恋人募集中……ではない
「こんな若いお嬢さんが来てくれるなんて」
「久し振りにハンターの皆も活気が出る気がするぞ。私達も気持ちが高くなってるぞ」
「居心地が良ければ、転勤してきても構わないからね」
「こんな事なら、ケーキを用意するべきだったよ」
職員のオジサン達はフレアを囲み、次々と話しかけ……というか、一方的に話してる。俺はフレアの隣にいるわけだが、興味は持たれて……
「君は彼女の恋人かな?」
「いやいや……出張について来る事はないよ。同じ職員だって」
「こんなに可愛い子だから、彼氏の一人二人いても」
……いるみたいだ。俺というよりも、フレアの彼氏かどうかみたいだが。職員達を敵視されたくないし、ここは否定しておくべき。
彼女の彼氏でもないから、当然だ。フレアが余計な事を言う前に……
「違いますよ。先輩なだけで、恋人じゃないかな。だからって、募集中でもないですよ」
先にフレアが恋人関係という事を否定した上で、それ自体が必要ないと。
それを言う事で俺達の仕事の効率が……というより、オジサン達からチヤホヤ、利用出来ると考えたのかもしれない。
イズン支部だとルイーズやアカネの目があるから、無理な話だが……この感じだと、受付で言い寄ってくるハンターがいても、オジサン職員達が撃退しそうではある。
「……そういう事なんで。俺は裏方の仕事で構わないので、彼女に色々教えてやってください」
「分かりました。勿論、君に裏方の仕事、ここでメインとなる仕事を教えるから安心してください」
それに関しても大体は資料で把握している。商売が盛んともあって、異界の素材に関する事を調べる事が多い。
アキテールにある異界は数が少なく、レベルも低い。比較的に安全という事もあって、商品が集まりやすいようだ。
職員ながらも【鑑定】のスキル所持者が多いのもある。ハンターが引退して、職員になったわけじゃなく、商人から職員に転職した者も。
フレアのような若い子……新人は入ってきてない。
「おおっ!! ようこそ、アキテール支部へ。私が所長のゴイゼンです」
ゴイゼンは三十後半の年齢で、職員達と年が近い。人の良さそうな顔をしている。だが、苦労してるからなのか、すでに白髪混じりの髪になってる。
上の立場ながらも、俺達に頭を下げる。
「このような時間になったのも何か理由があり、お疲れ様でしょう。話は明日にして、寮にご案内します。寮を使用している者は少なく、寮母も喜びますよ」
しかも、ゴイゼン所長自らが寮に案内するつもりのようだ。




