町に行く オタク女子
町に着いたサクラは、
いろいろな事情を聞かされる。
ノル達が草原に来てから一週間、
村人達も草原での生活にも慣れて、
太郎達の仕事を手伝ったり、
料理太郎に料理を習いに来る者もいる、
今日も朝から畑の手伝いをしている村人達を、
キッチン食堂のテラスから眺めてるサクラ、
サクラは椅子に座って、
空中を右手の人差し指でクルクル回している、
そこをおじいちゃんと星神が通りかかり、
サクラの姿を見て、
「サクラ…とうとうおかしくなったか?」
サクラは目だけでおじいちゃんを見て、
「そうみたい、だから後の事は頼むね」
おじいちゃんはため息をつきながら、
「また、そんな屁理屈を言って」
そんなやり取りを見ていた星神が、
「テール失礼ですよ、
サクラさん、おはようございます、
何をやってるんですか?」
サクラはクルクルを維持したまま、
「空間魔法の練習」
「空間魔法ですか?
どんな魔法なんでしょ?」
サクラはクルクルの場所を左手で指差し、
「ここにあるの分かる?」
星神とおじいちゃんは、
サクラが示した場所を見る、
「えっ?これは…
どうゆう事でしょ?
別の場所が見えてます?」
星神が不思議そうに眺めている。
おじいちゃんは呆れた顔をして、
「そんな事をして遊んで無いで、
早く命を助けに行け?」
サクラは大きなため息をつくと、
可哀想な人を見る様な目でおじいちゃんを一瞬見てから、
何も言わずに指を見てる。
おじいちゃんは口を一文字にして、
悲しそうな顔をするだけで、黙ってしまった。
星神は硬い笑顔を向けて、
「テール失礼ですよ、
サクラもテールの言った事は気になさらずに、
それでその穴は何でしょう?」
サクラはため息をつき、
「はぁ〜これから色々な場所に行く事になるでしょ?
素材も取りに行きたいし、
この星の状況も調べに行くでしょ?
そうなると、結構遠くに行く事になる、
そうなったら、帰りも時間がかかる、
空間魔法は二つの空間を繋ぐ事が出来るだろうと思って、
ここと違う場所を繋ぐ練習をしてた訳よ、
繋ぐ事は出来たんだけど、
穴があまり大きくなら無い、
人が通れる位にしないと、
意味が無いからね、
それと、この穴の事はポータルと命名した」
そう説明しながらサクラはクルクルを続けている、
空間が少しずつ広がって向こう側が良く見える様になると、
星神がのぞいて、
「この場所はどこでしょ?
顔をだけは出せる様になりましたね」
「そこはノル達の村だよ、
どうも行った事ある所しか繋げる事が出来ないんだ」
星神は「ほぉ〜」と言いながら、
空間に顔を突っ込んでノルの村を眺めていた。
星神は顔を戻してサクラを見て、
「これは…大変な事になってます?」
「さすが、星神、
空気が違い過ぎでしょ?
山から離れれば離れる程、酷そうなんだよね」
星神は腕を組んで、
「う〜ん」と唸る様な声を出してから、
「何でこんな事になったんでしょう?」
「これはアタシの想像だけどさ、
モンスターが巨大化を止めないと、
これからも酷くなるだろうね、
モンスターは負の感情を吸って産まれるんでしょ?
この星の住人達が不安の無い生活を送らないと、
ますますモンスターが巨大化するよ、
まずは違う場所に住んでる人に話しを聞かないとね、
星神達も村人から話しを聞けば、
住人に取って何が安心に繋がるか少しは分かるんじゃ無い?」
サクラの言葉に何も言えなくなった星神を見て、
「まっ、色々調べてみるから、
焦らずに待っててよ。
それとおじいちゃんは急かすだけだけど、
色々準備が必要なんだから、
ちょっとはアタシの事信用して欲しいね、
必要な時は星神と精霊王達には協力してもらうから」
その時、料理太郎が朝食を持って来て、
「マスター、朝食」
「料理太郎君、この2人にも持って来てあげて」
「御意」と言いながら料理太郎がキッチンに戻り、
テラスの端に作ったチビ太郎達の家から、
チビ太郎達が出て来て、
「マスターおはよ〜、
朝の音楽はいかがですか?」
そう言いながらサクラの好きなアニメの曲を歌い出す。
星神とおじいちゃんは、
チビ太郎達を見て、
「この太郎君達は、いったい…」
ボソっと星神が呟くと、
子供達がボールを抱えて走って来る、
「マスター、チビ太郎君、おはよう!」
そう挨拶してから、チビ太郎の歌を楽しんでいた。
星神は周りを見渡すと、
飼育小屋の周りでは村人とクレアが集まって、
楽しそうに家畜達と過ごしている、
サクラが作ったバスケットゴールでは、
ノル達若者が集まってバスケを楽しんでいた。
キッチンの方では村人の奥様達の楽しそうな声、
星神はいつの間にか涙を流し、
「サクラさん、幸せな時間ってこうゆう事ですか?」
「そうかもね、
村人達の生活は酷かったから、
何の不安も無く過ごせるって幸せだと思うよ」
星神と一緒におじいちゃんも、
何も考えて無さそうな顔で眺めていた。
料理太郎が戻って来て、
「星神、ジジイ早く座ってこれを食べろ」
そう言って朝食を置く、
サクラは星神が落ち込んだ様に見えたのか、
「今はここの実りを楽しんで、元気だしてよ」
そう声を掛けてから、
3人並んで朝食を食べ始める。
サクラが食事しながら、
「朝食を食べたら、ちょっと町に行ってくるわ」
とサクラが何気に呟いた。
別視点エイスト、
サクラが向かう町クラテルでは、
大きな問題を抱えていた。
エルフの国では、
町とその周辺の土地を管理する為の領主が必ずいる、
領主に選ばれる者は、
人格者であり、管理能力に長けている者を厳選する、
クラルテの町に住む領主の名は、
エイスト・ラントール、
王都で産まれ、小さい頃から剣術、魔法の才能があり、
王都の兵士長の経験もあり、人格者でもあった。
そんなエイストがクラテルの町の領主に任命されたのは、
今から50年前、
少しずつモンスターの巨大化が始まり、
大地の状態も悪くなり、
作物に問題が出始めた頃だった。
エイストはモンスターの対応の為、
兵士の強化と、
作物の改良に尽力を努め、
良い方向に向かっていたが、
20年前に突然クラテルの町に不可解な病が広がり、
未だに病に苦しむ者もいる、
2年前には隣町のルポルに、
鬼人族の貴族ダガルが500の兵を引き連れて攻め入り、
小さな町ルポルは一瞬にして占拠されてしまった。
元々ルポルは農村で、
モンスターの巨大化対策として、
王都から領主と兵士300名が派遣された小さな町だった、
そんな町が襲われるとは思いもし無かったルポルの領主は、
民を守るべく戦いながら、
町民150名に兵士100名の護衛をつけて逃し、
残りの町民55人、兵士200 と領主の安否は未だに不明であった。
領主エイストは町を守り、モンスターを倒し、
食料問題、病人の薬の研究、
隣町の救済をどうするか、
悩みは尽き無い所に、
ルポルの町から、
盗賊の様な鬼人族がルポルの民を使って、
クラテルの町の、
城門を攻撃させると言う嫌がらせをしにやって来る、
痩せ細ったルポルの民20人を連れて来て、
5メートル程の丸太に巻かれたロープを10人に持たせ、
城門にぶつけさせている、
残った10人は鬼人族達の前に座らせ、
いざと言う時の人質になっていた。
エイストは兵士達に、
ルポルの民には決して攻撃をしてはならぬと、
命令をしているが、
城壁の上からの弓や魔法の攻撃範囲には、
鬼人族達は決して入って来ない、
痩せ細ったルポルの民に、
丸太で城門を攻撃をさせ、、
1時間程城門を攻撃させると、
フラフラしたルポルの民を連れて帰って行く。
エイストはルポルの民を助ける事も出来ず、
鬼人族に攻撃も出来ず、
鬼人族が何がしたいのか理解も出来ず、
頭を悩ませる事しか出来ないでいた。
そんなある日、同じ様に鬼人族がやって来た。
町の兵士長がやって来て、
「エイスト様、
また鬼人族達が来ました。
ルポルの民ももう限界に見えます、
何とか出来ないでしょうか?」
エイストは苦虫を噛み潰した様な顔になって、
「私もいい加減限界だ!」
エイストはそう言い放つと部屋を出て、
城門に向かって走って行く、
城門前の様子を見ると、
相変わらずフラフラのルポルの民に、
城門を攻撃させていた。
鬼神族達はエイストの姿に気が付き、
「おやおや、領主様のお出ましだ〜
同じエルフ族を見捨てる、ダサイお方だぞ」
エイストはヘラヘラ笑う鬼人族を見据えて、
「卑怯な鬼人族、
人質がいないと何も出来ないか?
こんな事しても城門は壊せない、
お前達の目的はなんだ?」
鬼人族達は相変わらずバカにした笑みを浮かべながら、
「目的?そんなもん嫌がらせに決まってるだろ、
何の抵抗も出来ずに仲間が弱っていく姿を見せつける、
そう言われてたんだけどよ〜
コイツらも死にそうじゃん、
だからカシラからの伝言だ〜
食い物よこせ!食い物無いとコイツら死んじゃうよ」
話してる間もルポルの民は丸太を打ち付けてる、
1人のルポルの民が限界が来たのか、
フラフラと倒れてしまった。
鬼人はその姿を見て、
鬼人族達の前に待機させられてたエルフを蹴ると、
「ほら、仲間が倒れたぞ、
お前が交代して来い」
そう言ってまた蹴る、
蹴られたルポルの民は立ち上がり、
倒れた仲間をそっと端に動かし、
代わりに丸太のロープを掴み城門を叩き出す。
城壁の上のエイストや兵士達は、
怒りに震えながら倒れたルポルの民を見つめている、
そこにエイストが、
「食べ物は用意してもいいだろ、
その代わり条件がある、
その者達を解放しろ」
鬼人族達は何がおかしいのか急に大笑いをして、
「解放だと?
そんなもん、そいつらは望んじゃいないぜ、
嘘だと思ったら聞いてみろよ、
おい、お前ら答えてやれよ」
丸太を持ったルポルの民はエイストの顔を、
涙目で見つめながら、
「私達が…救われたら、
町に…のっ残された、かっ家族が、
殺されてしまいます」
怒りの限界点を越えたエイストは、
ルポルの町を攻め込む決心をしたのだ、
(サクラ視点)
その時、突然、
鬼人族達と待機させられてたルポルの民との間に、
金網のフェンスが現れた。
フェンスは10メートル程の高さがあり、
ご丁寧に金網の屋根まで付けてある、
そして屋根にゆっくりと降りて来る木の人形、
その肩には少女が乗っていた。
突然の出来事に、鬼人族は狼狽えて、
「なんだあれ?トレントか?」
「いや、あんなの見た事無いぞ」
「やい人形野郎なんだ貴様は?」
鬼人族達は大騒ぎしていたが、
城壁の上でも騒ぎになる、
「エイスト様、あれはモンスターでしょうか?」
「それも気になりますが…あの壁見たいのは何でしょう?」
エイストは、
金網や木の人形よりも気になったのが、
人形の肩に気だるそうに乗ってる少女の方だった。
鬼人族達は、金網を揺らして、
「コラ、人形野郎何とか言いやがれ」
肩に乗ってた少女、
サクラは低い声で、
「お前ら、太郎君を人形って言うな、
それから、お前ら見てたけど、
世界一の卑怯者だろ?」
鬼人族達は人形が喋ってると勘違いして、
「なんだコイツ、
女みたいな声だぜ、
卑怯者ってなんだよ、
お前みたいな人形に言われたく無いな」
「やれやれ、卑怯者でおバカだったとは、
良く見れば誰が話してる分かるだろ」
そう言いながらサクラは、
太郎の肩からゆっくりと地上に降りて来て、
「なんだコイツ、
ヒューマン族の子供かよ」
サクラは振り返り、
鬼人族達を「キッ」と睨んだが、
相手にしないで、3メートル太郎を4人出して、
「あそこの広い場所に、
エルフさん達を集めて」
突然現れた4人の太郎に、
エイスト達や鬼神族達も驚いていたが、
初めての木の人形の召喚に何も言えずに、
見守っていた。
太郎はエルフをお姫様抱っこすると、
「マスター、フワフワシート」
「あっ、そうだね」そう答えると、
手をかざして大きなフワフワシートをだす。
サクラは太郎達が集めたエルフ達の所に向かい、
1人、1人状態を見ながら、
治癒魔法をかけて行く、
回復したエルフが、サクラの肩を掴んで、
「助けて下さい、
町に残った家族が殺されてしまいます」
エイスト達も治癒魔法をかけているサクラを見て、
安全と判断したのか、
門を開けて町から出て来た。
サクラは助けを求めたエルフに、
「町ってここ?」
エルフは首を左右に振って、
「ここから10キロ離れた小さい町です」
サクラは鬼人族に目を向けて観察する、
肌は濃い緑色で、、
頭に小さいツノが2本生えている、
「アイツらもそこの住民?
なんか種族違うみたいだけど」
「違います、アイツら鬼人族に、
町を乗っ取られてしまったのです」
サクラは鬼人族達を見て、
「なるほどね〜空気が悪いわけだ」
そんなやり取りを見ていた鬼神族達が、
「お前らそんな事言っていいのか?
お前らの妻や子供が死ぬぞ〜」
その言葉にエルフ達が顔を青くしていたが、
サクラが、
「お前らも分かってるの?
そこから出られないって、
金網で囲まれてるんだけど、
おバカは目も悪かったか〜ハハハハ〜」
そんな軽口を吐きながら、
せっせとエルフ達に治癒魔法と浄化魔法もかける、
「内臓も健康体にしたから何か食べた方がいいね」
そう言いながらサクラは空中を指でクルクルすると、
直径50センチ程のポータルが開いて、
「料理太郎君いる?」
料理太郎は穴から顔を出して、
「マスター、ランチですか?」
「違う、違う、エルフさんが20人位かな?
お腹空いてるみたいだから、
何か食べる物いっぱい頂戴」
「マスター、ビックリする物作った、
マスターも食べて」
「おお〜了解、
いっぱいこの穴から出して」
町から出て来たエイストと兵士達は、
さっき迄の緊迫感はなんだったんだろうと思う程、
和やかな雰囲気を感じていた。
他の太郎達は、
サクラにアイテムボックスを開けてもらうと、
せっせと長いテーブルと食器を出して、
ポータルから食べ物を受け取り、
テーブルに並べて行く、
テーブルの上に乗った料理を見て、
サクラが感嘆の声を上げる、
「ええ〜唐揚げだ〜何で、何で油あったっけ?」
ポータルから料理太郎が答える、
「コーンから油作った」
「料理太郎君、まじ、神」
サクラは嬉しそうに唐揚げを1つ口に入れると、
「美味しい〜料理太郎君美味しいよ、
下味は塩だね〜ニンニク無くても美味しい」
「ピーちゃんの肉が臭みが無い、いい肉」
「さすがピーちゃん」と言いながら、
エイストと兵士の視線に気が付き、
サクラは振り向き、
身長がサクラの倍もありそうな大きな中年のエルフ、
歴戦の猛者の様なガッチリ鍛えた体、
サクラはエイストを見上げて、
「おお〜」と一言吐いてから、
エイストに手のひらを向けて、
「え〜っと、どちら様?」そう尋ねた。
エイストは突然尋ねられ、
「いや、私はここの領主エイストと申します。
娘さんはヒューマン族の方ですか?」
「え〜っと、アタシはこの世界の人間では無いです、
おじさんは領主さん?」
エイストは、ますます頭が混乱して、
「はい、領主です、
この世界の人間では無いとは?
どうゆう事でしょう?」
サクラは、
(まじか領主かよ面倒だなぁ〜
役職付きとは関わりたく無い、
誰かに相手させるか)
「ちょっと、待ってて」
サクラはポータルに向かって、
「太郎君、おじいちゃん何処にいる?」
「おじいちゃんはノル達とバスケやってる」
サクラがポータルを覗くと、
ジジイが楽しそうにボールをシュートしていた。
「今すぐジジイを連行して来て」
太郎達は「御意」と返事をすると、
太郎2人でおじいちゃんの両脇を抱えて、
犯人が連行される様な形で、
ポータルまで連れて来られる、
おじいちゃんはポータルに顔を突っ込まれ、
「サクラ、何の用じゃ、
わしだって忙しいんだぞ」
「な〜にが忙しいだ、ボールで遊んでただろ、
この方がアタシについて知りたいそうだ、
ジジイが説明して、
アタシは本当に忙しいから」
そう言ってエイストに向き直って、
「説明はこのジジイに聞いて下さい」
サクラはその場所を離れて、
エルフ達に食事を配る。
エイストはおじいちゃんの顔をマジマジと見て、
「あの… 失礼ですが…地の精霊王様ですか?」
「おお、おぬし、わしを知っているのか?
会った事あるかのぉ〜?
わしは今までエルフに会った事無い様な…」
「いえいえ、会った事はありません、
世界中にある精霊王様達の壁画の顔で覚えていたのです」
「あ〜そんな物があるって聞いたな、
それで、何の用じゃ?」
「あの、あの娘さんはこの世界の者では無いと、
どうゆう事でしょうか?」
説明が面倒になったおじいちゃんは、
「気にするな、この星の住人を助けてるだけだから」
おじいちゃんの説明を、
エイストの後ろで聞いてたサクラは、
「ジジイ、人が忙しくしてるのに、
そんな態度とは…領主のおじさんは、
今の説明で納得してくれたのかな?」
エイストは後ろからの声に驚いて振り向き、
サクラの質問に首を左右に振る、
サクラはエイストの反応を見て、
「ジジイは使え無い、星神にチェンジ」
そう言いながらおじいちゃんの顔を押すが、
ポータルにハマって動かない、
「太郎君そこにいる?」
「マスター、いる」
「ジジイの後ろ10メートル位離れた所で、
ジジイをキャッチして、
後、星神呼んで来て」
エイストはサクラの星神の言葉に、
(嘘だろ、この子、星神って…本物じゃ無いよな)
そんな事を考えていたが、
サクラがおじいちゃんの顔に、
「ドスコ〜イ!」と言っていきなり突っ張りをかました。
その瞬間凄い速さでおじいちゃんがすっ飛ばされて、
後ろで待機していた太郎がキャッチする。
あまりの出来事にエイストは唖然としてたが、
おじいちゃんが気になってポータルを覗くと、
そこは天国か?
と思わせる位の穏やかな世界だった。
飛ばされたおじいちゃんも太郎に寄りかかったまま、
「サクラは相変わらずだの〜」
と言いながら平然としている。
そして太郎に付き添われて向こうから歩いて来る人物を見て、
エイストは感嘆の声を上げる、
「星神様、エトワール様」
星神は声に気がついて、
「おや珍しい、私の名前を知ってる方が」
そう言いながらポータルに近付き、
「ご用件は何でしょうか?」
エイストは直接声をかけられて、
感動で震えてしまい声を発せられないでいると、
後ろからサクラが、
「星神って名前あったんだ、
そのエルフさん、アタシが誰かって知りたいんだって、
星神から上手く説明しといて」
星神に対して気軽な態度のサクラにエイストは驚いていた。
周りにいた兵士達も、星神の名が出て、
エイストの異常な態度にも驚き、
あたふたしていた兵士に、
太郎が近付いて来て。
「お前らも食べろ」そう言って唐揚げの乗った皿を配る。
星神が硬い表情で、
どう説明しようか迷っていたが、
誤魔化しても仕方ないと判断し、
本当の事をエイストに説明する、
一方鬼人族達は、
「お〜い、ヒューマンのガキ、
俺達にも食いもんよこせ」
「そうだぞ、ヒューマンのそれも女だろ?
舐めた態度取ってると、後で後悔するぞ」
「そうだ、そうだ、だいたい変な頭しやがって」
サクラは皿に乗った唐揚げをフォークで刺して、
鬼人族達に見せつけて、大きな口を開けて食べる。
「クソガキが、舐めた真似すんなよ」
サクラは目を細めて、
「お前らさ〜自分達の立場分かってんの?
それとアタシの容姿の事言えないでしょ、
何そのダサい服?胸丸出しじゃん」
「ガキがうるせ〜ヒューマン族の女なんか、
この世界で1番価値が無いんだぞ、
価値があるとしたらデッカイオッパイだけだな、
お前には無理そうだけど〜」
そう言って5人のバカそうな鬼神族が笑う、
サクラはニヤリと笑ってから、
「今の発言…女性を軽視した発言1番ムカつく、
お前らみたいのが痴漢とかになりそうだよな、
アタシの女友達も悩んでいたよ」
「はぁ〜?痴漢てなんだよ」
「女性の体を勝手に触る奴だよ」
「ハハハハ〜本当は喜んでるんだろ?
そんな事しか価値無いもんな」
「そうそうオッパイだけだもんな〜」
サクラはバカな鬼神族を見据えて、
「前々から思ってた事があって、
痴漢野郎にどんなお仕置きをしたら、
反省するかな〜?って考えてたんだ、
やはり、同じ思いをするのが、
1番反省するんじゃ無いかって…思ったのさ、
前の世界では出来なかった事がさ〜
ここでは出来る様になったんだよ」
サクラは、
鬼人族達にニヤリといやらしい笑顔を向けると、
鬼人族達は、
「お前…頭おかしいだろ?
何言ってるか分からない、
オッパイ小ちゃい奴は黙ってろ」
「オッパイ、オッパイってうるさいんだよ、
望み通りにデッカイオッパイつけてやる」
サクラが両手の人差し指を鬼人族達に向けると、
「オッパイビー…違う、違う、
チェンジ、ビーム」
そい叫びながら鬼人族達に光りを当てる、
鬼人族達は眩しい光に驚いていたが、
何も感じ無かったので茫然としていた、
そこにサクラが声をかける、
「お嬢さん、シャツのボタン閉めないと、
大事なオッパイが丸出しですよ、クックック」
サクラに言われて胸元を見る鬼人族達は、
「何じゃこりゃ〜俺、女になってる」
「女だけじゃ無いぞ、
ヒューマン族の女だ、肌が白くなっちまった」
「だいたい何だよこのオッパイ、
デカ過ぎるんだよ」
サクラは鬼人族達の慌てぶりに、
愉快そうに笑うと、
「ア〜ハハハハ、ざま〜みろ、
お前達がバカにしてたヒューマン女子だ、
オッパイはアニメやゲームに出て来る、
あり得ないデカさにしてやったよ〜
あ〜愉快、愉快、
オッパイなんかデカいと色々な不自由な事があるんだよ、
走ると痛いらしいし、
まぁ、その体で反省しながら生きていくんだな」
鬼人族達はお互いがヒューマン女子になった事を、
確認しながら、
「ちょっと待ってくれ、
これは魔法なのか?
元に戻す事は出来るのか?」
サクラは「フンッ」と鼻を鳴らすと、
「それはね交換魔法ってやつさ、
元に戻せるけど戻さ無いよ〜」
鬼人族は全部で30人いたが、
その中でもおバカな5人がサクラに絡んでいたが、
他の25人は、悪い事はしてたが、
頭はそんなに悪く無い、
ヒューマン女子になった事で、
これからどんな生活が待っているか、
想像しただけで顔は青くなり冷や汗を流し始める、
一方おバカな鬼人5人は、
「マジもんのオッパイだぜ」
「俺の方が形良くね?」
「そんな事ね〜だろ、俺のがいいぞ」
そんな会話をしている、
サクラは、
「あんた達…本物のオッパイ見た事ないでしょ?」
「あ〜バカにするな…見た事あるに決まってるだろ」
「パーツが1つ付いて無いけど…
まっいいか、それよりも、不安じゃ無いの?
あ〜バカだからこれからの事、想像つかないんだね、
他の仲間は焦ってるけど、
例えば〜あんた達のカシラの所へ戻したら…
どんな扱いされるのかしら?」
アホ5人はポカン顔、
サクラは呆れて相手にするのをやめたが、
他の25人鬼人族は、
「ちょっとお嬢ちゃん話を聞いてくれ、
俺達だって、好きでこんな事してた訳じゃないんだ、
子供の頃に親亡くしちゃった俺達を、
引き取ってくれたのがカシラなんだ、
でも、いい思いなんか何も無かった、
ただこき使われて、
飯もろくに食べさせてもらって無かった、
文字も計算も出来ない俺達は、
カシラの命令に逆らえ無かったんだ、
だから、体を戻してくれ」
サクラは首を左右に振って、
「やれやれ」と言うと、
「何を想像してたのか知らないけど、
まずカシラとか言う人の所に君達を帰さない、
次にカシラも捕まえに行くに決まってるじゃん、
君達の今後は更生施設で生活してもらう」
「コウセイシセツって何だよ、バカ、
俺らがそんな所に行く訳無いだろ」
アホ5人が叫ぶ、
サクラはアホ5人の向き直り、
「バカはお前らだよ、バ〜カ、バ〜カ!」
まともな鬼人が、
「お前らはちょっと黙ってろ、
コウセイシセツって何だよ?
どこの国にあるんだよ?」
「どこの国て…
アタシがこれから作るから…
作るとしたらホーリーマウントの麓かな」
ホーリーマウントの名前にみんな凍り付く、
アホ5人も冷や汗を流して「ホーリーマウントだと…」
「ホーリーマウントがアタシの拠点だから、
そこになる訳さ、
食べ物はたくさんある、
人間らしい生活も送れる、
読み書き計算くらいは教えられる、
今までの事反省しながら、
みんなの為に野菜でも作ってもらうわ」
周りで聞いていた兵士達が、
「そんなのは甘いと思います。
我らの仲間を見て下さい、
もっと重い罪を与えないと」
サクラは真面目な兵士を見て、
「殺せばいいの?
生憎だけど、アタシは命を救えって言われてる、
だから誰も殺さないよ」
星神からサクラがこの星に、
呼ばれた理由を聞かされたエイストは、
まさか全能神様の名前が出て来て驚き、
振り返りサクラを見ると、
サクラは鬼人族に向かって、
「バ〜カ、バ〜カ」叫んでた。
エイストは顔が引きつっていたが、
更生施設の話が出て来て驚き、
兵士の反論も最もだと理解はしている、
サクラがこの先どう話をまとめるのか、
黙って見守っていた。
サクラは、
「じゃあ、情報収集しようかな、
まず、その小さな村で起きた事教えて」
それには保護されたエルフが説明をした。
鬼人族のダガルって奴が連れて来た兵士達に、
突然襲われた事、ルポルの領主バルを人質に取られた事、
ルポルの町の兵士を奴隷の様に使っている事、
鬼人族の兵士達もダガルのやり方に反発して、
500人居た兵士が300人が国に帰って行った事、
後から来たオルドって男が、
鬼人族の残った兵士の家族を連れて来た事、
「出来事はこんな感じです。
詳しい事は私達も知りませんが、
そこの鬼人達も、
オルドって奴とその手下3人に、
酷い扱いをされてたのは事実です、
ここに連れて来られましたが、
それをしないと食事も貰えない酷い扱いでしたよ」
サクラはウンウンと頷いて、
「鬼人族の方は他に何か知らない?」
鬼人族のリーダーをやってた男が、
「俺はコイツらをまとめる様に言われてるアルダンだ、
俺達はカシラのオルドに引き取られた時から一緒で、
とにかく命令に従わないと、何されるか分からない、
最初は34人居たが、4人は怪我が原因で死んでしまった。
そんな事があって…怖くて逆らえ無かった。
ただの言い訳だけどな…
俺が知ってる事は、
ダガルって奴は元貴族で、
何かやらかして貴族藉の剥奪?ってのにあって、
それを知らない私兵達を動かしてルポルの町を襲ったらしい、
その後、貴族藉の剥奪の事を知った兵士は半分以上国に帰った。
ダガルも酷い男で鬼人の兵士も反発したんだ、
逃げた兵士はいいけど、
行く場所のない兵士は残って、
俺達がそいつらの家族連れて来たんだけど…
連れて来たんじゃ無いな、無理矢理連れて来た。
鬼人の兵士を使いやすくする為にって言ってた。
俺が知ってるのはその位だ、
ここの町の領主がルポルの町を攻めてくれないかと、
今日はそんな願いもあったんだ…」
その場が静まり返る、
ポータルでは星神が泣いていた。
サクラは星神の顔を見て呆れて居たが、
物申して来た兵士に、
「今の話を聞いて、兵士さんはどうしたい?」
兵士は俯いて声を絞り出す様に、
「鬼人が嘘を言ってる事も視野に入れないと」
「そっか、ま〜アタシの好きな様にやらせてもらうわ、
この鬼人族…今はヒューマン女子はアタシが連れて行く、
そこのエルフさんは本人の希望を聞きたい」
「私達は家族と一緒に前の様に、
ルポルの町で過ごしたいです。
どうか領主様を助けてください、
ルポルのみんなを助けてください」
「よし、今やる事はわかった、
ルポルの町に行って、
エルフをみんな助けて、
悪い奴ら捕まえて、
問題は鬼人族の兵士達だね、
じゃあ、行って来るわ」
そこに太郎が
「マスター待って、
ポータル閉めて、アイテムボックスも閉めて」
「そうだった…
えっとそこの領主さん、
食料は要らない?
肉と野菜と果物渡せるけど」
エイストは突然話を振られて、
「えっ?あっ…頂けるのですか?」
「うん、好きなだけ持って行っていいよ、
アイテムボックスにいっぱい入ってる、
太郎君大きいリヤカーに乗せてあげて、
それが終わったらアイテムボックス閉じるから」
「マスター待って、雨が降ったら、
コイツら濡れる」
「え〜そこで待ってる?
この町に入れて貰えない?」
「私達はここで待ってたいです」
サクラは「そっか」と言いながら、
エルフ達の所に行って、
大きい犬小屋を出す。
「取り敢えずここに入ってて、
太郎君達はモンスター倒してよ、
鬼人達の方も屋根をつけるか」
サクラは鬼人が入ってる金網フェンスの上に屋根を置くと、
「じゃあ行って来る、
多分暗くなる前には戻れるかな?」
領主エイストは黙って成り行きを見てたが、
「いや、ちょっとお待ちを、
1人でルポルに攻め込むつもりですか?」
「攻め込むなんて〜大袈裟な、
悪い奴捕まえて、困ってる人の救助、
それだけだけど」
エイストはのほほんと答えるサクラに、
「さすがに1人では危ないです、
我々も協力しましょう」
「え〜無理!アタシ人見知り設定だから、
それに1人じゃ無い、太郎君いくらでも召喚出来る」
エイストはサクラの話に首を傾げながら、
「でも…」と何か言いたげだった話の腰を折って、
「大丈夫だから、
アタシは死なないらしいし、
おじさんはこの町に必要な人でしょ、
食べ物受け取って、
町民にちゃんと配る仕事があるよ、
んっじゃあ〜行ってきます〜」
そう宣言すると、
ルポルの町に向かって超高速で走るサクラ、
あまりの速さに一同一時停止状態だったが、
太郎がポツリと、
「マスター…ポータル開けたまま…」
そう呟くのであった。
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