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チャンス

「本部がゼンさんに悪い事させないか不安だったから。まぁ……予想外の形だったから、商会を作って、本部に擦り寄るようにしたわけ」


【妖艶】はゴイゼンを本部に閉じ込めて、異界の文献、資料を【解読】させ、情報を独占するつもりだと思ったみたいだ。


 ある意味、ゴイゼンにとっては良い環境かもしれないが、実際は正反対。


【解読】よりも所長の仕事を回され、出来ないようにさせている。


 それを【妖艶】が本部とアキテール支部の仲介役になる事で、緩和させる。それによって、ゴイゼン所長も学者として【解読】をする時間が出来るようになったわけだ。


「なるほどな……今回のオークションはアキテール支部じゃなく、【妖艶】が受け持つのは」


「それは本部からの指示よ。私から言ったんじゃないから。祭の準備で忙しいし、ゼンさんがレア物に触れる機会を減らしたくはなかったんだから」


 アキテール支部にもハンター達が異界の素材を持ってきたとしても、アキテールにはそこまで異界の数は少なく、限られた物ばかりになる。


 オークション品ともなれば、滅多に調べられない物を見る事も可能だ。


【妖艶】としては、その機会をゴイゼン所長にさせたい気持ちもあり、アキテール支部から手伝いを申し込んだ。


 とはいえ、ゴイゼン所長本人が行きたくても、立場的に行けなかったのかもしれない。


 俺達のせいでもある? 出張に来るから、それの相手しないと駄目だから……【妖艶】に軽く睨まれているような感じがする。


 馬車の前幕で見えはしないんだが……


「けど、それで良かったのかもしれない。ゼンさんに貴族の相手をさせたくないのもあるけど……本部からじゃなく、キテールに来た商人達から情報も入ってきてる」


【妖艶】は人によって対応を変える。それも【女優】という職業に適しているからだろう。


 それに協会本部からではなく、商人達からの情報。


「【道化師】……ゼロストで慣れた方がいいわね。今回のオークションに何かあるわけ? アキテール行きの警戒が凄いって話なんだけど……ゼンさんも聞かされてないみたいだし」


 彼女は本部から何も聞かされてないのか? これが演技だとして、見破る事は難しいぞ。


 ゴイゼン所長が関わる事に、嘘は吐く事はないとは思いたい。


 それにチャンスでもある。オークション主催者がいるのだから、ハンターの証が出品されるかどうか。


【妖艶】もその危険性は分かるはず。だとして、オークションとしては目玉商品ともなりえるが……


 流石にハンター消失事件に関して、ゴイゼン所長に連絡が送られてきているはずだ。それを【妖艶】に話しているかどうか。


 普通は話さないが、【妖艶】は本部との繋がりがある。

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