キテール
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「おお!! 凄いな。祭前なのに人の多さ。当然のように露店もある。昔来た時とは活気が違うぞ」
「当然ね。アキテール国随一の街にしたから。商売をするならキテール。今は娯楽施設も見当中よ」
キテールに到着。最初に目にしたのは人の多さと、店の多さ。
すぐに露店商達が座り、キテールに来る人々に声を掛ける。飲食系もあれば、怪しい道具を売ってる者も。
年齢も幅広く、ハンターもいて、商人以外でも物を売ってるようだ。
バッド組合メンバーが商売用のテント、屋台が作っている姿も見える。あれは祭のために来る商人達用だろう。
「露店販売も許可証さえあれば、誰でも。部下が作っている屋台は予約した商人。場所取りは必要だからね……けど」
【妖艶】は俺が屋台を見ている事に気付き、補足してくれる。
「貴方は許可証を偽造してるわね。残念だけど、退去して貰うわ」
露店一つ一つには許可証が貼られているんだが、偽造されているのがあったらしい。
それを一目見ただけで、【妖艶】は見破った。簡単には見破られない程に似ている。
「あっ!! 何を根拠に言いやがる。俺は名の知れた商人だぞ。これも商人組合のマスターから貰った物だ。女には分からないだろうが」
商人は喧嘩腰に【妖艶】に近寄る。彼女がマスターと知らない時点で、嘘だと分かる。
「……よく見たら美人だな。売り子として、雇ってやる事も……うごっ!!」
【妖艶】は【誘惑】のスキルを使わず、商人の顔面にパンチを入れた。
「誰にも言ってるかわかってる? 貴方がいう組合のマスターに言ってるんだけど!! 誰から許可証を手に入れたのかしら」
その後の圧も凄い。彼女の言葉によって、商人は反撃もしないどころか、商品を置いたままで逃げる事を選んだ。
「組合員達!! あの商人を捕らえなさい。屋台を建てるの大切だけど、他にも目をやりなさい。こういう時にあくどい奴等が出てくるんだから」
【妖艶】は近くにいる組合のメンバー達に喝を入れた。
「マスター!! すみません。すぐに人数を増やして、対処します」
「屋台は使用する商人にも手伝わせたらいいから。どの商会の人間達が捜索に協力してるかも見ておいて」
「分かりました」
「走りなさい。私も組合所に行くけど、戻ってきてる事は言わなくていいわ。来るのも待たなくてもいいから。結果は私の商会で聞くわ」
彼女が今話しているのは、商人組合というよりも、バッド商会の一員。【妖艶】の直接の部下なのかもしれない。
【妖艶】はゴイゼン所長のために商人組合のマスターになったらしいが、内部では色々とありそうだ。




