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趣味

「あんな事を言って、流石に今日はついて来ないだろうな。職人区でそんな事をするとも思えないし」


 職人や魔法使いは他への無断流用を嫌う。新技術、新魔法が発見されれば、盗もうとするのは出てくるわけだ。


 そこで盗賊に頼む事がある。禁止はされているが、裏ではどうなのかは分からない。今は所長じゃなく、別のギルドマスターになっているのもある。


 盗賊以外にも他国からの職人とかもだが、職人や魔法使いは職人区に警戒網の装置を用意してたりして、下手に怪しいスキルを使用すれば、反応する。


「俺はそんな気は毛頭ないし、スキルもないから問題なし。昼と違って、あまり……全然人の姿が見えないんだよな」


 外に人の姿が見当たらないが、建物には明かりが灯っている。鍛冶の音も今なお響き渡り、臭いも健在だ。


「爺さんの家は……上にいるのは珍しいな」


 夜は地下の工房で仕事をしていると思ってたが、住居となる一階にいるようだ。


爺さんは職人としてトップレベル。仕事も引く手数多のはずなんだが、自身が気に入った人物からの仕事しか引き受けない。


 ネスティスとは別の勇者を追い払った事があるぐらいだ。


 やるとしたら、ネスティスの装備の新調や調整。【無法者】メンバー以外にもお気に入りのハンターが一応はいたはずだが……


「爺さん。今日は仕事をしてないのか?」


 俺は爺さんの家に入る。職人区の警備があったとして、爺さんの家周辺は案外無防備なんだよな。


 工房は下にあるから技や物を盗まれる事はないし、爺さんも足音や気配に気付く方ではある。


 銀の箱の発想で、監視装置は隠してそうではある。爺さんなら銀の箱の技術を何かで代用可能な気はする。


 ネスティスを覗く誰かがいた……可能性もある。それに何の反応もしなかったのは、様子見してたかもしれない。誰とは言わないが……


 魔法ギルドメンバーであるから、この街の特徴は把握しているとは思う。


「俺は仕事を選ぶからな。今は趣味の方で忙しい。お前が来るのが見えたから、上に来たまでだ」


 監視装置はやっぱりある。【気配感知】でも、誰かまで分かる……可能性もあるか? だが、爺さんに【気配感知】のスキルは所持してないからな。


 仕事上、客と知り合い、不審者の判断は必要。監視装置の事は何も言わないでおこう。何処に設置してあるかを、誰が聞いてるのかも分からない。


「趣味? ……ああ。何とかなく予想が出来たわ。ネスティスに何か言われたな。次は金を取るとか言って、貰ってない事は聞いてるぞ」


「うっ……それには理由がある」


【廃坑】で壊れた篭手や傷んだ刀の調整を無料でしたのを、ネスティスから聞いている。

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