ヒューマン族の王都と オタク女子
城に忍び込んだサクラとヴァイアン、
園庭にはたくさんの人が…
上空に佇むコッペパン、
眼下にはヒューマン族の王が住む城が見える、
ヨーロッパにあるようなルネサンス建築、
(広い…広すぎる、
前王を探すのも大変そうだな…)
建物の中央には大きな庭園が見える、
(あの庭、屋上に作ってある?
確かゲームにもあったな、
空中庭園だっけ?
取り敢えず後ろのオッサンにも聞いてみるか)
サクラの背後で意識が半分飛んでいるヴァイアン、
サクラは空を眺めながら、
「暗くなって来ちゃったな、
さっさと王を探すぞ、
それで王はどこに隔離されている?」
振り返りヴァイアンを見ると、
ほとんど意識が無いように見えて、
「軟弱者が…
建物の中央に庭見たいのがある、
あれって空中庭園って言うんだっけ?
取り敢えずそこに降りるからね」
ヴァイアンは身を乗り出して、
下を覗くと、
「うっ…高いな、
そこの庭園は爵位の高い来客の為に、
宿泊用の部屋を複数造ってある、
出入り口は鍵もかけられたはずだから、
隔離するには都合がいいだろう、
庭園にある階段を登った所に、
1番良い部屋が用意されているから、
王が居るとしたらそこが怪しい」
「なるほど、じゃあそこに降りるか」
サクラは木が茂っている後ろに、
コッペパンを隠すように降りて行った、
まだ明るい庭園はあまりにも静か過ぎて、
「ここに人がいるの?
静か過ぎだよね…
あっ、サーチすれば何処に人が居るかわかる」
ヴァイアンは小さな声で、
「サーチとは何ですか?」
「色々調べられる魔法、
まぁ〜見ててよ」
サクラは庭園の中央に歩いて行って、
庭園の周りにある扉に向かってサーチをかける、
腰を下ろしてサクラの後ろから覗いていたヴァイアンが、
「見た事も、聞いた事も、無い魔法ですな、
あっ、何かピンク色の光が数個見えます」
「そう、この光が人なんだよ、
種族によって色が違うんだ、
ヒューマン族はピンク色可愛いよね」
サクラは庭園に面した扉を全てをサーチすると、
凄い数の人達がそれぞれの部屋に居るようだった、
「人がぎゅうぎゅう詰めだ、
それなのに、この静けさが怖い」
そこに庭園の出入り口の扉から、
鍵を回す音がして来て、
急いで大きな木の後ろに隠れるサクラとヴァイアン、
両開きの大きな扉がゆっくり開いていくと、
キッチンワゴンを押すメイドが数人入って来た、
その後ろには大柄の兵士が2人立っていて、
「さっさと食事を配って来い」
兵士も庭園の中に入って来て、
扉を閉め扉の両脇に仁王立ちしている、
少し暗くなっていたので、
顔が良く見えなかったが、
ヴァイアンが兵士の顔を見て、
小さな声で、
「1番隊の兵士が何故こんな仕事をしている?」
「知り合い?」
「ああ、王直属の兵士だ」
「良く見えないけど、
兵士もメイドも顔色悪いし、
疲れきってる感じだね…
ちょっと行って来るから、
オッサンここで待機」
ヴァイアンは焦って、
「えっ? あ?ちょっ…」
何か言いたそうなヴァイアンを無視して、
サクラはゆっくり飛び上がると、
いきなり急降下して、
兵士達にスリープ魔法をかける、
兵士達は深い眠り落ち、
膝から崩れて倒れてしまった。
メイド達が兵士が倒れる姿を見て、
「キャッ」と声を上げていた所に、
サクラが飛んで行き、
人差し指を自分の口に当て、
「シッ、声を出さないで、
王を助けに来た、
何処にいるか知ってる?」
突然現れたヒューマンの少女に、
どう対応していいか困惑するメイド達、
そこにヴァイアンが走って来て、
「お嬢さん、兵士に何をした?」
「お疲れのようだったから、
眠ってもらっただけ」
「眠りの魔法か?
そんな魔法もあったのか…」
メイド達は飛び出して来たヴァイアンを見て、
「ヴァイアン様」と声をかける、
ヴァイアンはメイド達を見まわして、
「私を知っているのか?」
「はい、私達は王族直属のメイドです、
お城に出入りしている方々の顔は覚えるようにしていたので、
それで、この少女はお知り合いですか?」
ヴァイアンは困った顔で、
「知り合いと言うか…
何と説明すれば良い」
「アタシの説明は後で良いでしょ、
早く王は助け出さないと、
それで何処にいるの?」
メイドは慌てて庭園にある階段を指差して、
「王様はご病気です、
外に出してしまったら、
他の方々にも移してしまうと、
シャルーン様が仰ってました」
サクラは肩をすくめて、
「それって紫の悪魔ってやつ?
誰にも移さないから大丈夫、
ちょっと上に行って来るから、
ここに閉じ込められている人を、
外に出してあげて」
サクラは太郎を10人召喚して、
「2人はついて来て、
残りはここに閉じ込められている人のケアー」
突然現れた太郎達に驚いているメイド達は、
硬直してどうしたら良いのか分からなくなっていた。
メイド達の様子を見たサクラは、
「太郎君、暗くなって来たから、
光石でここを明るくしといて」
そう言い終わると、
凄い勢いで走り出し、
次々とドアを蹴破って行った。
「みなさん、もう安全です、
部屋から出て来て下さい」
部屋の中からゾロゾロと出て来たのは、
女性と年老いた女性と男性だった、
皆顔色も悪く痩せ細っていて、
ふらふらしている所を、
太郎達が抱きかかえ庭の中央に運んで来る、
ヴァイアンがその中の1人の女性を見て走り出す、
「モリーン、こんな所に閉じ込められていたのか」
ヴァイアンはその女性を抱きしめて号泣する、
抱きしめられた女性も、
ヴァイアンに気がついて、
両手を力無くヴァイアンの後ろに回して、
「ヴァイアン様…助けに来てくださったのですね」
サクラは
(またこのパターンか…
みんなやり方が汚いんだよ)
「太郎君、
みんなとメイドさん達にも、
水と食事を用意して、
アタシは上に行ってくる」
太郎達は「御意、マスター」と返事をすると、
指示通りにせっせと動き回る、
サクラは階段を登って広い廊下に出ると、
薄暗い廊下の奥に大きな扉が1つ、
そして手前にも扉があったが、
「先ずは大きい扉から行くよ」
太郎に声をかけて走り出し、
扉の取っ手に手を掛けると、
力ずくで引っ張る、
鍵がかかっていた扉の取っ手だけが引き抜かれ、
引き抜いた後、穴から中を覗くと、
暗くて何も見えなかったが、
扉の隙間から変な匂いが漂ってくる、
「変な匂いがするね、
扉蹴破っても良いんだけど、
扉が誰かに当たったらまずいし」
「マスター下の扉は蹴破ってた」
「ちゃんと加減しながらやったさ〜」
「じゃあ、ここも蹴破ればいい」
サクラは太郎を見上げて、
「太郎君、ツッコミはいいから…
太郎君を小さくするから、
中に入って扉の前で扉をキャッチして」
「御意」
サクラは太郎を小さくして、
扉の隙間から中に入れると、
太郎を元の大きさに戻す、
そして扉に向かって正拳突きをした。
吹っ飛んだ扉を太郎がキャッチしたが、
結構な音が響いてしまった。
「うぉ〜音がでかい〜」
大きな音がしたのに部屋の中は無反応だった、
サクラは首を傾げながら部屋に入ると、
甘ったるい変な匂いが充満していて、
「太郎君、窓を全部開けるよ、
窓を開けたら光石出して」
サクラと太郎は、
部屋の大きな窓のカーテンと窓を開けると、
光が入って来て、
部屋の様子が見えるようになると、
サクラは唖然としてしまった、
「何だこりゃ?」
部屋の中には大きなベッドが3つ並べてあり、
人が寝かされていた。
太郎がアイテムボックスから光石を出して来て、
部屋の中を照らす、
ベッドの上には男女の老人と、
まだ若い男性が寝かされていたが、
3人とも紫の発疹大きく広がったようで、
顔中に紫の大きなアザの様になっていた、
「これは酷いな…
何でこうなったんだろう?
呪いにかかって長いのかな?」
「マスター、ここに変な物がある」
太郎に声をかけられて振り向くと、
元の世界でも見た事ある、
小さい円錐の形のお香が10個並べてあった、
「これ、お香だね、
こっちでもお香があるんだ?」
サクラは1つ手にとって匂いを嗅いでみると、
「げ〜さっきの甘ったるい匂いだ、
ヒューマンの村長が言ってた匂いだろうね、
やっぱりマレディクが関係してるよ」
サクラはお香をアイテムボックスに放り込んで、
ベッドに寝かされている人達の治療を始める、
紫の大きなシミは消えていったが、
意識が戻って来ないので、
一旦下に連れていく事にした、
手前にあった扉も力ずくで開けると、
中には小さい男の子と女性が怯えて抱き合っていた。
サクラは優しい笑顔で、
「あの〜怪しい者ではありません、
王様を助けに来たのですが、
あなた方は誰ですか?」
サクラの話に怪訝な顔で見つめる女性が、
「王様を助ける?
助けられる訳ないのです、
王様は…あの治す事の出来ない病にかかって」
その女性はそのまま泣き崩れてしまう、
「あの〜ここに王様いますけど、
病気は治しましたよ」
その女性は涙でぐしゃぐしゃの顔で、
太郎にお姫様抱っこされている王に目をやる、
「えっ?本当に王様ですか?
ああ、そちらには王妃様もいらっしゃる、
第一王子のグレイス様まで、
みなさん、発疹が無くなっています、
良かった…うっうっ」
女性は両手で顔を覆い泣き崩れ、
その背中に不安そうに抱きつく男の子、
サクラはどうしたものかと考えていると、
目を赤く腫らしたヴァイアンがやって来て、
「お嬢さん、本当に王様を助け出して、
病気も治っているのか?」
「やっぱり、紫の悪魔だったじゃん、
マレディクで取れるであろうお香もあったよ、
この国もマレディク-ダンジョンに行ってたんだね」
ヴァイアンは首を左右に振って、
「いや、それは無いはず、
我々の国にはマレディク-ダンジョンの、
入り口が見つかった報告は無い」
サクラは目を細めて、
「じゃあ何で王様達はあの病にかかった?
あの紫の悪魔は、
マレディクダンジョンが原因でかかるのは確認済み、
部屋にお香があったんだけど、
それもマレディクで見つけて来た物だと思う、
あと、あの何だ、シャーなんとかは、
絶対にマレディクのアクセサリー持ってると思うよ」
そこまで黙って聞いていた女性が、
「そのマレディクダンジョンとは何ですか?」
女性に気がついたヴァイアンが、
「マリアンヌ様、何故こんな所に」
驚いているヴァイアンに、
「オッサンちょっと待って、
マレディク-ダンジョンとは、
他の国では入るのを禁止している、
危ないダンジョンの事、
ダンジョンで取れるアクセサリーがやばい物で、
病気を振り撒く何かもあるみたい」
女性は震えながら、
「ずいぶん前になるのですが、
よく来ていた鬼人の行商人が、
夫に色々な物を売り付けていた物の中に、
マレディクからの貴重な品と言っていた物がありました」
サクラは驚いて、
「今、夫って言った?
シャーの奥さん?王妃って事だよね、
何で閉じ込められていたの?」
女性は手を振るわせて悔しそうに、
「夫、シャルーンの様子が変になり、
傲慢な態度が目に余るようになりまして…
苦言を申し上げると、
私達にも強く当たるようになって、
わたくしも限界に…
実家に戻ろうとした所を気付かれて、
ここに監禁されてしまいました」
ヴァイアンも怒りを抑えているのか、
凄い顔で話を聞いていた、
空気が重くなった所に、
「マスター、この爺さん目が覚めそう、
そろそろ水を飲ませた方がいい」
「おっと、忘れてた、
太郎君達、口移しで水を飲ませてあげて」
アイテムボックスから水を出して来て、
太郎達に渡すと、
いつものように頬を掴んで口を開けさせ、
口移しで3人に水を飲ませていく、
ヴァイアンとマリアンヌは、
その光景に呆気に取られていたが、
小さい男の子は面白がって見ていた。
「僕も、お水が飲みたい」
ヴァイアンとマリアンヌは、
「えっ?ええええ〜」と叫んでいたが、
男の子は太郎に向かって口を開ける、
マリアンヌが凄い顔で男の子を止めようとした時、
サクラは慌てて、
「太郎君は他の人に水をあげているから、
僕はこれを飲んでくれるかな?
オマケにこのリンゴもつけちゃうよ」
そう言い聞かせて、
コップに入った水とリンゴを渡すと、
男の子は嬉しそうに水を飲んで、
「母上、このお水、凄く美味しいです、
母上も飲んでください」
男の子は嬉しそうにコップをマリアンヌに渡す、
ヴァイアンはホッとして黙って男の子を見つめ、
「このような小さな王子まで、
こんな所に閉じ込めていたなんて…」
太郎達も水を飲ませ終わり、
「マスター、どこかに寝かせてあげたい」
「そうだね、
話は後にしてみんなで下に降りよう」
マリアンヌも水を飲んで、
美味しさに驚いていたが、
「下とは庭園の事ですか?
あそこの扉には兵士がいたはずです」
「あ〜寝てるから大丈夫、
下に行けば食事も用意してると思うから、
心配しないでついてきて」
庭園に降りると良い匂いがしてくる、
太郎達がフカフカシートをひいて、
テーブルや椅子も用意されていた、
疲れた顔をしていた人達は、
食事をして少しは元気になったのか、
会話をしている人もいた、
そこに王を抱いた太郎が現れて、
「王様!ご病気では無かったのですか?」
「王様…」
「王様と、王妃様…
第一王子グレイス様まであんなお姿に」
庭園に閉じ込められていた人達は、
王の姿を見て安心したものの、
痩せ細った姿を見て嘆き悲しんでいた。
太郎が優しく王達を寝かせると、
王が薄っすらと目を開けて、
「貴方はどなたかな?
私を助けてくれたのかい?」
太郎は頷いて、
「助けたのは我らのマスター、
今食べ物を持って来る、
色々食べて早く元気になれ」
違う太郎がすったリンゴを持って来ると、
スプーンでリンゴをすくって、
力無く開いた王の口にリンゴを運ぶ、
王でも食べた事の無い、
甘く美味しいリンゴが口の中に広がる、
拠点の果物と野菜はホーリーマウントの、
エネルギーがたくさん含まれている為、
痩せ細った王の体中にエネルギーが隅々まで行き渡り、
リンゴを食べ終わる頃には、
普通に会話が出来るようになっていた、
意識がはっきりして来た王が見たものは、
見覚えのある庭園に、
見た事の無い木の人形が人の世話をして、
庭園の扉の前には王直属の兵士が2人寝ている、
その横では見た事の無い姿のヒューマンの子供と、
王直属の兵士ヴァイアンが何か言い争っていた。
「だ〜か〜ら、1人で大丈夫だし、
さっさと捕まえて色々吐かせて、
他に閉じ込められている人を助けなきゃ、
オッサンは黙ってたけど、
奥さんもここに閉じ込められていたんでしょ、
めっちゃ抱き合って泣いてたじゃん、
他の人も助けないと」
ヴァイアンは顔を赤らめて、
「いっ、いや、別に隠していたつもりは無いが…
私も一緒に行くから少し待ってくれ、
王の容態が大丈夫かどうか分かってからでも良いだろう?」
サクラは王を見て指をさし、
「もう元気そうだけど」
ヴァイアンは指差した方向に目をやって、
王がしっかりとした目でこちらを見ている事に気付き、
「陛下、
意識が戻りましたか?
良かった〜良かったです」
ヴァイアンは王の前で跪いて俯いて泣いていた。
ヴァイアンの奥さんもヴァイアンに駆け寄り、
一緒に泣き始める。
サクラはヴァイアンに向かって、
「ほら〜奥さんもいるんだし、
オッサンはここで待ってた方がいいよ、
暗くなったら寝込みを襲わなきゃならないでしょ、
それはなんか卑怯でいや、
堂々と正面からが好き」
ヴァイアンはサクラに振り向き、
「好きとか嫌いの問題では無い、
順序って物があるだろ」
サクラはやさぐれた顔でヴァイアンに近付き、
「オッサン、一緒に来る時の約束忘れていない?
邪魔はしないで欲しい、
ここで王が元気になって、
何があったか聞かれるでしょ?
そしたらまた説明が始まる訳よ、
そんなの待ってられないの、
マレディク調査も行かなきゃいけないし、
あの…シャーのアクセサリーを取らないと、
また脅迫されちゃうんでしょ」
ヴァイアンは「グッヌヌ」と歯を食いしばり、
何も言えないでいた。
そこに王が、
「お嬢さん、君がマスターなのか?」
「そうだけど」
「シャーとはシャルーンの事か?」
「そうだが」
「お嬢さんが急いでいるのなら、
私も連れて行って欲しい、
お嬢さんのやりたい事が終わったら、
説明はしてくれるのであろ?」
「まぁ〜説明ね…
そこのオッサンにも説明は出来るけど」
ヴァイアンは慌てて、
「お嬢さんが持ってる情報全部は知りませんぞ、
マレディクダンジョンの事やアクセサリーの事などは」
サクラは両手で顔を覆って、
(誰か違う人に説明させたい…
星神か?
いやあの坊ちゃん気質は何も分かって無い、
結局私が説明するしか無いのか…)
サクラは両手で頬を軽く叩くと、
「分かった、説明はするから、
今はシャーの所に行きたい、
王はどうしても一緒に行くなら、
太郎君におんぶしてもらって」
サクラはそう説明しながら、
手の空いている太郎を探すと、
とんでも無い光景を目にする、
「あっ…えっ?
ちょっと見ないで」
サクラの動揺に気付いたヴァイアンと王は、
サクラが見ている方向に目をやると、
さっきの男の子が太郎に頼んで、
太郎の口から細く水を出してもらい、
嬉しそうに口でキャッチして飲んでいた。
その光景に愕然としている王とヴァイアンに、
今度は母親のマリアンヌが気付いてしまい、
「キャ〜シャルル、
何をしているのですか?」
サクラは手を額に当てて、
「太郎君、何やってるんだよ」
「この子供が頼んで来た」
シャルルは太郎に抱きついて、
「お爺様達もこうやって飲んでた、
何で僕はダメなの?」
それを聞いた王が、
「私が?そうやって飲んだ?」
サクラは、悪気無く告げる、
「だって、気を失っていたから、
口移しで飲んでもらっただけだけど、
奥さんと息子もそうやって飲んでたよ、
そのお陰で直ぐに元気になったし、
太郎君は木で出来てるから、
木のコップから飲んだのと同じだよ、アハハ」
苦しい言い訳だった、
「さぁ〜そんな事より行きますよ、
太郎君はそこの王をおんぶして」
今度は低い男性の声が響く、
「ちょっとお待ち下さい、
そちらにいらっしゃるのは、
ルイス王に間違いありませんか?」
サクラが振り向いてみると、
スリープで寝かした兵士達の目が覚めていた、
兵士達は放心した王の近くに駆け寄り、
「陛下、ご無事で何よりです、
シャルーン様から、
王はもう助かる見込みが無いと聞かされていたので」
王は兵士達に気付き、
「おお、近衛兵の者達か、
確かに私達は助からなかったかも知れぬ、
そこのお嬢さんが治してくれたそうだ、
そうなんだろう?」
サクラはすっかり暗くなった空を見上げて、
(全然先に進めない…)
「そうですよ、
アタシが浄化の魔法で呪いを解きました、
王がかかっていたのは呪い、
病気じゃ無いんですよ〜
そうゆう詳しい話は後で、
先に行きますよ」
王は呪いと聞かされて頭が混乱するが、
今一緒について行かないと、
この少女の正体も分からない、
「そうであったな、直ぐに行こう」
次に騒ぎ出すのが、
庭園に閉じ込められていた人達、
「待って下さい、
私達も連れて行って下さい、
私達は王直属の兵士の家族です、
息子達が無事かどうかシャルーン様にお聞きしたい」
サクラはガックリと肩を落として、
(もうどうでもいいか…)
サクラはどうでもいい感が出て、
投げやりな態度で、
「もう何でもいいよ〜
は〜い、全員ついて来ればいい、
だけど、シャーからアクセサリーを、
取り上げるまでは大人しくしてて、
歩くのが大変な人は太郎君におんぶか抱っこしてもらって」
そこにさっきのシャルルが「はい」と、
ピョンピョン跳ねながら大きな声で叫び、
「僕は肩車でお願いします」
シャルルは相当太郎を気に入ってしまったようだ、
シャルルの母親は青くなっていたが、
そんな事はどうでも良くなったサクラは、
歩くのが無理そうな人の分の太郎を召喚すると、
シャルルは大喜び、
大人達は唖然としていたが、
第一王子のグレイスだけは興味津々にサクラを眺めていた。
読んで頂きありがとうございました( ^ω^ )/




