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ダガントの思案

「うお、でけえ滝来た」

「違います!!」

ダガントが即座に否定した

「私はダガントです!!“でけえ滝”ではありません!!」

「でも髪型ほぼ滝だぞ」

「タルナ様! 私と何年の付き合いですか…っ」

ダガントはぐぬぬと顔を赤くする

「私は!!滝とは別人として認識されたいのです!!」

「でも髪型――」

「これは私が影武者だからです! 同じく見えないと意味がないでしょう!」

「そこまで寄せる必要あったか?」

「必要ありました!!ヴェイク側の監視を欺くためです!!」

「いやもう、“滝です”って名札つけてるレベルだぞ」

「そんなもの付けてません!! …ですが、それぐらい似てるのならば私としては上出来です」

「任務成功率が高いという意味です!!」

タルナはニヤニヤしながらダガントの周りをぐるっと歩く

「いやでもマジで似せすぎだろ。後ろ姿なら本拠地の連中、半分騙されるぞ」

「半分では困ります。八割は欲しいです」

ロダ様は咳払いをして、

「で? ダガント お前の作戦は?」

「はい」

先ほどまでの勢いとは違う。今度は、本気の戦士の目だった

「ヴェイク側は現在、“滝が精神的に孤立しかけている”と認識しています。ならば私は、その認識を逆利用します」

「ほう?」

貴明の生まれ変わり、トヴァースは肩をぴくっとする

「精神的に孤立… だと? それは、心配だな」

トヴァースは静かに呟く

「滝は昔から、“大丈夫なふり”が上手すぎる」

ダガントが真剣な顔で頷いた

「はい。だから周囲が気づいた時には、限界寸前ということも多いです」

「……あいつらしいな」

ジュン・タルナが頭を掻く

「弱音吐く前に、“自分で何とかしよう”に入っちまう」

「今回はそこを付け込まれたという事か」

トヴァースは吐き捨てる

ジュン・タルナが舌打ちする

「チッ……ヴェイクの野郎、性格悪すぎんだろ」

「悪意に特化している」

トヴァースは即答した

「力で押し潰す敵ではない。“お前は独りだ”と囁き続け、相手が自壊するのを待つタイプだ… まあ、ケースとしては、カルテー二と似たようなタイプだな」

ダガントは怪訝そうな顔をする

「私はいつものように、アジトへ侵入しようと思いましたが…」

ジュン・タルナが嫌な顔をする

「お前の“いつもの”は、大体無茶なんだよ」

「無茶ではありません。私は潜入任務も得意です」

「その髪型で?」

「そこを利用するのです!! 見ていてください!タルナ様!!」

ダガントはポニーテールを結び直し、着ていた戦闘服のコートを脱ぎ捨てると… 傍から見れば、背の高い滝そのもの

青いタンクトップに、白いパンツ

長い黒髪のポニーテール

ロダ様が吹き出しかけて咳払いで誤魔化す

「……ゴホン。た、確かに似ているな」

トヴァースは無言だった。

トモキ・キャドス…智嬉の生まれ変わりはトヴァースをつんつん

「トヴァース??」

「すまない、 いやあ、見事だな 前の戦いでは、まじまじと見ることはなかったが それが君のスタイルか」

ダガントは、背筋を伸ばした

「はい!」

ポニーテールが、さらりと揺れる

「潜入・攪乱任務用の軽装です!

滝を追跡する敵は、“髪”と“気配”で判別する傾向があります。ならば、まず視覚認識を誤認させるべきかと!」

キャドスが腕を組む

「なるほどなぁ……確かに遠目だと普通に滝だ」

タルナが頷きまくる。

「しかも背ぇ高いから、“なんか今日は威圧感ある滝だな”で通りそうなんだよ」

「威圧感ある滝とは何ですか!!」

本拠地で司令官室のモニターでたまたま見ていた純が吹き出す

「っははは! めっちゃ似てるな!!あれならアジトに引っかかりそうだぜ!」

画面の向こうで、ダガントがぴくっと反応する

「純様!!笑わないでください!! 私は真剣です!!」

純は机をばんばん叩きながら笑っている

「いやだってよ!!後ろ姿、“滝がでかくなりました版”すぎんだろ!!」

「だから違いますって!!」

モニター越しの滝が、ぐったりしながら呟く

『…それで侵入して、ダガントが敵と一騎打ちするのか?』

ダガントは少し悔しそうに拳を握る

「ですが、誰かが前へ出なければ……」

滝が小さく話す

『……ダガント』

「はい」

『お前、“俺の代わり”やろうとしてるだろ』

ダガントは不意を突かれ、動きが止まった

「…滝様?」

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