寮母のハンナさん
「おっと……そうこうしている内に着きましたね。フレア様にとっては窮屈からもしれませんが」
アキテール支部の職員寮に着いた。殆どがマニーの話で終わってしまった感じだが、協会から三十分程度なのは間違いない。
「大丈夫大丈夫。そんな事で文句は言わないから」
貴族が住む場所としては……かもしれないが、俺が住む場所よりも上な気もする。古すぎず、新しくもなくって感じだ。大人数が住める広さはないか?
「一階が食事処やトイレ、風呂場があり、寮母の部屋があります。二階が私達が住む部屋になっていて、私は東側の一番端の部屋なのですが、ゼロストさんは同じ東側の部屋を。西側の部屋はフレア様が使ってくれたら良いかと。詳しくはハンナさんに聞きましょう」
二階の窓はこちらから見て、六つ。反対側にもあるのなら、計十二部屋。職員の人数よりも少ない。全員が借りれるわけでもないみたいだ。もしくは、一人部屋ではなく、本来は二人部屋か?
「ハンナという人が寮母さんの名前なんだ……一人で寮の仕事をしてるの?」
「ですね。食事等も彼女が作ってくれてます空き部屋は掃除してますが、部屋を使う際は、ゼロストさんやフレア様が掃除をしてください。勝手に入る人ではないので」
地味に寮母の名前を口にしてるゴイゼン所長。フレアもそこは気にしているようだ。
彼はそれを気にせず、俺達を連れて寮の中へ。
「只今帰りました」
「お帰りなさい。まぁ!! ゴイゼンさんが言ってた別支部の職員さんですね。こんなに若い人だったなんて」
寮に入るとすぐに良い匂いが漂ってきた。そして、その場所からゴイゼン所長の声に反応して、エプロンをした女性が出てきた。
彼女がハンナさんなのだろう。ふくよかな体格で、温厚そうな雰囲気。美人とは言えなくても、家庭的で、安心だと思わせてくれる感じだ。
俺の周りにはいないタイプ。ゴイゼン所長が気になるのも分かる気がする。
ゴイゼン所長と同じ年齢? ぐらいだとは思う。
「少し待ってくださいね。部屋に案内します。男の方は東の……ゴイゼンの前の部屋でいいですか? 女の方は西側の奥にしておきましょうか」
「いいです。いいですよ。どの部屋か分かれば、私が案内します。ハンナさんは料理の途中なんですよね。彼女達に美味しい料理を振舞ってください」
「……お言葉に甘えますね。美味しいご飯を用意しますから。楽しみにしてくださいね」
ハンナさんは俺達に笑顔を向けて、腰に付けていた鍵束から、俺達の部屋用の鍵をゴイゼン所長に渡した。
「二人……良い雰囲気だよね。オジサン達が言ってたのも納得かも。というか、私達お邪魔なんじゃないかな? マニーさんは……」
フレアも二人の雰囲気の良さに呆れてる。マニーが不利な事も察してる感じだ。ただ……
「ぐふっ!!」
「レイさんも年上とか、あんな感じの女性が好きなわけ?」
俺がハンナさんに一瞬見惚れてしまった事を、フレアも気付いたらしく、横腹に肘を喰らわされた。




