ゴイゼン
「所長自らですか? 他の職員……寮に住んでいる職員が一緒に行けば良いのでは?」
俺達を警戒してるのか? いや、逆に調べるつもりなのかもしれない。本部との繋がりが強い可能性が……
「お願いします。恋人がいないからって、手を出したら駄目ですよ」
「私達は片付けが終わり次第、帰りますので」
「丁度良いタイミングだったんじゃないか?」
オジサン職員達も所長が案内する事に何も言わない……どころか、冗談を言ってる。
舐められている……というより、仲の良い友達? 嫌われている感じはしない。
「この場にいる職員で、寮を使っているのは私だけなんだよ。皆家庭を持っていてね。独り身なのは……ハハハ」
「所長にも良い人が見つかるよ…寮この子は駄目だけど。寮母である彼女は、お似合いだと思うんだが?」
「そ、そうですか?」
俺とフレアを置いて、オジサン達は盛り上がってる。
「アキテールの所長は寮母の事が好きなのかも。だから、寮に住んでたりして」
フレアも恋愛話が好きなのか、俺にボソボソと伝えてくる。
「いや……その件は置いときまして、御二人はついて来てください。申し訳ないですが、徒歩でニ、三十分は掛かると思うので、世間話をしながら行きましょうか。御二人がいる間、商人の街では祭があったり、他にもイベントがあるんですよ」
「……そうなんですね。良いタイミングだったかもです。休みの日だったら、見に行きたいですね。詳しく聞きたいです。俺達も所長に頼みたい事とかあるので」
「それも歩きながらにでもしますか」
ゴイゼン所長は世間話というが、祭やイベントという言葉から、オークション関連の話の可能性がある。
三人での会話となると、職員達も知らないのかもしれない。
ゴイゼン所長に関しては、ジェフ……こちらの所長に任せたいところだが、謎めいた事があるのは確か。
彼がアキテール支部の所長になったのは、つい最近……【無法者】メンバーがそれぞれで動くようになってから。
支部の所長が変わる事は当然ある。ジェフが最初からイズン支部の所長だったわけじゃない。
今のイズン支部の雰囲気になったのは、ジェフのお陰ではあると思うが……
所長の交代、新たな所長に選ばれるのは優秀なハンター。異界を詳しく知る人物という理由もあるわけだが、ゴイゼンというハンターはハンターオタクの俺でも知らない。
ジェフ並みのハンターなら、二つ名を所持しているはず。二つ名持ちハンターなら、分からないわけがない。
つまり、彼はハンターじゃない。オジサン職員達のように商人等の別職業からなのか。
本部が認めた人物なのは確か。だからこそ、謎であり、要注意でもある。




