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「おや? この馬車は……御二人が乗ってきた感じですか?」


 ゴイゼン所長はアキテール支部を出て、早々に馬車を発見。側に置いていたから当然といえば、当然だ。ついでにジルオールの件も説明もしておこう。


「偽ハンターが馬車の御者に変装して、俺達に襲い掛かってきたんです。丁度、本部の人も乗ってた事で難を逃れたわけなんですが、移動手段が無くなり、そのまま使わせて貰ったわけです。本部に連絡すれば、確認は取れるはずです」


【十字軍】、【審判】の名前は伏しておく。とはいえ、各国でアキテール行きの馬車を警戒していると、【審判】は言っていた。


 ゴイゼン所長もそれは本部から聞かされている事も考えられる。


「それは不幸でしたね。馬車に関しては、こちらで使わせて貰います。荷物運びに使えるかもしれません」


 その話を深く聞いてこないのは、俺達が疲れているためなのか。話を躱すためなのか判断が付かない。態度に変化はなし。


「それと……偽ハンターの事もあって、ジェフ所長が俺達に護衛を一人付けているんですが、宿が取れない可能性があり、馬車に泊まっても構わないですか? もしくは、寮の一部屋をお借り出来たら」


 ジルオールが寮に宿泊が出来た場合、支部内で下手な動きは出来ないかもしれない。そうなった場合、彼はオークション関連の調査がメインになる。


 馬車に泊まる事の許可も対して変わらない気もするが……


「構いませんよ。部屋は空いていますから すみませんが、費用はそちらに請求する事なるのでご容赦くださいね」


 すぐにゴイゼン所長はそれを許可。


「彼の寮への案内はどうしますか? 私達はどんな人なのか分からないでしょ」


「……それは明日で大丈夫です。宿が見つかるかもしれないですし、無理なら馬車で寝る事にようにも伝えてます」


「なるほど。それでしたら、紙に馬車の使用許可だけを貼っておきましょう。二人のサインもあれば良いかと」


 用意周到……とまではいかないが、ゴイゼンは寮への帰りともあって、鞄の中から紙とペンを取り出した。


 確かに許可書があれば、ジルオールも安心するだろう。地図を描いたとしても、いつ来るかも分からず、不法侵入と間違えられそうではある。


 それよりも注意するのは……ゴイゼン所長の方だ。


 俺は護衛と言っただけで、男とは言ってない。なのに、ゴイゼン所長は『彼』と言葉にしている。


 その後、『私達はどんな人かも分からない』とも。


 職員はそうかもしれないが、彼はジルオールに気付いている。それがアキテール支部前にいるのを所長室から見たのか。


 その場合、所長室の位置をする必要がある。


 ジェフ所長が事前に伝えていた事もないだろう。ゴイゼン所長の反応もそうだが、ジルオールが護衛になったのは、隠密行動に長けているため。報せてしまえば、彼である必要がなくなってしまう。

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