お使い忍者太郎と オタク女子
忍者太郎王都に行くです。
エルフの国、マンフィーク国の王ジョルジュ-アンテーリ、
金髪を短くカットした長身の美形だ、
国民から王に選ばれてから97年の月日が流れていた。
王となる者は、聡明叡智で剣術、魔法にも長けている者、
任期は200年と決まっており、
王と言うより大統領と言った方がしっくり来る、
エルフの国は1000年以上前に、
国全体の安定を考えるのなら、
王の世襲制を廃止し、
適任者を国民が選ぶ方向に舵を切り、
国は王を育てる為の学校も用意し、
全ての国民に平等な権利を考え、
エルフなら誰でも通える学校にしたのだ。
歴代の王の中でも、
1番優秀だと言われているジョルジュは、
150歳と言う若さで王に就任し、
国の為に尽力を尽くし、
モンスターの巨大化や、
紫の悪魔と言われた病に関しても、
王の指示で素早い対処をし、
被害を最小限にする事が出来ている、
そんな王の今の悩みは、
ヒューマン族と、鬼人族が国境を超えて、
攻め込んで来る事、
兵士の安全を考え、
国境に砦を建てている途中であった、
ジョルジュ自身の性格は探究心が強く、
公務以外では少年の様な行動を取る事もあり、
近衛兵達のちょっとした悩みであった。
ただでさえ公務で忙しい王のもとに、
兵が慌てて王の部屋の扉を叩く、
「ジョルジュ様、
城門の前に不審な者が座って居ます」
ジョルジュは扉を叩く音で目を覚ましていたが、
(不審な者が座ってる?)
その言葉に首を傾げながら、
「直ぐ行く」
そう言って白いシャツと、
黒いパンツと言うカジュアルな姿で、
兵士と一緒に城門まで走る、
まだ夜が明けきらず、
薄暗い城門の前で、
あぐらをかいて座っている忍者太郎がいた。
サクラに言われた通りに、
明るくなるまで何もせずに、
じっと座っている、
ジョルジュも城門の上に上がり、
真っ黒な見た事の無い衣装を纏い、
顔は目の所以外は黒い布で覆われ、
腰には2本の見た事の無い短剣を装備している、
そんな忍者太郎の姿を見て、
ジョルジュは自分の心が高鳴っている事に気がつき、
(何だあの凛々しい姿は彼と会話をしたい)
兵士達は忍者太郎がモンスターなのではと警戒しているが、
ジョルジュは反論する、
「モンスターが服を着ている訳無いだろ」
「そう仰っても、
ミノタウロスは腰巻きと斧を持ってます、
最近のモンスターの変化を見ると、
あの様な者も現れてもおかしく無いのでは?」
ジョルジュは笑って、
「ではあの様に、
おとなしく座っているモンスターを見た事はあるか?」
「それはありませんが…
用心に越した事は無いと思います。
無謀な行動は控えて下さい」
「分かっているさ、
取り敢えず門の外に出て、
近くで見たいのだが」
兵士達はため息をついて、
「それが無謀な行動と言ってるのです、
もう少し明るくなるまでお待ちを」
城門の上ではガヤガヤと騒がしくなって来る、
東の空が明るくなり、
視界も良くなって来ると、
監視塔の兵士が叫ぶ、
「森の奥から約15メートル程のモンスターが、
接近して来てます、戦闘の準備を」
忍者太郎の事で騒いでた兵士達は、
真剣な顔になり、
いつもの配置に着く、
ジョルジュは近くの兵に声をかけて、
魔法部隊を呼ぶ様に指示を出し、
忍者太郎の様子を伺っていると、
忍者太郎は微動だにせず、
何かを待っている様だった。
日が昇りすっかり明るくなると、
静かに立ち上がる太郎、
森の方からは聞いた事の無い雄叫びが聞こえ、
モンスターは人の気配を感じたのか、
スピードが速くなる、
忍者太郎は森の方に向き直り、
静かに剣に手をかけると、
突然走り出す、
森から15メートルのサイクロプスが現れ、
城壁の上では初めて見る巨大サイクロプスに、
兵士達は戦々恐々としていたが、
ジョルジュは目を輝かせてサイクロプスを見つめる、
サイクロプスは棍棒を振り上げて、
城に向かって走っていたが、
迫って来る忍者太郎に気付き、
忍者太郎に向かって走り出しす。
サイクロプスが忍者太郎に向かって棍棒を振り下ろして来たが、
忍者太郎は飛び上がり棍棒を避けると、
空中で一回転し、
サイクロプスの背後で着地をしたと同時に、
両膝の裏を剣で切り付ける、
忍者太郎は再び飛び上がり、
サイクロプスの背中を蹴る、
大きな音を立てて倒れるサイクロプスの背中に乗ると、
背中から心臓に向かって2本の剣を突き立てる、
あまりの速さで何が起きたのか、
兵士達は理解出来ないでいると、
ジョルジュが変なテンションになっている事に気付く、
「う〜うう〜う〜、何と可憐な動き、
あれは一体何者何だ、はぁ、はぁ」
兵士達は(これはマズイ)と思い、
「ジョルジュ様落ち着いて」
「まだ何者か分かって無いんです、
勝手な行動は取らないで下さい」
「ジョルジュ様に何かあったら、
国は滅びますよ」
ジョルジュは兵士達を見つめて、
「国が滅ぶって…
私の代わりなどいくらでもいるだろ」
そんな話をしていると、
忍者太郎がサイクロプスの腕を、
脇に抱えてズルズルと引きずり、
城門の前迄やって来ると、
「お前らこれを食べるか?」
ジョルジュは両手で口を押さえると、
「しゃ、しゃべった〜
知性があるんだ、
人間では無いよな?
ゴーレムの類いか?
人造人間か?何だろう」
ジョルジュは興奮して喋りまくってから、
忍者太郎の近くまで城門の上を走り、
城門の上から、
「サイクロプスは食べれる所は少ないが、
薬の材料として貴重なんだ、
君は一体誰なんだい?」
忍者太郎は城壁を見上げて、
「そうか、ではこれをくれてやる、
私は太郎、ルポルの町のバルと、
クラテルの町のエイストから手紙を預かってる、
この手紙をジョルジュ-アンテーリに渡したい、
返事も欲しいそうだ、
私はここで待っているので取りに来い」
ジョルジュは顔を赤らめて、
興奮絶好調になり、
階段を降りて門をくぐろうとすると、
近衛兵の隊長ホーマーが、
ジョルジュの腕を掴んで、
「ジョルジュ様、
勝手な行動はおやめ下さい、
私が取って来ます」
ジョルジュはホーマーの顔を睨むと、
「ホーマーずるいぞ、
私が先にあの者と話したい」
ホーマーはふぅ〜と軽くため息を吐いて、
「あの者が言ってた、
手紙を取りに行くだけです」
ホーマーは3人の兵士を連れて城門をくぐり、
忍者太郎の下へ向かう、
ホーマーも3メートル近い身長だが、
5メートル忍者太郎の前では小さく見えた。
ホーマーは忍者太郎の前に立ち、
「手紙を受け取ろう」
そう言って手を出すと、
忍者太郎は懐から手紙を出して、
ホーマーに渡した後、
数歩下がりまたあぐらをかいて座る、
門の隅から片目だけ出して、
忍者太郎の一部始終を観察するジョルジュ、
ホーマーはジョルジュそんな姿を見て、
(これはマズイかもしれん、
早急にこの変な者の正体を解明せねば)
ホーマーは落ち着きを払って、
ゆっくりジョルジュに近付き手紙を渡す、
ジョルジュは手紙の封蝋を確認すると、
「確かにバルの封蝋だ、
バルはあの者とどうゆう関係なのだろう」
そう言いながら手紙を出して読む、
手紙の内容に真剣な表情になり、
ホーマーの顔を見て、
「モンスターが何故発生するのか解明したそうだ、
モンスターはただの厄災では無かった様だな、
周りの負のエネルギーを吸って生まれる、
ある意味土地の浄化だ、
これが巨大化したという事は、
負のエネルギーが増えて来たと言う事だ、
それは争いや生活の不安もあるだろう、
早急に対策をしなければならないな」
手紙に目を通したホーマーも、
唸りながら、
「う〜む、対策と言ってもどの様な対策を?
ヒューマン族と鬼神族達の行動は制御出来ませんし、
食べ物不足も王都は何とかなってますが、
国全体を考えると直ぐにとは行きませんな」
そこに兵士がやって来て、
ジョルジュに手紙の道具を渡す、
ジョルジュはサラっと返事を書くと、
ホーマーに渡して、
「これを彼に渡して欲しい、
私も一緒について行くが、
決して私が王だとは知られるな」
「それは何故ですか?」
「何となくその方が良いと思っただけだ、
今から彼に話を聞きに行く」
ジョルジュは頭が良く感も鋭い出来る男なのだ、
それでも興味のある忍者太郎との会話に、
ワクワクしながら太郎に向かって歩く姿は、
ちょっとスキップしているように見えた。
ホーマーが忍者太郎に、
「これは王からの返事だ、
間違い無くバル殿に渡してくれ」
忍者太郎はゆっくりと立ち上がり、
ホーマーから手紙を受け取り、
懐にしまって、
「了解した」
直ぐに踵を返して帰ろうとする忍者太郎に、
ジョルジュが声をかける、
「ちょっとお待ちを、
君の事を聞かせてくれ」
忍者太郎は振り向き、
「何故?」
ジョルジュは顔を赤らめて、
「これからも君が手紙を持って来るかも知れない、
そうなると君の正体を知っていた方が、
こちらも安心出来る」
忍者太郎はジョルジュをじっと見つめて、
「私の正体など関係無い、
そんな説明をする様にとマスターから言われていない、
指示をされていない事はしない」
ジョルジュはマスターの言葉に反応して、
「マスターとはバルの事かい?」
「あんな爺さんは関係無い」
「じゃあマスターって、
誰の事なのか教えてもらえないか?」
忍者太郎は黒いまん丸の目を細めて、
「お前は誰だ?」
「私はこの城に仕える兵士だ」
忍者太郎は「フッ」と鼻で笑うと、
「お前嘘つきだな、
お前がジョルジュ-アンテーリだろ?
お前の手から手紙と同じインクの匂いがする、
そんな嘘つきにマスターの事は教えられない、
では私は帰る」
そう言って忍者太郎は高くジャンプして帰ってしまった。
ジョルジュは唖然として、
「今までこんな事は無かった、
私の心を読む様なあの態度…
ますます興味が湧いた」
ホーマーは忍者太郎のジャンプ力に驚いていたが、
ジョルジュの興味が湧いたの言葉に、
「多分、なかなか会えないと、
私は思いますが」
ジョルジュは恋する乙女の様な顔で、
「いいや、絶対に会いに行く、
バルやエイストに会えば話は聞けるだろう」
ホーマーは大きくため息をついてから、
「これからは、そんな暇無いと思いますぞ、
それより、このサイクロプスを運ばなければ」
ホーマーはテキパキと兵士達に指示を出し、
ジョルジュは忍者太郎の帰って行った方向を眺めていた。
忍者太郎はルポルの町に寄って、
バルに手紙を渡してから拠点に帰り、
サクラの帰りを待って、
サクラに報告をする、
サクラはクタテルの町で見た、
野菜を召喚しながら忍者太郎の話を聞いている。
「明け方前に着いて、
明るくなってからモンスター倒して、手紙を渡し、
返事をもらって、ルポルに寄り、帰って来た」
サクラは話を聞いて、
「ほぉ〜速かったね、
モンスターてどんなの倒したの?」
「目が1つのやつ」
「何とサイクロプスか?
まさか…あんなのも食べるのか?」
「食べる所は少ないが、
薬の材料になると言ってた」
「少ないって…
やっぱり食べるんかい!
薬の材料かぁ〜
当分錬金術の練習は出来ないよね」
そんな話をしていて、
王の事など全然興味のない2人であった。
読んで頂きありがとうございました♪




