異界からの協力
司令官室…滝が一歩前へ出る
「司令官……やつは……精神攻撃です!!」
その声は、いつもの冷静さを保ちながらも、
明確に“警戒レベルが違う”と伝えていた
司令官は椅子に腰掛けたまま話す
「……詳細を報告しろ」
智嬉は一瞬だけ滝を見た。
滝はまだ少し呼吸が荒い
それを確認してから、智嬉は続けた
「ヴェイクは、直接的な攻撃よりも先に――
記憶に干渉してきました。幻影呪縛の変化形と名乗っています」
純が横から口を挟む
「見た感じ、無理やりトラウマ引っ張り出してる系だな。あれ長時間食らったらヤバいぞ」
司令官はモニターで仲間たちとヴェイクの録画記録を確認
「なるほど…敵側もさらにパワーアップしているな」
「司令官、正直、俺たちの力…限界なんですか?」
滝は自信なさそうに聞く
「滝?」
純は首を傾げる
「智嬉も、1回で倒せないし バリアはできたけど、結局逃して、 俺は掠っただけ…」
俺はにや、と笑う
「そのための、俺たちの仲間だろ?」
後ろに待機していた俺の仲間たち
木乃原しぐれ
男勝りで、勝気な性格、オレンジの長い髪、緑のスカートが特徴の奈良月翔
「あたしを呼んだ? 陽仁」
「滝さん、あなたたちは一時休戦も大事ですよ」
「陽仁チーム!?」
「復活したのか!!」
純と智嬉は後ろを振り向いて驚く
翔は肩をすくめる
「今のまま突っ込んでも、ヴェイクの思う壺だ。
あいつ、“心を崩す”のが目的っぽいしな」
「俺を…助けてくれるのか?」
滝は翔としぐれを驚いて見ている
司令官は静かに頷く
「予定より早い合流だが、問題ない。
むしろ好都合だ」
純が腕を組みながらニヤッとする
「これで戦力は一気に増えたな」
「陽仁、サンキュ」
智嬉は俺に向かって笑顔で礼を言った
司令官は静かに手を上げた
「まずは――陽仁チーム。
別室で作戦会議を始める」
しぐれがすぐに頷く
「了解」
翔も軽く手を振る
「任せとけ」
俺は三節棍を肩に担ぎながら振り返る
「滝、ちゃんと休めよ。無理すんな」
純が手をひらひら
「あとでな」
智嬉は立ち止まり、滝の顔に異変を感じた
(…またなにか、考えてる)
滝1人、司令官室で俯く
ヴェイクの声。
頭に流れ込んできた“記憶”
(……また来たら)
「……俺が、ちゃんとしないと……」
滝はソファで座っていると…
でも――その時
「“ちゃんとする”って、何をだ?」
視線の先
つけっぱなしのモニター
そこに映っていたのは、イースト・フロンティアからの通信
ロダ・クニドス様
イーストフロンティアの国王であり、戦闘員をまとめる者
滝は一瞬で青ざめる
「す、すいません!司令官が消すの忘れてたみたいで!け、消します!!」
『待て』
滝の手が止まる
ロダは画面越しに、じっと滝を見据えていた
逃げ場のない視線
『今の言葉、聞こえていた』
「えっ」
『滝よ、なにをそんなに考えていた 滝、お前はリーダーだ 仲間たちが考え、それぞれ立ち上がれるのを信じなさい』
滝はゆっくりと顔を上げる
「……はい」
『久しぶりにそなたの顔を見た 元気そうで何よりだ』
滝は深々と頭を下げる
「お褒めに預かり、光栄でございます」
『我がイーストフロンティアも、できるだけ、
ヴェイク戦に協力する』
「……本当、ですか?」
ロダは続ける。
『既にこちらでも、ヴェイクの術式は解析を進めている。
精神干渉系、“幻影呪縛”の応用と見て間違いない』
モニターの奥で、いくつかの資料が展開される
智嬉は司令官室の扉をノックした
「は、はい!」
滝は開けると、智嬉を見て気まずそうな顔をした
「ふーん、ロダ様じゃん」
「俺も知らなかったんだよ、司令官が、つけっぱなしのモニターにしてたみたいだ」
「当たり前だろ、イーストフロンティアのリーダーだぞ?司令官は 」
だが智嬉はすぐに話を切り替えた
「で?」
指でモニターを指す
「なんか有益な情報、もらえたのか?」
滝は智嬉をすぐ傍のモニターへ案内した
『おお、智嬉!久しぶりではないか!』
「ロダ様! お久しぶりです」
『そなたにも、話しておくか…』
滝と智嬉は少し、緊張していた




