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許可証

「……祭前なのに、面倒な事が起きてそうだな。もしかして、勇者と手を結びたいのも関係してるのか?」


「少しだけね。こういう時ぐらいはちゃんと協力して欲しいんだけど? 組織が大きくなると……全部を見るのも難しくなるから。年配の商会は若い私が組合のマスターになって、地位を奪おうとしてる奴も……ね」


【妖艶】の部下は組合所がある場所まで走り、俺と【妖艶】はゆっくりと進んでいく。


 逃げた商人は追わないのも、他の商会の動きを見るためか。加えて、部下と同じ方向ではなく、遠回りするのも、それが理由なのか。他に問題が起きてないから、マスター本人が見回りするためか。


「……なるほどな。まぁ……俺も気になったら、そこは協力はするか。勿論、結果次第で報酬は欲しいけど。すでに巻き込むつもりでいるだろ?」


 というのも、俺は【妖艶】にだけ聞こえるぐらいの小さな声で返答しているんだが、彼女は声を大きくしていた。


 彼女を敵視している商人がいる可能性を考慮して、わざと聴こえるように言ったわけだ。


 つまり、あの内容に嘘も含まれている……と俺は思ってる。


「仕事面で勘が良いというか、気が回るのは助かるわ。そういうのがないと、あの人達に一緒にやっていけないだろうし」


【妖艶】も俺の心を読んだみたいに、何の協力なのかを理解したみたいだ。


『あの人達』というのは【無法者】メンバーの事だろう。というか、俺の知る女性陣が癖のある奴等が多いのもある。ネスティスやフレアも然り。


「女性運が良いのか、悪いのか……露店は入口だけじゃないんだな。隙間があればやるとか……アレは流石に迷惑だろ」


 組合所まで遠回りしているわけだが、露店はキテールの入口付近だけじゃなく、点々と開かれている。


 路地裏もそうだが、通行の道々に。普通の店前にもある。キテールが商人の集まる街だが、祭前でこれは凄い。


 祭が始まれば、人々でごった返しになるぞ。


「許可証はちゃんとしていれば発行するけど、場所まではね。偽物の許可証も出ているから、余計によ。馬車が通れない程になるのは禁止してるし、露骨に店前に露店を広げるのも」


 丁度、店の商人と露店のハンターが揉み合いになってる現場がある。


「ここに置かれるのは迷惑なんだよ。路地裏に行けよ」


「見てもらうためには目立たないと駄目なんだよ。ちゃんと許可証も持ってるぞ」


 露店の商人は店側に許可証を見せている。


【妖艶】も先程とは違って、止める事はしない。許可証は本物だという事ともあるが……


「許可証を発行するけど、契約書をちゃんと読まない奴もいるから。それも部下達には判断して欲しいところよ」


「ちゃんと見ろ!! 本来ある店の迷惑行為は禁止。店の許可があればってな!! その場合も何割かは俺の店に金を払わないと駄目だと書いてるぞ」


 キテールの商人達も許可証の内容は当然知っていて、対策と商人組合はしているわけだ。


「そんなの読まない……って、何だ……」


 しかも、目立つだからこそ、ハンターも力で訴える事は出来ない。した場合は……他の店が助けに来るようだ。


「ここがちゃんとした店の区画だから、出来る事ね。ここの商会は問題なしよ」


 キテールの街は幾つかの商会があり、区画事に決まっているようで、他店というより、系列店というわけだ。

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