弟子入り希望
「……はぁ。多分ソイツで間違いないんだけど」
「服装からして、魔法ギルドの奴だろ? 嬢ちゃんが通っていたからな。嬢ちゃんがいる時によく見た……ストーカーか!? だったら、今度見かけた時には」
俺もそう思ってたぐらいだからな。ある意味間違いでもないし……
「付き纏ってる……わけじゃないな。ネスティスの知り合い……顔見知りだな。 奴の方がネスティスをライバル視してる感じだ」
ストーカー扱いよりかはライバル扱いの方が良いだろ。好意を寄せて、あの行動をしているなら、爺さんは孫のために◯しに掛かるかもしれない。
「ライバルだと?」
「ネスティスが魔法ギルドで実力を示すため、勝負したのが彼だ。そこでボコボコにやられたらしい。剣対魔法の形らしかったが」
「嬢ちゃんの腕は力試しで経験済みだ。並の魔法使いだと相手に出来ないからな。一対一なら尚更だ」
爺さんはネスティスの装備を考える際、自身が相手となって実力を試したからな。彼女の強さは身を持って知ってるわけだ。
「だな。だからこそ、強い対抗心を持っている。爺さんの元で強力な装備を作って貰うなら……自身も。それが無理なら、弟子入りして、自分が作る。……ネスティスに負けないように」
全く持って嘘。それぐらい言わないと、爺さんは相手にしないだろう。ラーンも驚くだろうが、それをどう受け取るかは奴次第。
「ハンターの相談でそういう話が来たんだよ。一応は話しておくべきだろ? 圧を掛けず、一度は話してやってくれ。そこからは爺さんの判断でいいから」
「嬢ちゃんをライバル視か。他の勇者じゃないだけ良いが、敵に塩を送る事になるぞ」
「それでネスティスも対抗心を燃やして、切磋琢磨してくれたら良いんじゃないか?」
我ながら良い事を言ったんじゃないか? ネスティスがラーンを【道化師】を馬鹿にした奴と覚えていたとすれば、対抗心を燃やす可能性は十分あり得る。
爺さんもネスティスを強くする事に反対はしないだろう。
「もしも、ソイツがネスティスに変な事をした場合、爺さんも近くにいた方が警戒しやすいだろ? ネスティスと別日に鍛冶の修行されてもいいわけだし」
「……なるほどな。面倒事を押しつけてるだろ?」
爺さんも俺に負けず劣らずで鋭いところはあるからな。先に酒を呑ませるべきだったか?
「それもある。協会の仕事の一環でもあるからな」
そこは素直に言っておく。
「協会か……ジェフは良いとして、本部の動きを見るためには……か」
爺さんもネスティスに無理な異界探索を依頼された事。どんな状況だったのかを、彼女から聞いたのかもしれない。勿論、本部の話はなしとしてだ。
全く関係ないんだが、本部の動きを見るため、怪しまれるわけにはいかないと、爺さんは勘違いしているかもしれない。
「今回は貸しだからな。気に入らなかったら弟子入りはさせない。圧は無くすが、あっちから話し掛けてきてからだ。勿論、嬢ちゃんと何かあった場合も」
爺さんは頭を掻きながらも、渋々了承してくれた。本部の動きはネスティス……勇者に影響を与えかねないからな。
「それで構わない。後は爺さんとアイツに任せる」




