何処に座りますか?
「ゼロストさん、おはようございます」
「……お前、勝手に中へ入ってきたわけじゃ」
一階に降りて、食堂の中に入ると、案の定そこにいたのはジルオールだった。
「私も疑ったけど、そうじゃないみたい」
「フレア様も回答一番に口にしてました」
ジルオールは前髪で表情が隠れているが、少し落ち込んでいる感じがする。俺とフレアの二人に言われたら、そんな奴だと思われてる事だからな。
「ゴイゼンさんが朝早くから出掛けて、連れて来たんですよ。最初は驚きました。ゴイゼンさんの側にいるのに、気付かなくて……一度意識すると、見えるようになったので良かったです」
「ハンナさんの言う通りです。馬車の貼り紙もそうですが、朝一番に起こされるとは思っていませんでした。流石、アキテール支部の所長ですね」
ゴイゼン所長がジルオールの姿が見える事が証明された。ハンナさんも彼の紹介があったからこそで、最初からは見えなかったようだ。
とはいえ、ジルオールがゴイゼンの凄さを知ったのは良いが、支部内の調査がバレてる可能性がある事に気付いてないのかもしれない。
この場にはハンナさんがいるので、その件に触れる事は無理なんだが……
「すぐにゼロストさんのご飯も持ってくるからね。コーヒーと紅茶のどっちがいいかしら?」
「ありがとうございます。なら、コーヒーでお願いします」
ハンナさんがキッチンに向かい、俺の分を運んできてくれるようだ。
もし、その場で彼女がいなかった場合、用意されているのを自分で温める事になっているわけなんだが、今のタイミングは丁度良い。
ジルオールに調べ物を頼める。俺は席をフレアの隣じゃなく、彼の前に座る。
食堂の真中は八人席があるが、他にも二人席が四つある。勿論、それを引っ付ける事も可能。
一人で食べるのが好きな奴もいるはずで、そのために分けているらしい。
ジルオールとフレアの別々の席に座っているわけなんだが……フレアは不満そうな視線を俺に向けてきて、背中に突き刺さるのが分かる。
仕事の話なんだから、許してくれ。
「ジルオール。今日の事なんだが、商人の街で組合を調べて欲しい。今回のオークションを仕切るのはアキテール支部じゃなく、組合らしい」
「……分かりました。組合があるのは知ってました。リーダーが変わってから、劇的に凄くなったらしく。マニーという名前だけで、それ以外が掴めず」
ジルオールも商人組合が凄くなっているところまでは知ってるらしいが、それ以上の事はまだ……信用出来る情報になるまでは伝えない形なのかもしれないが、本部との繋がりもある。
組合に関する情報を盗むのは難しくさせてる可能性も考えられるか。
なら、尚更調べる必要が出てくる気がする。
流石にハンターの証消失事件に本部が関係している……とも思えないが、独自に動いている感じはする。
アキテール行きの各国の馬車に【審判】や【十字軍】等を配置していたのも、俺達は聞いてないからだ。




