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殺しから仲間へ

「俺と同じ、青いオーラの……」

司令官は椅子に深く腰掛けたまま、指を組む

「蒼き闇 ジャスティン

外周警戒線の外で、転移反応と痕跡を確認している」

「戦うタイプというより、情報収集が得意なんですか?」

司令官は小さくうなずいて、

「そう見ている。力だけで押す敵ではない」

滝は俯く

「ヴェイクもそうだった それじゃあ、純は不利です」

「……荒井蹴りか?」

滝は頭を抱え

「能力心臓部は狭かったですが、あの状況で飛び蹴りするなんて! しかも、 純は背が高いんですよ!?」

司令官は苦笑する

「たまにあいつは無茶をするな だが、そこがあいつのいいところだ」

滝は困ったような顔を上げる

「良くないですよ!天井まであと少しでしたし、着地を失敗したら頭を打ってました」

「それでも飛んだのは、仲間を助ける必要があると判断したからだろう」

司令官の声は落ち着き、

「荒井は自分の危険より、目の前の仲間を優先する男だ 」

滝は純との先程の戦い方を思い返し

"滝!俺が飛び蹴りする!!"

"純!!"

"能力心臓部はむやみに能力を使ったら誤って作動するだろうが!! "

"だから能力じゃねえ!!"

あの一言と同時に、純は大きく踏み込み、狭い能力心臓部の中で思い切り跳び上がった

滝は我に返って

「俺には、そんな思い切りがありません」

「……そうか?」

滝は苦笑する

「俺なら、まず危険を考えます。能力心臓部が暴走したらどうするか、みんなを巻き込まないかって……」

「今回の敵は 素早さでつけ込むぞ」

「てことは、俺みたいに悩んで対抗すると」

すると、手当が終わった純が司令官室に入ってきた

「いやー、滝、心配かけたな」

「純!大丈夫か?」

純は軽く脇腹を押さえながら笑う

「痛ぇけど、生きてる生きてる 陽仁が湿布貼ってくれたしな」

司令官は腕を組み、二人を見比べた

「今、お前の話をしていたところだ」

「俺?」

滝は苦笑しながら頷く

「司令官が、『純は自分の危険より仲間を優先する男だ』って」

「へっ、そんなの、今に始まったことじゃありませんよ 司令官。 無茶しなきゃ助からねえ場面もありますからね」

滝はすかさず口を挟む

「だからって能力心臓部で飛び蹴りはないだろ!あれ、あと少しで天井だったんだぞ! もしぶつかっていたら…!」

純は冷静に考え

「脳震盪レベルだな」

「だから気をつけろって!」

「頭打ったら脳震盪、首ならもっと危ねえ。医者見習いとしては、そのくらいは分かる」

滝は頭を抱えた

「分かってるなら避けてくれ!ヒヤヒヤするんだよ!」

純は少し申し訳なさそうに、

「悪ぃ悪ぃ。でも、あの時は考えてる暇がなかった お前が止めようとしてるのも見えてた。でも、あそこで誰かが行かなきゃ終わらねえと思ったんだ」

「純…」

「まあ、脇腹はつっちまったけどな いててって情けねぇ声まで出しちまったし」

滝は苦笑しながらも、小さくため息をつき、

「そこじゃないんだよ……」

とぼやく

俺が落ち着いたか?とそろりそろり、司令官室に入る

「失礼します、 司令官、純の手当終わりました」

「陽仁か。ご苦労 相変わらず純の口は饒舌だ」

「はは、良かったですよ」

「純、滝 少し休憩したまえ」

司令官は2人を離した

「はい、 ほら行こうぜ、純」

「ああ」

純は、俺の考えてる顔を見逃さなかった

扉が閉まると、俺は司令官に話す

「司令官、先程の戦い、なるべく能力心臓部に影響が出ないよう、配慮したつもりです」

「能力の出力も必要最低限に抑えました。衝撃も壁や床へ逃がすように調整して……能力心臓部へ負荷が集中しないよう戦ったつもりです」

司令官は腕を組み、俺の言葉を最後まで聞いていた

「結果として、能力心臓部に大きな異常は出ていない」

その一言に、俺はホッとする

「良かった……」

だが司令官は

「しかし、陽仁一人の配慮だけでは限界がある」

司令官は腕を組む

「三人が別々に最善を尽くしても、それだけでは足りん」

「連携、ですか」

「そうだ。能力心臓部のような特殊な場所では、誰か一人が気を配るのではない。全員が同じ認識を持たねばならん」

俺は今まで、ただ一人で任務を遂行してきた

滝を暗殺するのにも、一人で考えてきた

それが、今になって人の事を考えながら戦わなきゃならないなんて

俺は司令官に聞いてみる

「司令官、 俺は滝を殺すにも、一人で作戦を練って行動していました 俺に…仲間に気配れるんでしょうか」

「既に気を配っているではないか」

俺は思わず顔を上げる

「え……」

「能力心臓部への影響を考え、荒井の負傷を手当てし、蒼山たちの状態を見ながら帰還を判断した」

司令官は淡々と話す

「それを仲間への配慮と呼ばず、何と呼ぶ」

俺はなにかに気づいたように、なにも言わず司令官室から去った

司令官は小さく笑い

「……暗殺者が仲間を助ける やはり、陽仁も人間なのだよ」

俺が角を曲がろうとしたところで

壁にもたれていた純と目が合った

「よ」

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