第二のラーン?
「勇者? ……ネスティスの事ですか? 一応、彼女の相談役ではあるけど……」
ネスティスは盗賊ギルドをメインに修行しているのは間違いない。そこで問題を起こしたという話も聞かないし、付け狙うなら、彼女の方になるんじゃないか?
「薦めたのはゼロストだろ? そこは覚えているぞ」
そういえば、ネスティスがソロで異界探索するため、盗賊のスキルか僧侶の回復魔法のどちらかを手に入れるように言っていて、彼女は盗賊を選んだわけだ。
それを所長が【盗み聞き】で話を聞いていた。
「確かに……ソロで活動するなら、盗賊スキルは必要になるはず。彼女が回復魔法よりもそっちを選んだわけで……仲良くやってるんじゃなかったんですか?」
「やってるよ。人気があるぐらいだ」
盗賊ギルドに今も通ってくるぐらいだ。嫌われているなら……ネスティスなら欲しいスキルがあるなら行く気はする。
「ただ……目立つ事もあり、ジルオールにしては嫌なんだろう。盗賊としての実力があるのに目立たない。勇者だけがちやほやされる。勇者も自分を見つける事が出来なかったのにと」
「ただの嫉妬よ」
アカネは呆れた顔をして、答える。
自分は能力があるのにちやほやされず、後から来た勇者は人気が出るのが癪だったのか。
二人が勝負するところまで至ってないのは、所長か現ギルドマスターの指示によるものなのか。
ジルオールがネスティスに勝負に挑み、負けてしまったら、第二のラーンになった可能性もある。奴だけで腹が一杯なんで、おかわりは止めて欲しいところだ。
「……対抗心を持ってるわけだ。そこでジルは勇者同様、ソロで異界探索を中心に動こうとしたわけだが……如何せん、攻撃スキルはあるが、自身の力が弱い。それにスピードもそれ程速くもなく、回復魔法も覚えてない」
ないない尽くしじゃないか? 一芸に秀でているのは凄いが、ソロで行動するにはキツイ。多才になる必要がある。
その点、ネスティスは勇者という事もあり、色んなスキルや魔法を習得していっているわけだ。
「それは……レベル3に行った時は」
「他の盗賊ギルドのメンバーがいたな。ちゃんとジルを認識出来る奴等だ。だが、その時は異形もジルを見つけていた。異形次第では簡単に見つかってしまう。しかも、レベル4に挑むつもりだったからな。それは阻止したわけだ」
ランク3のハンターでも、異界レベルが一つ上でも挑戦する事は可能。その時は大抵パーティーを組む事が多い。それをジルはソロで行こうとしたわけだ。ある意味、自殺行為に等しいぞ。




