消えない気持ち
「よ」
純は壁にもたれたまま、片手を軽く上げる
俺は足を止めた。
「……なんだ、まだ休んでなかったのか」
「休んでたよ。ここでな」
「それ休憩って言うのか?」
俺が呆れると、純は脇腹をかばいながら小さく笑った。
「滝にずっと小言食らうよりマシだろ」
「ん? その様子…まだ脇腹痛えのか?」
「陽仁、それを言うなって」
俺は純の横へ近づき、脇腹をかばう仕草を見る
「医者見習いが自分の身体雑に扱ってどうすんだ」
「ぐっ……」
「はは、図星か?」
「滝を信じてるからな」
純は真面目な顔をして
「絶対、どんな敵も あいつが倒してくれる 俺はそう思ってる」
「……倒せなかったら?」
「そん時は、俺らがいる」
「俺ら?」
「ああ」
純は脇腹を押さえたまま、それでも笑わなかった
「滝が一人で全部倒す必要なんかねえだろ」
俺は黙って聞く
「俺が前に出る。智嬉が止める。お前が周りを見る。それでも足りなきゃ、司令官もいる」
「……!! 純は…よっぽどわかってるんだな」
「長い付き合いだからさ 陽仁は仕方ねえよ 途中参加だから 滝のことも、まだ分からないことばかりだろ、 敵側についてちゃ」
俺は暗殺者側だったことを思い出し、体が勝手に純に刃を向ける
「…殺るなら受けて立つぜ?」
純も目がその気だった
「お前、やっぱりまだ暗殺者が抜けてねえだろ」
俺は三節棍を純に向ける
「仲間を殺す度胸じゃなきゃ、暗殺者なんてやってられないんだ!!」
「はは、大した度胸だなあ?」
俺は三節棍の先を純へ向けたまま、一歩踏み込む
「笑ってられるのも今のうちだぞ」
「言うじゃねえか」
純の目が鋭くなる
さっきまで壁にもたれていた男とは思えないほど、空気が変わった
「やれるならやってみな」
純は後ろに目を逸らすと
やはり、敵が隠れていた
俺は目を丸くして
「純!!早く逃げろ!!」
「遅えよ!」
純は脇腹の痛みをこらえながら、俺の腕を掴んで横へ引く
攻撃が二人のすぐ横を抜け、壁へ突き刺さった
「くっ……!」
「純! 無茶すんな!」
「今それ言ってる場合か!」
俺はすぐに三節棍を構え直す
「けが人なんだから無茶すんな!! 純は早く
通信機で滝たちを呼んでくれ!」
ジャスティンは余裕の笑みで現れた
「ふ、はは…笑わせてくれる」
「お前がジャスティンだな!?」
「ほう……私の名まで知っているとはな」
純はすぐに通信機へ手を伸ばす
「滝! 智嬉! 聞こえるか! 本拠地内部に敵だ! ジャスティンが入り込んでやがる!」
ジャスティンは止めようともせず、余裕の表情で純を眺める
「呼べばいい」
「……何?」
「蒼山滝も、根口智嬉も呼べ」
その言い方に、俺は嫌な予感を覚えた
純はなぜかしたり顔
「へっへっへっ…あの二人だと思ったか?ここは戦闘員はいくらでもいるんだよ!」
すると、遅れ気味にきた司令官
「純、無茶な要求だな! 地下訓練室は間に合わん!」
情報支部にいたみづきも現れた
「小さい力ながら、私も加勢します!」
俺は三節棍を構えたまま、ちらりと純を見る
「お前、最初からこれ狙ってたのか?」
「まさか、半分ハッタリだ」
「半分かよ!」
ジャスティンは目の前に集まった俺たちを見渡す
「なるほど……」
「何がおかしい」
司令官はジャスティンを睨む
ジャスティンは薄く笑った
「荒井純、お前は面白い男だ」
司令官も、含み笑いをし
「そうだな、戦闘員は滝たちではない」
司令官は両手を構え
「仲間を負傷させた罪、払わせてもらおう!!」
ジャスティンは周囲を見渡す
既に俺たちはジャスティンを囲んだ
「こざかしい!」
ジャスティンは衝撃波を放つ
次の瞬間
青いオーラが一気に膨れ上がった
「全員伏せろ!!」
ドンッ!!
強烈な衝撃波が廊下いっぱいに広がる
「きゃあっ!」
みづきが吹き飛ばされそうになり、壁へ手をつく
「危ない!」
俺はスライディングしたが、みづきには間に合わなかった
俺はすぐにみづきのそばへ滑り込んだ
「大丈夫か!?」
「え、ええ……ちょっと背中打っただけよ」
みづきは顔をしかめながらも、自分で身体を起こそうとする
「ジャスティン!女にも容赦ねえなんて!!」
俺は再び武器を構えた
「ふん、甘いな」
「"三節斬"!!」
俺は目にも止まらぬ速さで三節棍を振り回し、ジャスティンを薙ぎ払う
俺は、能力で衝撃波を出そうとしたところで
ジャスティンはテレポートした
「待て!!」
司令官は俺を止めた
「私たちは待機だ 今は滝と智嬉がアジトへ追っている」




