覚えたスキル
「はぁ……そういう事か。盗賊ギルドで覚えたスキルだな。【盗み聞き】を使ったんだろ!!」
「……そうです。必要な時が出てくると思って……この時がそうだった」
「わけがあるか!! 覚えないと駄目なスキルは他にあっただろ。【危険察知】とかさ。【気配遮断】は……後でいい」
【盗み聞き】を習得した以上、【気配遮断】も覚えたら、何処で会話を盗聴されているか怖くなる。秘密を持ってる者からしたら、最悪になるからな。
「無闇にそのスキルは使うなよ。勿論、俺に対してもだからな」
ここは【盗み聞き】を禁止にしておく。俺が【道化師】だという事がバレかねない。
「君は確か……そういう事。貴方も隅に置けないわね」
【妖艶】は急いでると商人には言ったものの、足を止めて、俺の方をニヤリと見てくるんだが。彼女が勇者だと分かったんだろう。
ネスティスの異界攻略は全国で流されている。俺や【黒猫】とパーティーを組んだ時とは別だ。彼女がソロでレベル1の異界攻略時になる。
【妖艶】もその時には本部とも繋がりがあり、映像は見ているはずだ。
「……何ですか? 貴女こそ師匠……ゼロストさんとどんな関係なんです!!」
ネスティスは敵視するように【妖艶】を見る。所長の時もそうだったが、ギルド関連では人見知りしないという話をチラホラ聞くのに、俺関連になるとこんな態度を相手に取る時がある。
「どういう関係って……」
どう考えても仕事関係だろ。一応、アキテール支部の制服を着てるし、【妖艶】も仕事着なわけで……
「それを知りたいのなら、ついて来ればいいわ。二人共、【鑑定】の途中になるけど、借りていいからしら? 勿論、悪い事はさせないから。そんな事すれば、彼が許さないだけで済まないでしょ」
「はっ!!」
商人やネスティスよりも先に反応してしまった。
隠れて勇者を確認するのも意味が無くなったわけだが、つれて行くのは駄目だろ。
【妖艶】は『悪い事はさせないから』と言っただけで、何かを頼む事はしそうな気がする。
「私は構いませんよ。貴女に紹介するつもりだったので」
「俺も良いけど、まさか……だったな。途中だけど、仕方がない」
ネスティスと一緒にいた商人は当たり前として、もう一人の商人も彼女が勇者だと気付いたようだ。
勇者だと言葉にすれば、周囲の人間も気付しまうからだ。
【妖艶】が移動する時点で、注目されているわけだが、余計にヤバくなる。今は俺や【妖艶】が勇者の壁になってるから、バレてないだけ。




