苦手な相手
「【影】!? ジェフじゃないの!! アイツが協会の支部長に……納得だわ。貴方が手を貸すのも頷ける。メンバー以外で、まともに相手してたのってジェフぐらいじゃないの?」
「そんな事は……ないと思うぞ。俺の中ではメンバー以外で一番付き合いが長いと思うけどな」
【無法者】メンバーと行動を共にする物好きな奴は限られている。ソロで行動時となれば別かもしれないが、俺の中では【影】、所長が一番だろうな。
そうじゃなかったら、イズン支部の臨時職員にさせて貰えなかったと思う。利害の一致の面も勿論ある。
「私はアイツが苦手だったけどね。盗賊のくせに真面目で曲がった事が嫌い。その相方も目の敵みたいに見てくるし」
所長の相方……右腕の【黒猫】の事だな。確かに相性は悪そうだ。所長も【妖艶】みたいなタイプは苦手な気がする。
「カサンドラはその相方が調べる事になってる。あちらも本部は警戒してるかは分からないが……」
そこは美人秘書じゃなく、【黒猫】呼びで言いだろう。多分、間違ってはないはず。相方を向かわせる程、重要な場所だと【妖艶】も思うだろう。
ただ、アキテール行きの警戒網に【十字軍】がいたのが気になる。それだけで優先度が変動する。
カサンドラ行きの方が【十字軍】の数が多ければ別だが。
「ふ〜ん……私ならハンターの証を奪ったなら、売るなんて事はしないけどね? 契約を結んだ相手の元に戻ったら話にもならないでしょ。研究素材として使うわ」
「……だな。【殺戮】や【死天使】なら、そうする。普通のハンターも安易に売らないだろうな。貴族達が欲しがったとしても」
そんな馬鹿をするハンターは余程金に困ってる奴ぐらいだ。特定されたら、本部に目を付けられる。目先だけ良くても、後の祭になるだけだ。
ハンター消失事件の犯人も金のためにしたとも思えない。それだけの能力があれば、金集めも楽に出来るはず。
「でしょ。誰かに渡すとしても、オークションはないわ。密会にするんじゃないの?」
「だとしても、協会としては動かないわけにもいかないだろ」
本当にあった場合、犯人を見つける手掛かりを失う事になる。協会はやらないよりも、やる事を選んだ。
もしくは、所長が動いた事でかもしれないが。
その邪魔をするためか。それとも動く事自体で怪しく思わせるためか?
【妖艶】が言うように、密会がバレないように。アキテールでもなく、カサンドラでもない。
オークションという大々的に行われる場所に行くという噂を流す事で、別の場所を手薄にする。
だが、本部が【十字軍】を使ってまでするかどうかは怪しいところではあるんだよな。




