情報班
「了承を得られたという事で、少しお待ちを。先に私が所長に話をします」
アカネは所長室をノックして、返事を待たずに入っていく。
「どうした? 今日のスケジュールの確認は済んだはずだが……」
「それは今修正します!! 一体どういうつもりですか!!」
アカネがドアを閉める前から怒声が響いてきた。
俺がアカネに遭遇したのも、彼女が所長室から出てきた直後だったからだろう。
スケジュールの確認をしてたらしいが、朝一番に訂正する事に。
という事は、ジルオールの件はそれだけ重要な話になるのか? 単に付き纏われているだけなんだが?
「……ゼロストさん。所長室へどうぞ。話を伺います」
数分経過して、所長ではなく、アカネの呼び掛けで所長室の中へ。
所長は奥の机に座った状態で、彼女はその隣に立っている。
所長はアカネに叱られたのか、すでに疲れ切った顔をしている。
「ジルオールの事はアカネから聞いた。俺の責任だ。ゼロストの尾行を俺が指示したの確かだ。君の許可もなく、勝手にした事は申し訳ない。その日の内に行動を起こすとは思わなくてな。後から頼むつもりではいたんだ」
所長は俺に頭を下げた。思ってた通り、所長の仕業だったようだ。とはいえ、俺に頼むとはどういう事なんだ?
「何のために尾行を? 俺に内緒じゃなく、頼むつもりだったという事もおかしな話になるんじゃないですか?」
所長の指示でジルオールが尾行しているのなら、それを俺に教えたら駄目だろ。
「勿論、説明する。まずはジルオールに関してだが……彼が盗賊である事は知ってるみたいだな」
「一応は。ハンターオタクとして、彼の存在は頭に入ってます。盗賊ながらも、スキルが攻撃主体なのが印象的だったんで」
「ジルオール=トレイ。職業は盗賊であり、ランク3のハンター。そして、イズン支部の情報班の一人でもあるのよ。異界探索よりも、こっちをメインで動いているの」
所長よりも先にアカネが説明してきた。
盗賊ギルドは情報収集を得意としていて、所長が元盗賊ギルドのマスターという事もあり、盗賊達を上手く使っていたわけだ。
異界探索よりも、情報班を結成していてもおかしくはない。本部が【十字軍】を所持しているのと同じだろう。
「待て待て待て……じゃなくて、待ってください。そんな事を聞いて良いんですか? 隠しておくべき事のような」
「構わない。ゼロストに迷惑を掛けているわけだからな。今はそれを止めている事もある」
「色々と調べて欲しい事があるのに。このタイミングで休むのもね!! 理由も馬鹿らしいんだけど」
アカネは所長を睨みつけるだけじゃなく、ジルオールに対しても怒ってるみたいだ。




