シャーと オタク女子
サクラ対シャルーンのお話、
城の広い廊下を歩く変な集団、
大きな木の人形が年寄りをおんぶや、
お姫様抱っこして、
子供が1人肩車されて喜んでいる、
先頭を歩く変なヒューマンの少女サクラは、
目が据わっていて機嫌が悪そうであった、
移動中兵士やメイドに遭遇したが、
近衛兵達が事情を説明しながら先に進んでいく、
すれ違う者達は王の姿を見て号泣しながら、
何故か後ろからついて来てしまった、
サクラは振り返りながら、
「民族大移動かよ…」と呟くと
太郎がつっこむ、
「マスター、
民族大移動はこの状況には当てはまらない、
この人達はゲルマン人じゃ無い」
サクラは太郎の顔を怪しげな目で見つめ、
「太郎君…ゲルマン人って何?」
「民族大移動した人達」
「へっ…へぇ〜
太郎君は、何でそんな事…知ってる?」
「オヤジのお陰、
オヤジは歴史が好きで、よく検索してた」
サクラは大きなため息をついて、
「今はシャーに集中するよ」
そんな話をしている間に、
目的の場所に着いたようだ、
近衛兵の1人が、
「そこを曲がった先に謁見の間があります、
先程公爵様がシャルーン様に謁見に来ていたと聞いたので、
まだ謁見中だと思います」
サクラは謁見の間の方を覗き見ると、
大きな扉の前に兵士が2人いた。
「あの2人に説明して来て、
扉を少し開けて中の話を聞きたい」
「分かりました」と言って、
近衛兵が説明をしに向かった、
暫くして近衛兵と一緒に2人の兵士もやって来て、
お姫様抱っこされている王に気が付き、
本日何度目かの号泣、
サクラは振り返り、
「みんなはここで待ってて、
アタシとオッサンで行って来る」
王がサクラを呼び止めて、
「お嬢さん、私だけは一緒に行かせてくれ、
私の息子が何をやっているのか知りたい」
「仕方ないな、
じゃあ王だけは来て良いけど、
他はアタシが声をかけるまで待機してて」
サクラとヴァイアン、
太郎に抱っこされた王が扉の前に行き、
少し扉を開いて中の話を聞く、
最初に聞こえて来たのは、
シャルーンの横柄な声だった。
「たかが公爵が王族に逆らうの?
私兵を半分王都に連れて来いって言ってるだけだろ、
何で言う事聞けない?」
「私どもの領地の安全が損なわれるからです」
シャルーンは大きく舌打ちをすると、
「チッ、どいつもこいつも、
私に逆らう者ばかりだ、
そうだ、お前が大怪我をすれば、
領地の管理を私に任せると言う形になるな、
大怪我…いや大火傷か、
どうする火傷したく無いだろ?」
話を聞いていたサクラは小さな声で、
「どこにでもゴミはいるもんだな、
会話してるおじさんが危ないから直ぐに入る」
ヴァイアンがサクラの肩に手を乗せ、
「先に私に行かせて下さい、
行軍の報告をすると言う事で、
シャルーン様も星神様の話を聞けば、
少しは変わられるかも知れません」
王が驚いて「星神様だと?」
サクラは人差し指を口に当てて、
「シー、おじいちゃん声が大きい」
面倒になったサクラは、
とうとう王をおじいちゃん呼ばわりしてしまう、
ヴァイアンは驚いていたが、
サクラは気にも留めずに、
「オッサンが先に行くなら、
アタシも隠れてついて行く」
「どうやって隠れるのですか?」
サクラは人差し指をまた口に当てながら、
ヴァイアンの後ろに回って、
マントの下に入り込み、
ヴァイアンの肩にしがみつく、
「これでどうよ?
背後霊または守護天使フフフ、
スタンドが1番しっくりくる、
このまま行くのだ!」
「スタンドって何だ?
それより横から見られたら直ぐばれるぞ、
横に兵士も待機しているんだから」
「大丈夫だって、
シャーにバレなきゃ良いんだから、
バレたらバレたで対処する、
オッサン1人で行って、
魔法使われたら対処出来るの?
もしもの事があったら奥さんが泣くよ」
ヴァイアンは渋々、
「仕方ないなこのまま行くぞ」
ヴァイアンは大きく扉をノックして、
謁見の間に入って行く、
シャルーンは玉座に頬杖をつき、
王族らしからぬ横柄な姿で座っていた。
扉から入って来たヴァイアンを見てシャルーンが、
「ヴァイアンだと?
何故お前がここにいる?
国境はどうした?
今は国境に着いた頃だろ?」
ヴァイアンは、
少しシャルーンに近付いてから跪き、
「はい、エルフとの国境で、
建設中の砦に攻め込みましたが、
ある方が現れ戦争をお止めになりました」
シャルーンは激怒して、
「はぁ〜?何を言ってる、
ある方だと?
私よりそちらの指示に従ったのか?」
ヴァイアンはシャルーンを、
真剣な顔で見つめて、
「仰る通りです、
その方は星神様、
争うのはやめて欲しいと、
争いのエネルギーが星に悪い影響を与える、
だから争いはやめて欲しいと、
仰ってました」
シャルーンと話をしていた公爵は、
「星神様だと…」と小さく呟きながら、
後退りしてヴァイアンを見つめる、
シャルーンは立ち上がり、
「何を馬鹿な事を言っている、
星神だと?そんな者は存在していない、
架空の人物の名前を出して私を説得する算段か?」
ヴァイアンは冷静にゆっくり首を左右に振って、
「架空の人物ではありません、
この王都にもある壁画そっくりのお姿でした、
星神様はこの星の主人、
その方がやめて欲しいと仰ったのです」
シャルーンは怒りで体を震わせて、
「まったく…どいつもこいつも、
私の命令を聞かぬ、
星神だと?
王族直属の兵士が王族の命令を無視する事は、
不敬罪だと理解しての行動だろうな?」
ヴァイアンは冷たい無表情のまま、
「シャルーン様、
星神様です、
この星を司ってらっしゃる星神様です、
何度も考えを変えて頂きたく進言させて頂きましたが、
今の食糧難やモンスターが巨大化している時に、
戦争なんかしている場合ではありません、
まずは国民の生活を考えるべきです」
シャルーンは両手で耳を塞いで叫ぶ、
「アアアアア〜うるさい、うるさい、
お前ら俺が居なくなったら国は滅ぶぞ、
モンスターが巨大化している今こそ、
領土を広げるチャンスなんだ、
エルフの国を侵略出来れば、
エルフどもを奴隷の様に使えて、
帝国やリシェス国も俺の物になるんだ」
ヴァイアンはシャルーンの発狂する姿を見て、
「シャルーン様…
たった500人程度の兵士を行軍させて、
本気でエルフに勝てると思っていたのですか?」
シャルーンはヴァイアンを睨み、
「ア〜バカばっかりだ、
今は世界中で兵士が足りない状態だ、
巨大モンスターの対応に追われているからな、
だから500でもいけるはず、
お前達が計画的に攻め込めば勝てるんだよ」
ずっと黙って聞いていたサクラは、
(シャーの一人称が俺に変わった…
別人格?興奮し過ぎ?
どっちにしても危ないな)
ヴァイアンはシャルーンがどんなに興奮しようが、
冷静な表情を変えずに、
「シャルーン様、
それではその計画とやらを、
詳しく説明して頂きたい」
シャルーンは「フンッ」と鼻を鳴らしてから、
玉座にドスンと音を立てて座り、
「ヴァイアンもういい、
無能な兵士は要らない、
不敬罪のお前に今ここで罰を与える、
まっ、殺しはしない、
自由に動けない位に焼いてやる、
そしたらお前の妻も解放してやるから、
看病してもらうんだな」
シャルーンは人差し指をヴァイアンに向けて、
「俺の怒りの炎に焼かれろ」
そう叫んだ瞬間シャルーンの指先から、
高濃度の炎がヴァイアンに向けて放たれる、
数秒間ヴァイアンは炎を浴びせられていた、
その光景を驚愕の表情で見ていた公爵、
炎が止まり、
シャルーンは立ち上がって、
大笑いをしながらヴァイアンに目を移すと、
何も変わらないヴァイアンの姿があった、
「はぁ〜?何故だ?
どうして焼かれていない?
ヴァイアン、キサマ何をした〜」
シャルーンはヴァイアンの姿を見て、
変な事に気付く、
「ヴァイアン、
お前の首から生えてる手は何だ?」
跪いたヴァイアンの首の横から、
小さな手が出ていた、
小さな手は口パクの動きをしながら、
少女の声がして来る、
「お前…本当に最低の野郎だな、
今までどれだけの人を傷つけた?
お前は罪は深そうだね〜どうしてくれよう」
「ヴァイアン、その口の聞き方は何だ?
それとその声…
キサマ、俺をバカにするのも良い加減にしろ」
その時ヴァイアンのマントが床に落ちて、
ヴァイアンの後ろから現れたサクラ、
「お前、目と耳が悪いの?
手がちゃんとパクパクしてたでしょ」
サクラはヴァイアンの前に立ち、
「オッサン、ここからはアタシのターン、
邪魔はしないでね」
サクラはシャルーンに向かって、
「お前の炎を、
吸い込みって魔法で吸い込んでやったよ、
まずい炎だった、
どうせ碌でも無いアクセから放ったんでしょ?
マレディク-ダンジョンのアクセサリー」
シャルーンは突然現れたサクラを見て、
唖然としていたが、
「何だこの子供は?
吸い込みの魔法?そんな魔法聞いた事がない、
それを使って俺の魔法を吸い込んだと言うのか?」
サクラは「クスッ」と笑って、
「俺の魔法?
マレディクのアクセサリーの魔法でしょ?
嘘はいけないな〜」
シャルーンはサクラを睨みつけて、
「さっきからマレディクって言ってるが、
そんな物はつけていない、
それにしても礼儀がなって無い小娘、
子供を焼くのは気が引けるが…
お前の態度が悪い」
そう言いながら人差し指をサクラに向けると、
公爵が慌てて、
「シャルーン様、
相手は子供です、
どうか気を鎮めて下さい」
「うるさい、俺に指図するな」
サクラはニヤニヤしながら、
「そこのおじさん、ありがとね、
アタシは大丈夫だからそこから動かないで」
サクラはシャルーンの真似をして、
シャルーンに人差し指を向けて、
「ほら、魔法撃って来いよ〜
吸い込み魔法見せてやるから」
そう煽りながらシャルーンに向かって歩くサクラ、
シャルーンは青筋を立てて炎を放つ、
高濃度の炎がサクラに向かって行くが、
サクラの人差し指に吸い込まれて行った。
「あ〜マズイ炎、
ホレホレ、もっと撃って来なよ、
魔力切れですかぁ〜?」
サクラは煽りながらどんどんシャルーンに近付く、
シャルーンは少し焦りながら、
「おかしいだろ〜、
俺の魔法は最上級魔法だ〜」
サクラはわざとらしく大笑いしながら、
「ア〜ハハハハ〜
ドンドン撃って来いや〜」
ヤケになったシャルーンは、
炎を連発して行く、
そんなサクラとシャルーンのやり取りを見ていた、
公爵とヴァイアンは、
サクラが炎を吸い込んで行く姿に、
何を見せられているのか理解出来ずに、
口を開けて見ている事しか出来なかった。
炎はサクラに吸収され続けて、
最後にはサクラがシャルーンの人差し指を掴んで、
人差し指からアクセサリーを取ってしまった。
シャルーンは「あっ」と間抜けな声を出し、
サクラは取り上げた指サックの様なアクセサリーを眺める、
「何だこれ?
見た事ある形状だよね…
あ〜中国の王妃だっけ?
こんな指サックしてたよ、
何でこんな形?先が尖ってて危ない、
人を傷付ける為に尖っているなら最低だね〜」
サクラは太郎を2人召喚し、
シャルーンの両脇を確保すると、
扉に向かって叫ぶ、
「もう安全だから入って来ていいよ」
シャルーンは突然現れた太郎達を見上げ、
拘束されている事に気付いて、
冷や汗を流し始める。
サクラの声かけに、
大きな扉がゆっくりと開いて、
王が太郎にお姫様抱っこで入って来る。
その後から廊下で待っていた人達も一斉に入って来た。
「結局みんな扉まで来ちゃってたのか…」
サクラは呆れた顔でみんなを眺めていたが、
玉座の両脇に立っていた兵士達に、
女性や老夫婦が走り寄って行き、
抱きついて泣いていた。
人質に取られていた家族が急に入って来て、
無表情だった兵士達は驚きながら、
涙を流していた。
公爵は王に気付くと、
「陛下、ご無事でしたか?」
王は笑顔で片手を上げると、
「心配をかけた、
公爵にも息子が迷惑をかけてすまなかった」
王は玉座に座らせられ、
王の後からついて来た、
王妃と王子を抱っこして来た太郎が、
サクラに向かって、
「マスター、王妃と王子の椅子もいる」
「ああ、そうだね〜
でも木の椅子しか出せないよ」
「まだ立ってられないから、
木の椅子でも良いと思う」
「そうだね、背もたれのある椅子出て来い」
サクラは木の大きめの椅子を、
出そうとイメージをしたが、
何故か木のロッキングチェアが出て来た、
椅子を見て乾いた笑いをするサクラ、
太郎達は大きく頷いて、
「さすがマスター、
良い椅子が出て来た」
太郎達は気を使ってサクラを褒めているが、
子供を褒めている様にしか見えなかった。
(ああ、親のつもりなんだな…
褒めて育てるってオヤジが言ってたし…)
「アハハ、ありがとう太郎君」
相変わらず緊迫感の無いやり取りををしていると、
シャルーンが叫び出した。
「誰の許可を得てこいつらを出して来た?
近衛兵達は何処だ?
ふざけるなよ、みんな不敬罪だからな!」
王が太郎に何か囁くと、
シャルーンに向かって行き、
シャルーンを脇に抱えて、
王の前に座らせる、
「シャルーンよ、
お前は先に私に言う事は無いのか?」
シャルーンは王を下から睨みつけて、
「フンッ、死に損ないが偉そうに、
発疹を化粧で隠したのか?
発疹があそこまで広がっていたんだ、
もうお終いなんだよ、
俺が国を守るしか無いだろ」
王は冷静に、
「親に向かって何だその態度は?
母親も居るのだぞ」
シャルーンの母親は表情を変えない様に、
しっかりとした目でシャルーンを見つめていたが、
目から涙は溢れていた。
シャルーンは泣いている母親を見ても、
「フンッ」と鼻を鳴らすだけで平然としていた。
王は大きくため息を吐くと、
「お前が持っていた、
あのアクセサリーは何処で手に入れた?」
「そんな事は関係無いだろ、
俺の魔法の力が強まっただけだ」
「では、何故私達3人だけ紫の悪魔にかかった?」
「はぁ〜?病気まで俺のせいだと?
病気のせいで頭もおかしくなってしまったのか?
俺を解放しなければ、この国は終わりだな」
「では、最後の質問だ、
何故、自分の妻や子を閉じ込めた?」
「フッ、アハハハハ、
勝手に実家に帰ろうとしたんですよ、
夫を蔑ろにしたんだ、
それに、モンスターの脅威があるのに、
実家まで無事に着けると思いますか?
俺を蔑ろにしたのに、
閉じ込めて守ったんですよ、
頭が悪い方には理解出来ないでしょうが」
王は怒りで手が震え始めていたが、
冷静を保ちつつ、
「お前とは、話が噛み合わないみたいだな、
今回の件は大罪を犯したんだ、
お前を幽閉する、
もう自由に動けないと思え」
王の話を黙って聞いていたサクラだったが、
「ちょっと待って〜
こいつはこのままにはしないよ、
嘘ばっかり言ってるし、
アタシがちゃんと制裁する」
周りが騒めき出し、
「制裁とはどうするおつもりで?
まさか死罪ですか?」
サクラは手を顔の前で振って、
「いやいや、殺すわけ無いでしょ、
ただこのままだと、まだ悪さが出来ちゃうから、
あたしの魔法でこうする」
そう言ってサクラはシャルーンを指差して、
「チェンジ」と呟くと、
シャルーンは小さな女の子に変わる、
サクラは自慢げに腰に手を当てて、
「どうよ、これなら勝手に出歩けないし、
変な行商人も相手にしないでしょ」
サクラと太郎達以外は時が止まった様に動かず、
ただシャルーンを見つめている、
シャルーン本人は体が縮んだ事に気付いて、
「貴様、何をした?」
「え〜小さい女の子にしただけ、
太郎君、鏡持って来て見せてあげて」
太郎は「御意」と言って、
サクラが出したアイテムボックスから鏡を出して、
シャルーンの前に持って行くと、
「嘘だこれは幻影魔法か?
肉体を変えるなど聞いた事無い、
さっさと元に戻せ」
サクラはシャルーンの前に立って、
わざと肩をすくめて、
「やれやれ、お嬢ちゃんは一生このままだよ、
あっ、勘違いしないで、
体が小さくなっただけで、
年齢はそのままだから…あれ?
このままだと奥さんが困る?」
サクラはキョロキョロして、
シャルーンの奥さんを探すと、
シャルーンの妻、
マリアンヌが前に出て来て、
「もうこの男とは離縁しますので、
どんな姿でも構いません」
「息子は大丈夫?」
「ここに入って来る前に眠ってしまったので、
今の話は聞いていなかったですし、
元々父親らしい事は何もしていなかったので、
何の心配もいりません」
復活した王がサクラに、
「お嬢さん、
この魔法は何の魔法なんだ?」
サクラは人差し指を顎に当てながら、
上を向いて考える、
「確か変換だったか?交換か?ってのが、
アタシのスキルにあって、
何かと交換出来ると理解して、
男を女に交換したみたいな感じ?」
周り全員が大きな口を開けて驚いていたが、
王が、「いや…その交換でシャルーンを子供に変えたと?」
「そうそう、見た目だけね、
歳が幾つなのか知らないけど、
若返った訳じゃ無いから、
子供が嫌ならこれも良いかも」
また指をさして「チェンジ」と呟くと、
今度はヨボヨボの爺さんになる、
「これでどうよ、
体はヨボヨボだけど年齢はそのまま、
ヨボヨボ過ぎて悪い事が出来ない、パーフェクト、アハハ」
王は目をこれでもかと開いて、
「えっ?あの…お嬢さんはいったい何者ですか?」
「来たその質問」
シャルーンが震えた声で、
「そ、そんな、事はどうでもいい、
早く…元に、もっもどせ〜」
サクラはシャルーンの体を優しく指で押すと、
シャルーンはフラフラしてしまう、
「まだ状況がわかって無いんだね、
アタシはこの星を守る為に、
悪い事する人を、
悪い事が出来ない様にしなきゃいけない、
元の姿だとまた何かするでしょ?
小さい子か老人か、
あ〜虫にも出来るよ、
何がいい?芋虫とか?」
シャルーンは「ヒィ〜」と小さく声を上げ、
「虫は嫌だ〜小さい子の方が体が痛く無いから、
子供にしてくれ」
「わがままだな〜」と呟きながら、
また少女に変える、
サクラは王に向き直り、
「それと、おじいちゃんこれを見て」
サクラはシャルーンから取り上げた、
アクセサリーに鑑定魔法をかけると、
呪いの指サックと出て、
発見場所、マレディク-ダンジョンと表示される、
王はマレディクの文字に釘付けになり、
「シャルーン、何故こんな物を持っている?」
シャルーンはただ黙って俯くだけで何も言わない、
その時サクラが大きな声で、
「何だって〜S級アクセサリーって書いてあるじゃん、
レアアクセサリー本当にあったんだ…
SSSとかもあるのか?」
サクラが1人でブツブツ言ってると王が、
「S級とはアクセサリーのランクの事かい?」
「そうそう、この前鬼人の王が、
レアアクセサリー装備してるって言ってたけど、
しょぼいアクセサリーだったな、
それとおじいちゃん、
この呪われたアクセサリーつけてた奴って、
本当の事言わないよ、
アクセサリーに操られているみたいだからね、
これも見てよ」
今度はシャルーンにサーチの魔法をかけると、
精神への呪いと表示されて、
「精神への呪いだと…
ではシャルーンはアクセサリーのせいで、
この様な人間になってしまったと言う事か?」
サクラは手を左右に振って、
「いやいや、
それがアクセサリーを装備するには条件があって、
闇エネルギーが強く、野心があって、
自分の為にどんな犠牲も厭わない、
酷い奴じゃ無いとアクセサリーの力を発揮出来ないらしい」
王と王妃は唖然として、
「でっでは、シャルーンは元の性格と、
その悪しきアクセサリーと同調したと言う事か…」
「そう、そう、だからこれからも、
何をするか分からないから、
悪さが出来ない様な状態にする、
何処かに閉じ込めるのはアタシの性に合わない、
だったら悪さ出来ない体にした方がいいでしょ」
王は顎髭を撫でながら「う〜ん」と唸っていたが、
黙って聞いていた王妃が、
「お嬢さんはシャルーンを、
どうするおつもりだったの?」
サクラは首を傾げながら、
「別に決めて無かったけど、
いざとなったら更生施設に行かせるかな、
更生施設は自給自足をしてる場所で、
畑の世話、料理、洗濯、掃除を全て自分でやって、
畑の野菜は食糧不足の町とかに配っている、
反省したら自立させて自分の力で生きていってもらう」
王妃は顔を伏せて自分の手を見つめていたが、
「ここに置いておけば…
きっとまた甘やかしてしまうかもしれません、
それならば…そんな場所に行かせた方が良いのでしょうか?」
悲しそうな王妃を見て王が、
「その更生施設と言うのは、
どんな方が居るんだい?」
「鬼人の盗賊に拾われ育てられた、
悪い事しか出来なかった95歳の青年30人、
読み書きも教えて今は真面目に生活しているよ」
そう説明しながらサクラは大きなポータルを開け、
もう暗くなったと言うのに、
ポータルの向こうでは何やら騒がしい声が聞こえて来る、
ポータルに気付いた太郎がやって来て、
「マスター、何かありましたか?」
「いや、更生施設がどんな所かと聞かれて、
ポータルを開けたんだけど…
なんか騒がしいね」
「この前マスターが、
ヒューマンのお世話をしたお礼にって、
プレゼントしてくれた、
ボードゲームで遊んでいる」
「へぇ〜」と言ってサクラが覗くと、
アホ5人に見つかって、
「あ〜ペッタンコだ〜、
お前最近顔を出さなかっただろ?
相変わらずペッタンコでいるか?」
サクラはガックリと肩を落として、
「お前達は相変わらずアホのままだな?
勉強はちゃんとやっているんだろうね?」
サクラに睨まれて「キャ〜」と叫びながら逃げて行った、
サクラは王に振り返り、
「ここが更生施設だよ、
暗いから見にくいけど、
あそこに畑があって、
あっちには家を建ててある」
王はポータルの中を眺めながら、
「さっき、鬼人の青年と言って無かったか?」
「あ〜ヒューマンの女性を軽視してたから、
ヒューマンの女性にしてやっただけ、フフフ」
目を細めて笑っているサクラを、
変な物を見る様な目で見ていた王と王妃だが、
第一王子グレイスだけは、
頬を赤らめ手で口を押さえながら悦に入っていた。
サクラは目を細めたままシャルーンを見て、
「ヒューマンの女性になって、
みんなと生活するって…どうよ?」
シャルーンは「ヒィ〜」と声を上げ、
第一王子グレイスは「はぅ〜」と変な声を上げてしまった、
サクラはグレイスの声に気付いて、
グレイスを目を細めたまま見つめ、
ますます目を細めると、
「何だアイツ?」
王子をアイツ呼ばわりされその場は凍りつくが、
サクラは王に向かって、
「今すぐ決めなくていいよ、
取り敢えずこの少女のままにしておくから」
サクラはポータルを閉めて、
帰りの準備を始める、
「太郎君達、もう帰るからアタシの中に戻って」
ヴァイアンに向かって声をかける、
「預かっている兵士と馬は、
明日の朝にこの城の前に帰すから、
今日はゆっくり休ませた方がいいでしょ?」
ヴァイアンはサクラに走り寄って来て、
「ちょっと、お待ちを、
何の説明も聞かされていません」
「説明って?」
「先程、王も仰ってましたが、
お嬢さんは何者で、
この世界に何が起きているのですか?」
サクラは腕を組んで空を見上げて、
「それって…今じゃ無きゃダメ?
みんなお疲れでしょ?
日を改めた方が良く無い?」
ヴァイアンは口をパクパクさせながら、
サクラに手のひらを向けているが、
サクラは「クスッ」と笑うと、
拠点へのポータルを開けて、
「太郎君、星神連れて来て」
「マスター、御意」と返事がポータルから聞こえた後、
ポータルから料理太郎が顔を出して、
「マスター、お弁当どうだった?」と聞かれ、
サクラは「あっ」と声を上げる、
料理太郎はサクラを睨み、
「まさか…まだ食べて無い?」
サクラは「へへへ」と頭を掻きながら笑っていると、
料理太郎達がテーブルセットを持って、
ポータルから出て来ると、
サクラを座らせ、テーブルの上にお弁当を広げる、
「太郎君、ここで1人で食べるの気まずいよ」
料理太郎は周りを見て、
「じゃあみんなの分も用意する」
いきなり料理太郎がゾロゾロ出て来て、
テーブルと椅子を並べて行く、
何が起きているのか分からないヒューマン達は、
太郎達の指示に従って席の着いて料理を食べ始める、
テーブルに並んだ料理を見てサクラが、
「あ〜そっち餃子じゃん、
お弁当も食べるけど餃子も食べたい」
太郎はせっせとサクラに餃子を運んで来る、
謁見の間が急に騒がしくなり、
その音で目を覚ましたシャルルが、
太郎が居ない事に気がついて泣き出す、
「母上、太郎が居なくなりました〜
あ〜ん、ああ〜ん」
マリアンヌはシャルルに駆け寄って、
抱き上げると、太郎が用意した椅子に座って、
「ほら太郎が用意してくれたお食事ですよ、
シャルルも泣いて無いで頂きましょう」
シャルルは割烹着と三角巾を付けた、
太郎達が動き回る姿を見て、
大きな笑い声を上げていると、
口に餃子を入れらる、
初めてのモチモチの食感に、
目を大きく開いてマリアンヌを見つめ、
「母上、これは何ですか?
とても美味しいです」
マリアンヌは嬉しそうにシャルルを見つめて、
「最近はあまり食欲が無かったのに、
シャルル、これは食べれますか?
あの太郎が作った物らしいですよ」
シャルルは自らフォークを持って、
餃子を食べ始める、
マリアンヌは息子の食欲が戻った事に、
涙を浮かべて眺めていると、
「母上も食べて下さい」と言いながら、
シャルルがマリアンヌの口に餃子を運ぶ、
マリアンヌも餃子の美味しさに目を見開いて、
「本当ですね、とても美味しい」
久しぶりの親子の笑顔であった。
周りは餃子の美味しさに舌鼓を打っていて、
ポータルから現れた星神に気がつく者はいなかった。
ポータルの前にボォ〜と立っている星神を見たサクラが、
「ブゥ〜」と吹き出して、
「アハハハ、星神、なにやってるの?」
サクラに気がついた星神が、
「呼んだのはサクラさんでしょ?
それにしても賑やかですね、
何かいい事があったのですか?」
相変わらず呑気な星神を眺めながら、
「フッ、今まで大変だったから、
美味しい餃子がみんなを慰めたんじゃ無い?」
「ここも大変だったのですね?」
「相変わらず他人事だよね、
ここの王が星神に聞きたい事があるそうだよ、
いつもの質問、アタシは誰でしょう?ねっ」
星神は困った顔をして、
「はぁ〜そうですか、
それで王とは何処のいらっしゃるのでしょう?」
サクラが餃子を頬張りながら指をさした先に、
太郎に餃子を食べさせてもらっている王の姿があった、
サクラは笑いながら、
「フッフフフ、もう介護じゃん」
星神は王の前に立つと、
「私に何かご質問があるとか?
何でも答えましょう」
王は口をモグモグさせながら、
目はこれでもかと言うくらい開いて驚いていた。
餃子を飲み込むと、
次の餃子を口に突っ込まれてしまう王は、
太郎に向かって手のひらを向けて、
「ありがとう…モグモグ
もう1人でモグモグ…大丈夫」
サクラは太郎の行動を見て、
(太郎君達って…
世話するのが好きなのか?
普通あそこまでするかな?)
そんな事を考えているサクラの横にも太郎が立っていて、
自分もお世話されている事に気が付き、
太郎を見上げて「いつもありがとう」と言って、
食事に集中するのであった。
読んで頂きありがとうございました( ´∀`)/




