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離脱

「フレア、起きろ。アキテール支部に着いたぞ。所長に挨拶して、寮に案内して貰おう。眠いだろうが、印象を悪くしないためにも」


「ふあ〜……着いたんだ。挨拶ですよね。分かりました。おはようございます」


 フレアは欠伸をして、目を擦りながら、俺の方に顔を向ける。熟睡してたらしく、まだ上の空状態のようだ。


「俺じゃなくて……途中まで手を繋いで行くから、それまでに目を覚ましてくれよ」


 一瞬、ビクッとなったけど、手を繋がれるのが嫌だったりするのかもしれない。偽ハンターに襲われた時は仕方がなかったわけだからな。


 とはいえ、彼女も再度目を閉じそうで、今更手を離すのも危ない。


 こんな状態で入ったとしても、冷やかすような職員はいないだろうし、ハンターはそもそもいないはず。


 フレアが目覚めてくれたら、職員の相手は彼女がした方が断然良い。


「……それでは、僕は一旦離れます。心配事が出来たので」


「心配事? それはアレに関係する事なのか」


 周辺に人の気配はなさそうだが、【盗み聞き】のスキルがあるからな。誰に聞かれてるとも分からない。俺達がオークションに参加する情報は漏らさないようにしないと。


「そういうわけではなくて……宿の予約をするのを忘れて……宿探しをしないと駄目なんです」


 先程馬車から降りた商人も、アキールの宿を取っていた。というのも、キテールの宿は全て埋まってるからなんだろう。


 アキールだけじゃなく、首都であるアキテルや別の街や村でも商人達や、買い物目当ての客達がすでに宿を予約していてもおかしくない。


 オークションの情報を優先して調べていたせいもあり、ジルオールもそこは抜けてたようだ。


「最悪、アキテール支部の所長に頼むのもありだとは思う」


 勿論、寮の部屋が空いてるかどうかによるたまろうが……


「ありがとうございます。ゼロストさんが同室で良ければ」


「それは」


「それは駄目!! 私がレイさんの部屋に遊びに行けなくなるでしょ」


 俺が返事をする前に、フレアが先に答えた。実は意識がちゃんと戻ってたようだ。多分だが、手を繋いだ時だろうな。


「……目が冴えてきたみたいだな。手を離しても大丈夫だろ」


「あっ……貴方のせいなんだから」


 フレアはジルオールを恨めしそうに見るが、俺が手を離しただけで、そんな目を向けるのは可哀想ではあるんだが……


「それは兎も角として……俺もジルオールの案は却下されてくれ。一日、二日なら構わないが、出張中の十日間ずっとは無理だ。フレアのためじゃなく、一人の時間が欲しいからな」


 ジルオールにとっては護衛しやすくなるんだろうが、その相手は俺よりもフレアが優先。


 とはいえ、フレアと同室はアウトだろうし、寮に別部屋がある事を祈るしかない。

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