鬼人族の王都と オタク女子
前回の続きです。
王都の治療院の前に兵士が集まって来た、
住民も何事かと様子を伺っていたが、
治療院の中からは何の反応も無い、
治療院で働く家族がいる者も心配そうに、
治療院の前にいる兵士に声をかける、
「あの、何があったのでしょうか?
娘が治療院で働いているのです、
無事なんでしょうか?」
兵士は苛立ちが顔に出して、
「そんな事こっちが知りたい、
邪魔だから離れていろ」
冷たい対応だった。
その頃中ではサクラが走り回り、
患者をどんどん回復させて行く、
一階の患者の治療が終わった後、
急いで地下に降りてみると、
太陽光も入って来ない、
薄暗い廊下に部屋がいくつかあり、
中に入ってみると、
ヒューマン達がベッドに寝かされている、
ヒューマン達はもう死んでいるかの様に動か無い、
サクラは急いで更生施設のポータルを開けて、
「太郎君、これからどんどんヒューマン運ぶから、
フワフワシートに寝かせて
それから水分補給と食事ね」
ポータルから顔を覗かせた太郎が「御意」と返事をする、
サクラはヒューマン達を治療すると、
治療院で手伝っていた太郎達がポータルの中へ運んで行く、
ポータルの向こうでは村長達の嘆きの声が聞こえて来た、
ヒューマン達をこんな所から早く出してあげたくて、
サクラのスピードが上がる、
後からサンセも手伝いに加わっていたが、
涙でぐしゃぐしゃになって動き回っていた。
その後にオネットもやって来て、
「ここも酷い…酷すぎる」オネットも怒り心頭で、
部屋を見渡していた、
ヒューマン達は全部で17人何とか助け出して、
「太郎君、後はお願いね、
ヒューマン女子も手伝ってよ」
そう声をかけたが、
ヒューマン女子達は既に走り回りお手伝いをしていた。
サクラはそっとポータルを閉めると、
別の部屋にあったアクセサリーを、
全部太郎達にアイテムボックスに入れてもらい、
オネットに声をかける、
「オネット、サンセ、お待たせ、仲間はどこ?」
オネットは難しい顔で、
「仲間の兵士は二階に74人いました、
話が出来る様な状態では無く…」
「大丈夫、きっと助けてみせる」
オネットはサクラを見つめて、
「ありがとうございます、
ただ、問題がありまして」
「問題?」
「はい、さっき一階の鬼人達の顔を見て回っていたら、
知り合いの貴族がいまして、
その貴族の方はダガルと違いとても評判が良く、
領民達に慕われていた人物で何があったのか?
マスターはここに居る他の鬼人達はどうするおつもりで?」
「えっ?何も考えて無かったけど、
本人の意思を尊重するよ、
だから、一旦オネット達の町に保護する?」
オネットは安心したように息を吐くと、
「他の者も受け入れて頂けるのですね、
ありがとうございます」
サクラは手を左右に振って、
「いやいや〜あそこは誰が住んでもいいよ、
オネット達が保護したいなら、
どんどん連れて来ちゃいなよ、
建物とかは用意するし、ね」
そう言ってオネットに笑いかけると、
オネットは目を赤くし下唇を噛んで頷く、
「まず二階に行って治療始めて、
オネット達の町までポータルを開くから、
どんどん運んじゃって」
サクラは凄い速さで走って行くと、
オネット達も後を追いかける、
二階に上がると、
ポータルとアイテムボックスを開け、
治療を始める
太郎達は窓を開けていき、
飲み物と食べ物をアイテムボックスから、
オネット達の町に運んで行く、
治療を受けても意識が朦朧としていた兵士達に、
オネットとサンセは声をかけながら、
町へと運んで行った。
窓を開けたせいで、
外がますます騒がしくなっていったが、
誰も気にも留めずに黙々と動いていた、
そこに治療院の職員が仲間9人を連れて来る、
「あの、すいません、
職員を連れて来ました」
サクラが振り返ると、
男性7 人女性3人が立っていた、
みんな顔色が悪く疲れ切っているようだ、
「ああ、ありがとう、
ではみなさん、アクセサリーを外して、
ここに置いて」
言われた通りにアクセサリーを外して、
サクラの顔を見ると、
「本当にこのアクセサリーは呪われているんですか?」
サクラはアクセサリーを眺めながら、
鑑定魔法をかけて、みんなに見せる、
職員達は呪いの文字に釘付けになり、
「何でこんな物を王は、
私達に支給したのでしょう?」
「それは本人に聞かないとわからないけど、
自分以外はただの物扱いだったのかもね、
それで貴方達の体も呪われちゃってると思うから、
呪いを解いていい?」
職員はみんな頷いていた、
サクラは頷いてから、
「呪いが解けた後、
力が抜ける見たいだからそこに座って、
それとオネット〜ちょっと来て〜」
オネットは慌てて来て、
「マスターどうしました?」
「この人達はこの治療院の職員さん、
アクセサリーを付ける様に王から言われて、
つけてたんだけど、ちょっと見てて」
サクラは職員にサーチをかけると、
精神への呪いと表示されたのをオネットは見て、
「これはいったい…王は何故この様な事を、
国民にしてたのでしょう?」
オネットの顔が怒りで歪んでいった、
そこにサンセもやって来て、
サーチで表示された物を見て愕然としていた。
勿論職員達も狼狽えて、
女性職員は泣いていた。
サクラは職員達を見て、
「大丈夫、呪いは解けるから」
そう言って1人ずつ呪いを解いていくと、
職員全員グッタリとしている所に、
太郎達が水を持って現れた、
「水を飲め、少しは落ち着く」
職員達は頷いて水を飲んでいた。
二階の鬼人達を町に運び終わり、
一階に戻ってオネットが言っていた貴族に会いに行く、
一階の鬼人達は、まだ顔色は悪かったが、
少し落ち着いた様子で、
太郎達から果物をもらって食べていた、
オネットはその中の1人に声をかける、
「ケルカン様、体調はいかがですか?」
ケルカンと呼ばれた初老の男性は、
育ちが良さそうな顔立ちをしていた。
ケルカンはオネットの顔を見つめて、
「そなたは…確かダガル卿の所の隊長オネットだったか?」
「覚えていてくださったのですね?
ケルカン様は何故こんな所にいらっしゃったのですか?」
ケルカンは手のひらをオネットに向けて、
「その前に聞かせてくれ、
私達を治してくれたのはオネット殿か?」
オネットは大きく首を左右に振ってから、
サクラの背中を押して、
ケルカンの前に立たせると、
「この娘が全員治してくれました。
ここで果物を配っている者達も、
彼女の関係の者達です」
ケルカンは目を見開いて、
「この娘さんが?
まだ子供だと言うのに…
娘さんが本当にありがとう」
そう言ってケルカンはサクラの手を取って、
涙を流していた。
オネットとサンセもつられて涙を流していたが、
掠れる声でオネットが、
「ケルカン様、誰がこの様な事を?」
ケルカンの目が怒りに変わり、
「王だ、
マレディク-ダンジョンに兵士を、
行かせるのを反対した時から怪しくなって来て、
王の側近の1人から王が世界を征服する為には、
マレディクのアクセサリーが必要だと言い出し、
マレディク-ダンジョンに兵士を派遣して、
どれだけの兵士が死んだか、
その側近からアクセサリーを渡され、
調べて欲しいと頼まれて調べてみると、
呪われたアクセサリーだった、
それを装備してればモンスターにも襲われず、
あの紫の悪魔にもかからないと言う話が回って来て、
それは怪しいと進言したらここに拘束され、
何故か私も紫の悪魔に侵されてしまった、
暫くすると私の私兵達もここに連れて来られて…
兵士達には申し訳無い事をしてしまった」
周りで聞いていた兵士達が一斉に、
「ケルカン様のせいではありません」
「我々こそ力及ばず」
などと、まだ体力が戻って無い弱々しい声で訴えて来た、
オネットは兵士達を見渡して、
「ケルカン様のご家族や、
兵士達のご家族は大丈夫でしょうか?」
ケルカンは目を伏せて、
「それは分からない、
王都から我が領土まで1週間近くかかる、
そこに攻め込む暇と余裕があれば、
マレディクに兵士を派遣してるとは思う、
今は無事を祈るだけだ」
オネットも悲しそうに、
「心中お察しします、
それでご提案なのですが、
体調が戻るまで、
今我らが暮らす町に滞在されませんか?」
ケルカンは首を傾げ、
「そう言えばそなた達も大変だったろう、
今は大丈夫なのか?」
「はい、この娘さんがダガルから保護してくださり、
住む場所も用意してくれました、
食料も十分あり、モンスターの脅威も無く、
平和な場所です」
ケルカンはサクラを観察する様に見つめて、
「良く見れば変わった姿をしていますな、
娘さんはヒューマン族の方?」
サクラは心に中で(またかめんどい)
首を左右に振ってから、
拠点にポータルを開いて、
「太郎君、ジジイ何してる?」
太郎がポータルを覗いて、
「ジジイはブタ達と遊んでいる」
サクラはポータルを家畜小屋の方に向けて見る、
ジジイが楽しそうにブタ達と戯れていた。
サクラはため息をついて、
「じゃあ星神連れて来て」
そう言ってケルカンに微笑みかけていると、
太郎が星神を連行して来た。
「サクラさんどうしました?」
ケルカンと兵士達はポータルを見て驚いていたが、
そこから星神が出て来た事に唖然としていた。
「またですぅ〜
アタシが誰かと尋ねられたので説明宜しく」
「えっ?ご自分で説明されてもいいのでは?」
「星神、アタシを見て、
アタシが説明して納得すると思う?
認知度が高い星神が説明した方が早いでしょ」
星神は引き攣った顔で、
否定も肯定も出来ないでいるとケルカンが、
「星神様で間違いないのですね、
御尊顔を初めて拝見しました。
この娘さんは星神様からの使者ですか?」
サクラは(ここだ!)と思い、
「その通り〜星神に言われて来た者です、
信用するかしないかは貴方次第」
星神は口を開けてアホ面になっていたが、
「そっそうです、サクラさんは信用は出来ます、
見た目に惑わされにで下さい」
サクラは「キッ」と星神を睨んで、
「聞き捨てならない事言われたけど、
おじさんはオネットの町に行くかどうか早く決めて欲しい、
他にも捕まっていた人達のケアーもあるし、
オネットの町で過ごしている間に、
おじさんの領地の様子も見て来るし、
直ぐに帰れる様にも出来る、
王が何をやっていたのか?
アクセサリーは何か?を知りたければ、
オネットの町に居れば聞けると思うよ」
サクラはオネットに向き直り
「オネットの町へのポータルは開けておくから、
行くかどうか早く決めて、
星神はもういいけど、
たぶん直ぐにまた来てもらうから」
「えっ何でですか?」
「この前説明したでしょ、
認知度の話ね〜
はい、ポータル閉めますよ〜」
そう言いながらサクラはポータルをピシャと閉めた、
「じゃあアタシはこの建物の中を、
確認したら戻って来るから、
それまでに決めて」
そう言ってサクラはさっさと行ってしまう、
残されたケルカンはポカンとしていたが、
「オネット殿国の情報はどこまで知っている?」
「彼女が色々情報を集めていますが、
それは酷い話です、
ゆっくり説明させて頂く為にも、
兵士達と共に町に来て下さい、
その方が早く回復します」
ケルカンは兵士達の顔を見渡して、
「皆もそれで良いか?」
兵士達は一斉に頷く、
「ではオネット殿世話になる」
オネットは嬉しいそうに頷いて、
ケルカン達を町に運び出す
サクラが急に、
慌ただしく動き出したのには理由があった。
王についてた太郎から念話が入り、
治療院に向かったと聞いたのだ、
建物のチェックが終わってオネットの所に行き、
ポータル閉めて、
職員達の下へ急いで向かう、
サクラは職員達に、
「ここにいた病人は全部安全な所に移動した、
みなさんは王都に家族がいるんでしょ?」
職員は驚いた顔でサクラを見て、
「家族は王都にいますが、
病人が居なくなったら、
王に何をされるか心配です」
サクラは手を左右に振って、
「それは大丈夫、
王はアタシが引き取る」
「えっ?引き取るって…
この国はどうなるのでしょう?」
「あの王がみんなの為に、
何かしてくれてるの?」
「それは…」
「因みにここで働いた給料ってどの位?」
「給料なんて1年以上もらってません」
「じゃあ、何でここで働いていたの?」
職員は顔を見合わせて、
「働かないと食料がもらえ無いのです」
「食料は王が用意してた?」
「それは分かりませんが、
モンスターの肉や野菜が減り始めた頃、
王が食料を管理する事になって、
3日に1回食料が配られます、
働いていない者は貰えず弱っていきました」
「まさか死者も出た?」
「まだそこまでは、
働けない人にみんなで分け合ってますから」
「おお、王と違ってみんな意識高いね」
職員の女性が泣き出す、
サクラはいきなりの事で驚くと、
他の職員が、
「働けない人は…
元兵士が多く、
王の為にダンジョンに行って怪我をしてしまって、
泣いてる彼女のお兄さんも怪我した1人で、
王の為に怪我をしたのに酷い扱いで」
男性の職員が慌てて、
「そんな事口にしちゃ駄目だ、
不敬罪になるぞ」
言われた女性が、
怖くなったのか震えて涙を流す、
サクラは真剣な顔で、
「もう大丈夫だよ、
あんなゴミ王よりいい人いるから、
安心してここで眺めていて」
その時外から大きな声で、
「この鉄格子を建物につけた者に告ぐ、
今直ぐに鉄格子を外し、
王に弁明せよ」
職員達は青くなって小さくなっている姿を見たサクラは、
「怖がらないで見ててね」
そう言ってポータルを開けて外に出て行く、
サクラは建物の屋根から、
下の様子を見ると、
大きな馬車が止まっていて、
周りにはたくさんの兵士が馬車を囲んでいた。
サクラは「フンッ」と鼻で笑ってから、
「それはアタシだけど、鉄格子は外せない、
だって王が誘拐したヒューマンが中にいるから」
建物の前に集まった者達が騒めく、
1番偉そうな兵士が、
「王の御前ぞ騒ぐな」
その言葉で一瞬で静寂になる、
偉そうな兵士はサクラを見上げて、
「だいたいお前は誰だ?
ヒューマンの子供だろ?
お前の様な子供がこんな鉄格子を出せるか、
他に誰がいる?」
サクラはフワリと浮いて、
兵士の近くまで飛んで行くと、
今度は兵士達も騒めく、
「浮遊術だと?
何者なんだお前は?
だいたいここは鬼人の国、
不法侵入だ」
サクラは大笑いをして、
「ア〜ハハハハ、不法侵入?
その前に盗賊使ってヒューマンの国に入って、
誘拐させた者に偉そうな事言われる覚えは無い」
兵士は青筋立てて、
「偉そうにそんな所に居ないで降りて来い、
怖いのか?」
サクラが笑いながら、
「降りても良いけど、
おじさん怪我しちゃうよ」
「何を訳の分からん事を、
お主の様な小さい者が、
私を傷つけられる訳があるか」
「そう?忠告したからね」
そう言ってサクラは兵士の前まで降りて行くと、
兵士がいきなりサクラの腕を掴もうとしたが、
サクラに手を握られて悲鳴を上げる、
「ギャ〜アアア、キサマ何をした」
兵士は膝を崩して掴まれた手を見ると、
手が潰されて変形していた。
「治癒魔法が使える者早く治してやれ」
他の兵士が怒鳴る、
偉そうな兵士は後ろに引き下がると、
馬車から王の声が聞こえて来た。
「もう良い、私が出よう、
試すのに良い相手が見つかった」
王に言われて兵士が達が慌てて、
大きな台を持って来ると、
その上に椅子を置いて、
馬車の扉を開く、
中から派手なローブを羽織った中年の鬼人が出て来た。
王は出された椅子に偉そうに座ると、
「なんだこのガキは?
こんな者に何かされたのか?
情け無い兵士だ、明日からもう城に来なくてよい」
怪我をした兵士は青い顔で王の横顔を見ていたが、
何も言えずに俯いてしまった。
サクラは両手を広げて、
「はぁ〜やれやれだね」
そう呟いてから怪我をした兵士に、
光を送ると兵士の手が元に戻る、
兵士は驚いて、
手とサクラを交互に見ていた。
それを見ていた王が、
「ほぉ〜なかなかの魔法使いだな、
でも私には敵わない」
「何で?
マレディク-ダンジョンのアクセを装備してるから?
そんな呪わたアクセなんか怖く無いけど」
「子供、何故それを知っている?」
「何でおじさんだけが知ってると思うの?」
「お前口の聞き方を知らない様だな、
私自ら教えてやろう、
痛みと共に覚えて行くがいい」
そう言って人差し指をサクラに向けると、
サクラの方から先に何かが飛んで来て、
王の人差し指が飛んだ、
王は悲鳴を上げる、
「ギャ〜アアア、何をした〜」
王は指を押さえながら叫ぶ、
サクラは呆れた顔で王を見て、
「風魔法で切っただけ、
なんか、やり取りに疲れた、
オッサンの相手疲れる〜
オッサンには犯した罪を償ってもらう」
そう言ってサクラは、
王の両脇に4メートル忍者太郎を召喚して、
ロープで拘束させる、
王は何が起こったのか訳も分からず、
「ちょっちょっと待て、
お前ら王に刃向かうと…不敬罪だぞ!いてて」
サクラは王の背後に拠点へのポータルを開けて、
王を軽く蹴る、
王はポータルの中に凄い勢いで飛んでいった。
サクラはポータルに顔を突っ込んで、
「飛ばしたオッサン確保しといて、
それから星神連れて来て」
一瞬の出来事に周りは静まり返っていたが、
サクラは周りに集まった人達に向かって、
「王は大罪を犯しました、
これ以上罪を犯させない為、
人を傷付けさせない為にアタシが預かります」
一瞬時が止まった様になって、
いきなり周りの人達が騒ぎ出す、
「王が居なくなったらこの国はどうなるのですか?」
サクラは、
「王が居ないと困る事は何?」
誰も答えられないでいる、
サクラは首を傾げて、
「兵士のみなさんなら王が居ないと困る事わかる?」
兵士も俯いて何も言わない、
サクラは呆れて、
「王がどっか行っちゃったのに、
兵士も騒が無いって事は、
王は要ら無い存在なの?」
そこに兵士の1人が、
「王が居なくなると、
貴族同士の内乱が始まります、
ただでさえ食料も無い王都で、
内乱など始まったら、
国民は飢えてしまいます」
サクラは頷いて、
「そうなら無い様に、
食料の問題やモンスターの問題が落ち着くまで、
この方に王の代わりを務めてもらいます」
サクラが太郎に合図を送ると、
両脇を太郎に抱えられた星神がポータルから現れる、
連れて来られた星神は何が起きたのか理解でき無いでいる、
登場した人物を見て、
周りは静まり返り星神を凝視した後、
みんな跪いて頭を下げた、
その光景にほくそ笑むサクラ
(効果覿面、ムフフ)
「みなさんはこの方が誰だかご存知ですか?」
1人の兵士が顔を上げ、
「この星の者なら誰もが知っています、
星神様、御尊顔を拝見出来る日が来るとは、
私達を助けに来てくださったのですか?」
何が何だか分から無い星神は冷や汗をかいて、
「たっ助けるって、
それほどこの国は困っていたのですか?」
サクラは星神を見て、
(何をすっとぼけた事言ってやがる)
サクラは喉を鳴らして、
「んっんん、星神様、
この国の者は食べ物も少なく、
王の横暴なやり方に疲弊しています、
王に代わって世の中が落ち着くまで、
星神様のお力添えをお願いします」
そう言ってサクラが星神を睨むと、
星神はタジタジになって、
「私で出来る事は何でも協力いたしましょう、
ただ土地の乱れの為、
山から降りて来るのは難しいのです」
「それはご心配無く、
両脇に立っている太郎達が、
星神様の指示に従います。
星神様はホーリーマウントから指示するだけです」
星神は(なるほど)と小さく呟いてから、
「みなさん、顔を上げて私に顔を見せて下さい」
周りの者達は顔を上げて星神を見つめる、
中には涙を流している者もいた。
星神は皆の顔を見渡して、
「星が乱れ始めて、
皆さんには本当にご迷惑をお掛けしました。
これからは、この太郎達が協力しますので安心して下さい」
それだけ言ってニコニコする星神、
サクラは(言う事はそれだけかい!)と突っ込みたいのを我慢して、
「国が落ち着くまで、
この太郎が食料やモンスターの問題を、
対応していきます、
それまでの間、
この国をどうして行くかは、
国民の皆さんで考えていきましょう、
それまでは星神様も協力して下さいます、
何かご質問はありますか?」
男性が手を挙げて、
「税金はどうなりますか?
モンスターのせいで収入も減ってしまいました、
それでも王は変わりない税を請求して来たのですが」
「えっ?本当に?
それじゃあ、払えなくなっちゃう人もいたでしょ?」
「払えなくなると家財を取られました、
後は食料を頂けなくなります」
星神は驚いて、
「それでは死んでしまいます」
男性は大きく頷いた、
サクラは、
「では税金は落ち着くまで無しにします、
他には何か無いですか?」
今度は女性が手を挙げて、
「治癒魔法は、
いくらでやって頂けますか?」
サクラは首を傾げて、
「今まではおいくら払ってたんですか?」
「金貨1枚です、
私達庶民には払えません、
だから怪我をした兵士は治癒魔法もかけてもらえず、
城から追い出されました」
星神が「えええ〜」と言って絶句していた、
サクラは、
「治癒魔法を使える人は治療院に居ないの?」
「治療院に薬師しかいませんでした、
治癒魔法が使える者は城にしかいません、
兵士の為だと聞かされていましたが、
その兵士が、
治癒魔法をかけてもらえ無いまま帰されていました、
動く事もままなら無いのに、
働け無いからと食料も分けてもらえ無い」
星神が涙でボロボロになって、
「食料は王だけが持っていたのですか?」
「モンスターの巨大化が始まる前は、
それぞれの店に食べ物は卸されてましたが、
食料が減り始めると、
全ては王が管理する様になってしまって」
その後、女性は泣き崩れてしまった。
サクラは女性の背中を優しく撫でて、
「ご家族に怪我をしている人がいるの?」
サクラの問いに女性は泣きながら頷く、
サクラは太郎を召喚して、
「今直ぐにそのご家族を連れて来てもらえる?
この太郎君と一緒に行って、
太郎君に連れて来てもらって」
女性は太郎を見て頷くと、
立ち上がり家に向かって行った。
サクラは周りを見渡して、
「怪我人や病人が家族にいる方、
近所の1人暮らしで病人や怪我人を知ってる方は、
ここにいる太郎君と一緒に行って連れて来て」
サクラの話を聞いて、
住人が太郎を連れて走って行くと、
兵士達も「私達もいいですか?」サクラに尋ねる、
サクラが頷くと、兵士達も走り出す、
サクラが軽くため息をつくと、
治療院の中から声が聞こえて、
治療院を見ると鉄格子の向こうで、
「私達も連れて来たい家族がいます」
サクラは治療院に手をかざして、
鉄格子を外すと職員達も走り出した。
星神は集まっていた人が、
あっという間に走って行ってしまう姿を見て、
「サクラさん…これって、
みなさんどうしたのでしょう?」
「ここにいた人達全員に、
怪我人や病人の知り合いがいるって事、
王はもしかしたら、
王都全体を苦しめたかったのかも、
これからちょっと忙しくなるな」
サクラは空を見上げ、
「今日も遅くなりそう…」
そう呟くのであった。
読んで頂きありがとうございました(^-^)




