情報の売り買い
「……ハンターの証消失事件を知ってるか?」
「ある程度までは……ね。盗賊じゃなくても、情報を売り買いする事もあるから。ハンターになるのにも条件が必要になったわけだし」
盗賊は情報を盗むが、商人は情報を売買する。情勢によって情報は価値がある。
ハンターになる条件が生まれた事で、何かあったと調べるのは商人や盗賊にとっては当然だろう。
本部を直接調べるのは無理でも、原因を捜す事は出来る。
【妖艶】もそれをしたわけだ。ゴイゼン所長からもあったとしても、それを口に出す事はなさそうだ。
「……なるほどね。詳しくは聞かないでおいてあげるわ。それをゼンさんから聞いたと、本部に思われたくはないから。協会が警戒するのも分かるけど」
彼女は察したようだ。消失したハンターの証が売り出される可能性を。それがオークションだけでなく、祭までも警戒している事に。
「ないわね。オークションの品だけじゃなくて、祭の品にもよ。始まる一月前に商品リストは提示されてるから。当日に出す場合、私も含めた数人のチェックが入る。ゼンさんのところでやってるのもそれね。増えた商品を見せて貰ってる」
ハンターの証ではなくても、【妖艶】は商品の目は厳しくしている。そこを出し抜くのは難しそうだ。
「その件は下にも言っておくわ。それらしき物があったら、私のところに持ってくるようにって。けど、おかしな話よね。出す品は私達の方が先に知るはずよ。誰がそんな噂を流してるわけ?」
イズン支部所長、ジェフもそこまでは教えて貰ってない。噂が流れてきたとだけ。ただ、本部からの抜き取った情報だろう。
「さあな。そこまでは俺も知らない。ただ、本部もそれを知ってるからこそ、アキテール行きの馬車を警戒してたんだと思う」
偽ハンター達の警戒が騙す理由には丁度良い。
「そんな噂が流れたら、動けなくなるのは目に見えてるんだけど」
その通りだと思う。本部にしたら、犯人を誘き寄せるためにもアキテールの警戒網はない方か良い。
「一番大きなオークションはここだけど、別の場所じゃないの?」
「うちの所長は本命をカサンドラと考えてるな」
「うちの所長……誰? そういえば、何処の支部なわけ?」
「イズン支部……所長は【影】と言えば分かるか?」
俺が言わなくても、【妖艶】がゴイゼン所長に聞けば、答えは返ってくる。【影】の二つ名じゃないとしても、ジェフは盗賊ギルドのマスターをしていた事もあって、名は知られているはずだ。




