買い出し
「何コソコソと話してるわけ。私も混ぜてよ」
「混ぜろって……ジルオールには商人街の方を見に行って貰おうかなって」
フレアは朝食を俺達のテーブルに置き、近くの椅子を寄せてきた。隠し事をされてるみたいで嫌らしい。
「私達が仕事をしてるのに、街へ遊びに!! 仕事なら……」
フレアが言葉を途中で止めた。商人組合の事を思い出したのかもしれない。オークションがある首都を調べるのもありだが、こっちの方が優先度が高い。
仕事の話と付け加えたら良かったが、ハンナさんの耳に入るかもしれない。
ゴイゼン所長がジルオールを俺達の護衛だと紹介していたのなら、仕事で商人街へ行くのはおかしな話になる。
それともう一つ。ゴイゼン所長がジルオールの姿を見える事だ。アキテール支部に侵入して、調べる事が難しくなった。
フレアが彼を護衛としか見てなければ、考える事ではないかもしれないが……
「監視が無くなるのはいいかも」
違った。ジルオールの護衛による視線を気にしてるだけだ。商人街は職人街から離れていて、馬車等で移動するしかない。
その間は監視……は言い過ぎだが、見られる事はなくなる。そもそも、ジルオールがアキテール支部に入る事自体が難しくなった。
いや……ハンターとしてなら、怪しまれる事はないのか?
「商人街の行くの? もうすぐ祭があるのだけれど、ゆっくり見るのなら、始まる前がいいかしら。人混みが凄いのよ。私はとてもとても行けないわね」
ハンナさんが俺の朝食を持ってきた。大きな声で話してたわけじゃないが、俺達の話は聞こえていたようだ。
「行くのなら、買い出しを頼んでも構わない? 私の名前を出せば、安くして貰えるからね。人が増える分、用意するのがあるの」
寮内にいるのは俺、フレア、ゴイゼン所長、ハンナさん、追加でジルオールの四人。
それは今だけで、本来男二人女一人がいるらしい。俺やフレアみたいに一年の長期出張に行っているらしい。
色んな支部を周り、評価される事で、本部に移動するのが可能になるとか。
ハンナさんの寮の仕事も、ゴイゼン所長含めた職員四人が手伝いながらやってたらしい。
この手に関しては、ハンナさんに言われると逆らえない気持ちになり、ゴイゼン所長が率先して協力するから、嫌とも言えない。
「それも頼んだ。ここで泊めて貰う分、協力は必要だぞ。俺達も寮にいる間は手伝いはするつもりだから」
ジルオールは本来寮に泊まるわけではなかったのだから、その分の仕事を振られるのは仕方がない。一番合ってない仕事かもしれないが……
「男の子だから、これぐらい大丈夫よね? 夜にまで戻ってきてくれたら嬉しいわ」
ハンナさんは買い出しのメモをジルオールに渡した。




