」
サクラはおにぎりを一口食べて、
「塩シャケだ、美味しい、
いつの間にか色々作ってくれて、
感謝しか無いや」
「マスターを1年くらい、
食べさせられる量を保管している」
「へっへ〜凄いね、
アイテムボックスのお陰でそんな事出来るんだ」
サクラがおにぎりを食べ終わる頃、
エイストが慌てて走って来て、
「お嬢さん、いつも言っているけど、
前もって連絡して欲しいんですが」
「ええ〜ダンジョンの場所聞きに来ただけだし」
エイストはー「はぁ〜はぁ〜」言いながら、
「こっちもね、
聞きたい事や頼みたい事もあるんですよ」
サクラはエイストを見つめながら、
「ほらね、前もって連絡なんかしたら、
色々頼まれそうで危なかったわ〜」
エイストは「あっ」と声がもれていたが、
気を取り直して、サクラに地図を渡しながら、
「この◯がついている所がマレディクダンジョンだ」
サクラは地図を眺めながら、
「1箇所じゃ無いんだ、
3箇所か…どう回ろうかなぁ〜
楽しい事はじっくり攻略していこ」
地図をしまってから立ち上がり、
「オッサンありがと、
今から行って来ま〜す」
「相変わらずせっかちだな、
1つ聞いて良いか?」
「なに?」
「その肩に乗ってる不思議な馬は何だ?」
「あ〜新しい家族だよ、
馬を保護したから、
馬を召喚出来るようになったの、
ユニコーンとペガサスを合体した、
ユニペガちゃん宜しくね」
エイストは呆れた顔をしながら、
「それも話せるのか?」
「勿論、ユニペガちゃんオッサンに挨拶して」
ユニペガちゃんは飛び上がり、
エイストの周りをクルッと回ってから、
エイストの顔に近付いて、
「オッサン、初めまして」
ユニペガちゃんの可愛らしさに、
「ウッ」と声が出てしまったが、
「こちらこそ宜しくだ」
サクラはニコニコ笑いながら、
「じゃあ行って来る」
「マスター、待って」
忍者太郎が呼び止め、
「マスターまさか、1人で行く気か?」
「えっ?ユニペガちゃんがいるし、
何かあれば向こうで太郎君達を召喚するよ」
太郎は難しい顔で腕を組んで、
「今召喚してから行って欲しい」
サクラは両手を広げて、
「やれやれ…過保護過ぎなんだよ」
サクラは忍者太郎を2人召喚してから、
「これで良いでしょ?行って来ま〜す」
サクラは忍者太郎達と一緒に高く飛び上がり、
飛んで行ってしまった。
空を見上げているエイストに向かって忍者太郎が、
「良く我慢したな」
エイストは驚いて、
「なっ何を言ってる、我慢なんかしてないぞ」
太郎は「フンッ」と鼻で笑ってから、
「本当は一緒に行きたかったくせに」
そう言い放った太郎達は、
朝の狩りに行ってしまった。
残されたエイストは苦笑いで送り出す、
サクラは1番近いダンジョンの入り口に立ち、
「なんかさ〜入り口デカ過ぎじゃ無い?
それに中は真っ暗だよね…普通の暗いじゃ無くって、
絵の具で塗ったような黒、
採掘場は夜に行ったけど、
こんな暗さじゃ無かったような気がする」
太郎達はサクラの前に出て、
「マスターの言う通り、
何か違う空間のような気がする、
だから後からついて来て」
「分かったけど、
その前に、光石用意するよ」
サクラはアイテムボックスから、
光石を幾つか出して上に投げると、
光石がフワフワと浮いて、
「どうよ、石に風魔法を纏わせて、
ついでに追尾機能もつけてみた」
忍者太郎達は手を叩いて、
「マスター、最高、
魔法を使いこなしてる」
サクラは「アハハ」と乾いた笑いをし、
「まだまだだよ、
風魔法は何とかなってるけど…
火の魔法がね…
クヨクヨしてられない、
治癒魔法が使えてるだけで今は満足、
ダンジョン攻略するぞ〜」
太郎達とユニペガが声を揃えて「お〜」と叫び、
ダンジョン中へと入って行った。
一歩中に入った途端空気が変わる、
「やっぱ、普通の洞窟じゃ無いね、
別空間に入ったみたいな感じ」
そんな事を言いながら歩いて行くが、
ただの一本道で分岐する気配も無い、
サクラは光石を1つ掴んで前に投げると、
何も無い一本道だった。
「こんなダンジョンあり?
だだのトンネルだよ、
思ってたのと…ちが〜う、
面倒だから走って行くよ」
そこからは凄い勢いで走り、
1キロ程走るとモンスターが現れる、
「やっとモンスターが出たが…
なんかグニャグニャだね、これがスライム?
もっとこう…何だキッスチョコみたいに形で」
「マスター、ゲームのし過ぎ」
「そうかもしれない」
そんな感想を話していたら、
緑色のスライムが寄って来てサクラの足に食らいつく、
忍者太郎達は慌てて斬りかかろうとしたが、
サクラが手で制止する、
スライムはサクラのスニーカーと靴下を溶かし、
今度は足を溶かすのかと思った所で止まってしまった。
「どうした?止まっちゃったよ」
忍者太郎達もサクラの足元を見て、
「マスター、何をやっている?
スニーカーと靴下はこの世界に無いのに…」
サクラは「アアアアア〜」と叫んだその時、
スライムが勝手に灰になって行った。
「これって…
呪いのアクセサリーを装備した時と同じだね、
アタシの足に反応したって事?
あっ、何かあるよ」
サクラが拾ったのは緑色の指輪だった。
指輪を鑑定してみると、
「呪いの指輪、上級風魔法、
ランクSだって…スライムだよSっておかしいでしょ」
「モンスターが強すぎて倒せないって、
誰かが言ってた、
このスライム本当は凄く強いのかも、
灰になったけど…」
「あ〜そんな事言ってたね、
誰だっけ…まっそんな事は良いか、
とにかく走って、
途中のモンスターを倒しまくって行こう」
そこからはただ走り、
出て来たモンスターを倒しまくり、
スライムからゴブリンに変わり、
次は普通サイズのオークが出て来る、
奥に行く程強いモンスターに変わって行く、
1時間程走っていると、
道の真ん中に宝箱らしき物が置かれていた。
「何これ…宝箱?
宝箱ってさ〜
もっと曲がりくねった道の先が、
行き止まりになって宝箱を見つけるみたいなのじゃ無いの?
後は扉を開けたらそこに宝箱とかね」
「マスター、ゲームの影響受け過ぎ」
「そうかも知れないけど、
この世界の普通のダンジョン行った事無いから、
これが普通か分からないよね」
「誰かに聞くと良い」
「そうだね、今度オッサンに聞いてみるか、
では初めての宝箱を開けてみるかね」
「開ける前に鑑定した方が良い」
「大丈夫だよ、
ミミックみたいなモンスターだったら、
倒した方が良いアイテムが取れるだろうし」
サクラは宝箱の蓋を開けると、
甘ったるい匂いがして来る、
「あっ、例のあの匂いだよ」
宝箱の中には麻の袋が幾つか入っていて、
触ってみると粉のような感触だった、
「これが紫の悪魔の元凶だよね?
一応持って行くか、
この先の宝箱は開けるけど、
同じ物だったら放置という事で」
サクラ達は再び走り出し、
数時間走った所で、
「マスター、昼休憩を取った方が良い」
「え〜このまま最後まで行っちゃおうよ」
「我儘はダメ、1人だったら休まずに行ってた、
ついて来て正解、
この洞窟は一本道の様だけど、
下に向かって進んでいるようだ、
なにか嫌な予感がする」
サクラは太郎の顔をマジマジと見て、
「太郎君、
アタシも何かが濃くなってるのは、
気が付いていたけど…」
サクラは鼻をスンスンさせて周りの匂いを嗅ぐ、
「甘い匂いが濃くなっている、
仕方無い太郎君の指示に従って、
お昼休憩としますかね」
忍者太郎達は嬉しそうに支度を始める、
サクラは用意されたテーブルの上に、
モンスターから出たアクセサリーを並べて鑑定をする、
「へ〜これは予想通り、
モンスターが強くなるとランクも上がるけど、
Sプラスとかもある、
ダンジョンって誰が作ったんだろう?
それとも自然現象なのか?」
「それは星神に聞くと分かるかも知れない」
「星神ね〜世間知らずだからな、
モンスターが何で出現するかってルーアから聞いたんだよね、
ルーアなら知っているかな?」
太郎はテーブルの上のアクセサリーを片付けて、
代わりにサンドイッチと飲み物を乗せる、
ユニペガもテーブルに乗って来て、
「マスター、僕も食べたい」
「キャ〜ユニペガちゃんも一緒に食べよ」
サクラはサンドイッチを小さく切り分けて、
ユニペガに食べさせていると、
太郎達を見上げて、
「前から気になってたんだけど、
太郎君達って何か食べてる?」
「何も食べない」
「食べなくても大丈夫って事?」
太郎達は頷いて、
「本当は動物達も何も食べなくても大丈夫だけど、
食べる事を楽しんでいるようだ、
食べると周りの者も喜ぶし」
「じゃあ太郎君達も一緒に食べようよ」
「私達が食べる分を他の人に食べさせたい、
特にマスターが喜んでくれる事が1番のご褒美」
サクラは目を潤ませながら太郎達を見つめて、
「いつもアタシの事を考えてくれてありがとう、
毎日感謝してるよ」
太郎達は大きく頷いて、
「親代わりをしている私達は、
当然の事をしているだけ、
早くポルン位まで大きくなれ」
太郎を見つめたまま固まるサクラ、
「太郎君…アタシはもう背が伸びる事は無いよ、
この歳になると横に伸びるだけだから」
太郎達は首を左右に振って、
「大丈夫、マスター、
私達がついていれば必ず大きくなる」
昔のコメディアンの言葉らしいが、
オヤジがある時期連発していた言葉がある、
(ダメだこりゃ…)そう心で呟いた。
休憩も済んで再び走り出すと、
道の向こうに変な物が山積みになっていた。
近付いて行くとサクラが「ゲ〜」と言いながら止まる、
太郎達は先に進み山積みされている物をチェックをして、
「マスター、これは白骨化した死体」
「みなまで言うな、分かっているから」
太郎達は白骨死体を優しく並べて、
「全部で97体ありましたが、
種族が色々みたいだ」
「それはおかしいよね?
違う種族が一緒にダンジョンに入る訳無いし、
モンスターの数も結構いたから、
ここまで入って来れ無いよね?
あっそうか…このダンジョンのアクセサリー装備してる?」
太郎達がチェックして行くが、
「アクセサリーは装備してない、
剣や杖は持っていたみたいだ」
サクラは腕を組んで「う〜ん」と唸りながら、
「このまま置いて行くのも可哀想だよね…
アイテムボックスに入れて行くの?死体だよ…」
「マスターのアイテムボックスは、
モンスターの死体だらけ、
今更嫌がる必要は無い」
「えっ?」
「マスターのアイテムボックスは、
モンスターの死体だらけ」
サクラは乾いた笑顔になって、
「いや、2回繰り返さなくても分かっているから、
今更嫌がる必要は無いって事でしょ、
ご遺族の方達の事を考えると、
連れて帰った方が良いよね」
サクラは覚悟を決めて、
アイテムボックスから麻布を大量に出し、
白骨死体を麻布で丁寧に巻いていく、
「マスター偉い、ちゃんと手伝っている」
「アハハ、流石にね…
でもさ、
これって誰かがここに死体を集めたとしか思えないよね?
そうじゃ無かったら…」
「そうじゃ無いとは?」
「このダンジョンさ、
なんか別次元みたいな感じでしょ、
入り口は多数あるけど…中はみんな一緒とか?」
「さすがマスター、賢い」
「いや〜褒めすぎだよ〜、
アホとか変とか言われ慣れてると、
褒められた時のリアクションに困る、
それに、そうと決まった訳じゃ無いから」
そんな話をしながら白骨死体を、
全てアイテムボックスに収めると、
再び走り出すが永遠と続くダンジョン、
変わるのはモンスターだけ、
「ダァ〜いつまで続くんじゃ〜
マジダンジョンってこんなん?
なんかちが〜う、
地下に潜ってる感はあるだけど…」
「マスター、外は多分もう夜中、
今日はここで明日の朝まで休む」
「仕方ないか…
ね、オッサンの所にいる太郎君達に普通のダンジョンは、
どんな感じか聞いてもらえない?」
「御意、マスター、
その間に夕食を食べて」
忍者太郎達は、
食事と寝床の用意をして、
サクラを椅子に座らせると、
エイストの所の太郎と念話を始める、
「今からエイストから聞いたダンジョンの話をする、
ダンジョンの中はそれぞれで、
洞窟状とオープンワールド、稀に海、
時間もバラバラで暗かったり明るくかったりする、
天気もバラバラ、環境もバラバラである」
「へぇ〜ゲームのダンジョンに近いね、
やっぱこのダンジョンは変だよ、
大きな生き物の腸の中を走っている様な感じ、
終わりが有るのかも分からないから、
明日は全部無視で走って行こう」
「了解、マスター、
ではもう寝ましょう、
さ〜さ〜布団に入って」
太郎達の行動は幼児の世話をする母親そのもの、
サクラの横にはユニペガまで寝かせて、
光石に布までかけている、
そんな太郎達を見て、
幸せを感じながら眠りについたサクラ、
翌朝も早くから走り出して、
数時間走ってから突然サクラが、
「これさ、最後に行くためのギミックがあったりするのか?」
「その様な仕掛けは何も無かったと思う、
一応マッピングしながら走っていたから」
「マッピングってそんな事出来るの?」
「走ったコースは全て覚えている、
これはマスターが方向音痴な時がある為、
太郎達全員の必須科目」
「そっそうなんだ…ご迷惑お掛けしてます」
「迷惑では無い、
マスターの世話が私達の幸せ」
「やばい感は否めないが…
太郎君達だから、良しとする、
アタシも何かしてみる、
下に向かってサーチ魔法をかけてみるよ」
サクラは目を閉じてサーチを始める、
意識を足元からずっと下に移していく、
「あっ、広い場所が見つかった、
めっちゃ広い所に何かが有ったよ」
「何か?モンスターでは無い?」
「うん、生き物って感じでは無いかな?
後、半日走れば着きそうだ」
太郎は頷いて、
「ではここで昼休憩を取る」
「へぇ〜い」
休憩を取ってから再び走り出す、
無言で走りるサクラ達の速度は、
本人達は気が付いていないが、
時速200は出ていた。
数時間走ってやっと辿り着いた場所には、
とんでも無い大きさの扉があった。
「何じゃこりゃ〜!」
「マスター、声が大きい」
「だって…
あまりにもここまで何も無さ過ぎて、
つまらな過ぎて死ぬかと思った」
「相変わらず大袈裟なマスター」
「太郎君達と話していると、
親と話しているのかと勘違いするくらい、
同じ事言うよね」
「そんな事、言われて光栄だ」
サクラは脱力しながら扉に手をかける、
「あっ、思い出した、
この扉ってさ、あの漫画の扉だよ、
キ◯アの実家の扉、何トンもある重い扉」
「マスター、興奮している所悪いが、
早く開けて欲しい、
また夜中になるのは子供には良く無い」
「へ〜い、開けさせてもらいますぅ〜」
扉を押してみると、
漫画の扉とは違って軽く、
何の問題も無く開けられた。
「何だ、大きいだけで重く無かった」
感想を述べながら中に入ると、
真っ暗な部屋に何かの気配を感じ、
部屋の中に光石を飛び回らせた。
広い部屋の奥にとんでも無い大きさの何かがいる、
「マスター、私達が先に行く」
「いやいや〜それは無いでしょ、
初めてのダンジョンボスだよ、
アタシが先に行かせてもらいまっせ〜」
そう言ってサクラは高く飛び上がり、
大きな気配の正体を見に行く、
部屋は広く天井まで70メートル位ありそうだ、
部屋の奥にいた者に光石を投げると、
ただの黒い壁の様だったが、
上を見上げると顔らしき物を確認できた。
サクラの目に入ったその正体は、
「ドラゴンじゃ〜
真っ黒なドラゴン、ブラックドラゴンだぁ〜」
サクラは叫びながら変な動きをしている、
太郎達は目を細めながらサクラを見上げ、
「マスター、喜びの舞は後にしてもらえますか?」
サクラが騒いでいる所に、
ドラゴンは容赦無く右手をサクラに振り下ろす、
サクラは変な動きをしながら、
ドラゴンの右手を軽く振り払い、
「いきなりなんだ?礼儀がなっていない」
「名前を覚えるのが面倒だからと、
オッサンとおじいちゃんで区別している、
マスターは礼儀とかは言っちゃいけない」
「はぁ〜?今そんな事言う?」
「間違った時に直ぐ注意をするのが、
良い子育ての基本」
ドラゴンは攻撃を繰り返して来るが、
軽く避けながら、
「もう、その子育てのくだりはもういいよ〜」
サクラは文句を言いながら太郎の元に降りると、
「そんな事よりさ、
あのドラゴンなんか変なんだけど、
実態が無い様な…ホログラムのような、
攻撃は当たるんだけどさ」
「では私が切り刻んで来ます」
太郎はそう宣言して走り出し、
ドラゴンの手前でジャンプすると、
ドラゴンの首に向けて双剣を振る、
ドラゴンの首を確かに剣が切り裂いたが、
出血も無いまま自動的に治癒されて行くが、
ドット画が動く様に治療されていく、
「えっ?暗くて良く分からなかったけど、
普通じゃ無かったよね?
ドット画みたいだった、
ここってゲームの世界って事?」
「マスター、落ち着いて、
この世界はゲームでは無い、
だが、このダンジョンは何か変だ」
「暗いのが悪い、
ここを明るくするよ」
サクラはアイテムボックスから、
光石を大量に出し部屋に放り投げる、
光石は均等に並んで部屋を明るくして行った。
部屋が明るくなりブラックドラゴンの姿がはっきり見えると、
「何だあの大きさは?
30メートル位あるか?
忍者太郎君達の双剣では、
ちょっとした切り傷位にしかならないよ」
「ではマスター、私達を大きくして、
剣もそれに合わせて大きく」
「よっしゃ〜大きくするよ…
30メートル位でいい?」
「それで大丈夫」
サクラは忍者太郎達に手を向けると、
忍者太郎達が大きくなっていった。
大きくなった太郎達は、
左右に分かれてドラゴンに向かって行く、
1人はドラゴンの膝の後ろを切りつけ、
もう1人はジャンプして、
ドラゴンの頭に向かって剣を突き立てる、
ドラゴンはよろめいたが、
踏みとどまって太郎に向かって、
真っ黒な炎を吐き出す、
「おお!ブレス攻撃だ、
炎が黒いけど…あれ炎なのか?
それとも闇ブレス?」
そんな事を考えていると、
ブレスを避けた太郎にドラゴンが大きな尻尾を振って、
太郎を吹き飛ばす、
その頃には切り付けた傷も自動回復して、
元の状態となってしまった、
吹き飛ばされた太郎に、
「太郎君大丈夫?」
太郎は壁に激突して左腕が折れてしまっていた。
「マジか?太郎君の腕が折れるって初めてだよ、
太郎君、アタシの体に戻すね」
サクラは太郎に向かって飛んでいき、
太郎を自分の体に吸収した。
もう1人の太郎はドラゴンの攻撃を、
避けながらドラゴンに切りつけて行くが、
自動回復が早過ぎて無駄な攻撃となっている、
「太郎君、一旦元の大きさに戻すから、
アタシと交代ね」
「いくらマスターでも相手にならない」
「大丈夫だよ、
物質攻撃がダメなら魔法を使ってみるから、
一回下がって」
サクラは太郎を元の大きさに変えると、
「ユニペガちゃんもアタシの中に戻って」
「僕、マスターの戦う所見てたい」
「しょうがないな〜じゃあ、安全な場所にいてね」
サクラは高く飛び上がると、
小さな虫の様にドラゴンの顔の周りを飛び回る、
その間に鑑定魔法をかけてみるが、
鑑定不可能の文字が浮かび上がり、
「何だって?」
次にサーチの魔法もかけてみると同じサーチ不可能の表示、
「なるほどね〜と言っても何も分からん、
黒いから闇っぽい、
闇には光魔法が有効か?
光魔法と言えば…カッコイ◯ポーズ?」
サクラは飛びながらチラッと太郎を見て、
「絶対何か言われるだろうが…
欲望には逆らえない」
サクラはある漫画の真似をして、
小さく「カッ◯イイポーズ」と囁いて、
ポーズを決めて止まる、
そこにドラゴンの容赦無いブレス攻撃、
ブレスに吹き飛ばされるサクラを見て太郎が、
「マスター、遊ぶのやめて、
また漫画の真似をした」
ブレスに吹き飛ばされても平然としているサクラ、
「ちょっと試しただけじゃん、
今度は中から攻めてみるよ、
ザッ、一寸法師攻撃」
「マスター、遊ば無い」
太郎の叫びが虚しく響き渡ったが、
サクラの耳に届かず、
サクラは回転しながら、
ドラゴンの心臓の辺りに体当たりする、
体当たり直前に放った、
炎のバズーカがドラゴンの体に穴を開け、
そこにサクラが入って行く、
「マスター、モンスターの解体を見る事もでき無いのに、
何で体の中に入った?」
太郎が呟きながらドラゴンの様子をみていると、
ドラゴンの動きがおかしい事に気が付き、
サクラに念話を送る、
「マスター、今何してる」
「じっとしている」
「ドラゴンの体内に入って大丈夫か?」
「あっ、そうじゃん、内蔵じゃん、
何も考えずに中に入っちゃったよ、
それがさ…なんて言うのかな、
つぶつぶゼリーの中…違うな、
何かのデータの中みたいな感じ、
初めての経験で説明が難しいんだけど、
危険では無いから安心して、
魔石みたいのが無いか探してみる」
サクラはドラゴンの中を泳ぐ様に上に下に移動すると、
痛みがあるのかドラゴンが暴れ出す、
「マスター、ドラゴンが暴れている大丈夫か?」
「マジ?中は何とも無いよ、
それと思い出したんだけどさ、
星神がドラゴン族がいるって言ってたよね?
このドラゴンもそれなのかな?
だったら会話とか出来そうだけど」
「このドラゴンと会話するのは無理だ、
知性が感じられ無い」
「確かに…なんかデータみたいな、
ホログラムみたいな感じ?
誰かが作ったのか?
あっ、何かある、
ちょっと取ってみるね」
サクラが中で動き回ると、
ドラゴンは益々暴れて壁にぶつかり、
壁が崩れて行くが、
壁が剥がれた向こう側は、
真っ暗な世界が広がっていた。
一方サクラはドラゴンの胃の辺りに大きな塊を見つける、
「太郎君、変な塊見つけたよ、
きも〜塊の周りに血管が這う様に何かが絡まってる、
きもいけど…手で取ってみる」
その後ドラゴンが断末魔のような叫びを繰り返し暴れるが、
突然倒れて動かなくなってしまった。
ドラゴンの体は溶ける様に薄くなり、
体全体が薄くなると今度は、
丸い何かが浮かび出して、
シャボン玉の様に空中で消えて行く、
「マスタ〜〜〜、
早くドラゴンから出て」
「フェッ?大丈夫だよ」
ドラゴンの体が殆ど消える頃、
ドラゴンの体の真ん中にサクラが何かを持って立っていた、
太郎は駆け寄って、
「マスター、良かった無事だった」
「太郎君が慌てるなんて珍しい、
ほらこれを見てよ」
サクラが持っていた物は、
サクラの胴体位の大きさで、
黒い楕円形の塊だったが、
魔石の様に硬くは無く弾力があり、
「ほら見て、プニョプニョするんだよ、
気持ち悪いよね、
それとなんか嫌な感じがするから、
ガラスのケースに入れて行くよ」
サクラは塊を太郎に渡すと、
ガラスのケースをイメージし作り出し、
「ここに入れて持って帰ろう」
太郎は塊を入れて、
「マスター、崩れた壁の向こうを見て」
指示された方向に目をやると、
「何だ?真っ暗だね?
宇宙空間?違うか星が無いもんね」
「この部屋も崩れ始めてるから、
直ぐに出た方がいい」
「そうだね、ユニペガちゃん出るよ、
ダンジョンの入り口に戻って、
後2つのダンジョンの入り口の確認に行く」
ユニペガはサクラの肩に乗り、
太郎と一緒にポータルを通って戻るのであった。
読んで頂きありがとうございました(^-^)/




